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実は連れていかれた次の日に脳神経外科で精密検査の予定だった。激しい頭痛が続いており、死んでしまう可能性も頭をよぎった。

「死」についてはこれまで何度も考えた。事業がうまくいかなかったときに死のうと思って行動してしまったり、復活のために必死に働いて働いて考える時間もなくなって生きる意欲をなくしたりしたこともある。

頭痛や体調のことなど長期間すぐれないと「いっそのこと…」なんて考えたりもして、弱気から「ここで終わっても…」なんて思うのだ。

しかし、まだ妻やその周囲を安心させていないし、幸せにできていない。幸せの定義はそれぞれだが、最低限の条件をクリアできていないのだ。

私の人生は、こんなハズではなかった。時間を取り戻すことは出来ないが、きっと最低条件というのは不変のものではなく、クリアすれば上がっていくものだ。

またやり直すしかない。うんざりしそうだけど、私自身はそうでもない。追い込まれた人生しか知らないので、自分にとっては慣れたことだ。

これから私がやるべきことは彼女の幸せだけを考えることだ。彼女が幸せなら子供たちも幸せだろう。幸い?子供たちの心には私の居場所はないようだから、逝ってしまっても生活面を支えることができれば問題ないだろう。

彼女とはありがちな出会いだったけど、付き合えるようになったのは奇跡というか未だに理解できないし、夢のようだ。永遠の片思いのように感じているが少なくとも彼女も何か感じるところがあって結婚してくれたのだろう。

この時に私には離婚を経験しており、息子がいたのだ。男手一つで育てており、重度のアレルギーもあって簡単ではなかった。

離婚理由もシンプルで複雑だ。きっかけは相手の浮気。その頃はファミリービジネスをしていて、私の両親は身寄りのない彼女をとり、私は別のところで働くことになった。

そこで今の妻と知り合うわけだが、最初は複雑な思いを抱きつつ生きていた。でも私は誰かを恨んで生きていくことはしない。しんどいからね。ただ複雑だっただけだ。

別れた彼女はあまり母性が無かったので親権でもめることも無かったのは良かった。息子はパパッ子だったから、ずっとこのままでも幸せだったろう。

そんな息子も結婚して幸せなようだ。近い将来、彼にも子供ができて自分以外の人生についても責任を持つようになる。願わくば、このまま奥さんを大切にして家族を守り、大切にして仲良く暮らして欲しいと思う。

今の妻に出会うまで、それなりに出会いはあったけど、誰かを本気で好きになることは未来永劫ないだろうと思いながら生きていて、ある日、突然のように太陽に出会ったのだ。

太陽には2種類ある。

彼女の様に周りを明るく照らす、人を暖かく優しく包む太陽もあれば、エネルギー量の多い私の様に近づければ相手を焦がしてしまう太陽もあるのだ。私も寄せ付けないところがあるしね。

そんな彼女にも欠点はあるのだが、同時に長所にもなっている。

私にはめっちゃ強気で良く怒られるんだけど可愛いよね♡

私の事業がうまくいかなかった時はまだ弱かったんだ、彼女が聞いたら怒るかな。いっぱい泣かせてしまったし、苦労をかけちゃったしね。

あの頃ってよく罵られちゃって、そんな感情にさせてしまった事がとても悲しかった。でもさ、今回は彼女の成長に心から驚いてしまったのだ。

パニックになってるんじゃないかって心配していたけど、冷静にすべてに対処していて逮捕勾留された妻として色々な手配を進めてくれた。

これまでは「向き合っていた夫婦」だったが「同じ方向を向く夫婦」になったと思ったのだ。前回の相手とは向き合うことすらしていなかったかもしれない。

同じ方向を向くと時折、彼女は私の方に頭を寄せてくれる。彼女最大の愛情表現だ。決して口で語るタイプではないのだろう。それだけに彼女の決断には根を張った強いものを感じるのだ。

こんな時に私は一番強くなれるのだ。彼女と子供たち、彼女を取り巻くすべてを守らなくてはと考えるのだが、実際には彼女に守られ支えられていることに気づく。

きっと娘も同じタイプだと感じる。下の息子は私の事業がうまくいかなくなって自分自身が苦しんでいたころに生まれてくれた奇跡の子。ムードメーカーが行き過ぎて今はおちゃらけ過ぎて少々困っている。

私の時代で言えば「あいつは吉本いくしかない」感じだ。今だとお笑いの世界は厳しいだろう。

妻と子供たち3人みんな私にとっては太陽である。

こんな風に考えられるようになったのは全部、妻のおかげ。前述のこととかあって親とは縁を切っていた。ある程度両親もそうだったけど、今は少し打ち解けてきたし、この記事だって自分の実家で書いている。

暮らしたことのない実家だから居場所もないし、わだかまりが完全に消えたわけじゃないから居心地は悪いけど笑

でも留置場でも考えたけど、浮気をして出ていった妻を選択した両親はそんな事実はなかったように話題には出さないが、父なんかは口には出さないけど、きっと今でも贖罪を続けているように思う。

それが、たまに伝わり心がチクチク痛む。全部、私の人生のストーリーで必要のなかったことなんて一つもないはず。だから今の妻にも出会えたし、その後も人生ハードモードだったけど今の家族や人生における心の持ち方を学ぶことができた。

だから、当の私はとっくに赦しているのだ。正確に言えば許してはいないけど全部、赦している。半分は今の妻と出会った時に、残りの半分は神秘的な夜に。

次回にその夜についての話をしたい。

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