中国企業との合弁契約書について解説
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前回は「中国の現地法人の名称ルールについて解説」と題して、中国はとても広大な国土があり、自由に決められないというよりもルールがあったほうが、その会社を利用する人にとってわかりやすいという側面があるのであまり硬く考える必要はないという話でまとめさせていただきました。
今回は、合弁契約書はどのようなものかについて共有させていただきたいと思います。
合弁契約書は、合弁当事者が、合弁会社の設立、運営、解散等につき定める契約書です。
下記のとおり、最低限、必要な記載事項があることに注意するとともに、合弁契約書は、以後、合弁当事者間で物事を決めるときの指標になりますから、自社に不利益な条項が定められていないか注意して制定する必要があります。
合弁契約書(中国語で「合資合同」)は、合弁の各当事者が合弁企業の設立のために、相互の権利・ 義務関係について意見の一致に至り締結した文書であり、当該契約書記載内容に従って、契約の当 事者を法的に拘束するものです。
LOI(意向書)や交渉の度に作成する備忘録は、一般的に法的拘束力を持ちませんが、合弁契約書 は当事者を拘束する点が異なります。
「中外合弁企業法実施条例」第11条に、合弁契約書には次の事項を必ず記載しなければならないと定められています(合作企業についても基本的には同様です)。
1.合弁各当事者の名称、登記国、法定住所並びに法定代表者の氏名、職務、国籍
2.合弁企業の名称、法定住所、目的、経営範囲および規模
3.合弁企業の投資総額、登録資本、合弁各当事者の出資額、出資比率、出資方式および出資の 払込期限並びに出資額の未払込みおよび出資持分譲渡の規定
4.合弁各当事者の利益分配および欠損分担の比率
5.合弁企業董事会の構成、董事定員の分配並びに総経理、副総経理その他の高級管理者の職 責、権限および選任方法
6.採用する主な生産設備および生産技術並びにその調達先
7.原材料購入および製品販売の方式
8.財務、会計および会計監査の処理原則
9.労務管理、賃金、福利および労働保険等の事項に関する規定
10.合弁企業の期間、解散および清算手続
11.契約違反の責任
12.合弁各当事者間の紛争解決方式および手続
13.契約文書の採用する言語および契約発効の条件
また、合弁契約書は外資企業設立申請書類の一部を構成しますので日中2ヵ国語で作成してもか まいませんが、中国語版を必ず作成しなければなりません。
なお独資企業には、日中間の合弁契約書は存在しませんが、複数の外国企業の共同出資による場合(例:日本企業と日本企業、日本企業と香港企業、等)には、外国投資者同士の共同出資に関する合意文書とその中国語訳の提出を求められる場合があります。
なお、2名以上の外国投資家は、共同して外資企業の設立を申請する場合には、その締結した契 約副本を審査認可機関に報告し記録にとどめなければなりません(※1)。
(※1) 「外資企業法実施細則」第 10 条第 2 項
いかがでしたか?割と大変だなって印象は受けるかもしれませんが、ジョイントベンチャーを組む場合は中国に限らず、どこでもしっかりとした契約に落とし組むのが基本となってきますので気負わず淡々と進めていきましょう。
次回は定款の作成ルールについて出資者の自由に決めて良いのかなどのご質問をよく受けますので解説させていただきます。
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