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SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL 一問一答(36)貴醸酒~特別な日本酒

【問題】留添のとき日本酒を入れるのは?
【正解】Kijo-shu(貴醸酒)

貴醸酒とは?

三段仕込みの最終日・留添では、普通は「仕込み水+蒸米+麹」を投入します。しかしこの貴醸酒というお酒を造るためには、仕込み水(汲み水)の一部・または全部を日本酒に置き換えて仕込むという造り方をします。

教本には書いていない(と思われます)ですが、これによっていわばワインにおける酒精強化のような効果が得られます。つまり、日本酒を添加することによって醪のアルコール度数が上がり、酵母が活動を弱め、結果としてアルコール発酵されずに残る糖分が多くなり、甘い醪ができあがるのです。

そしてその醪を搾ると、梅酒並みの甘さのデザートのような日本酒が生み出されます。

1年以上の熟成を経たものの方が品質が高いとされ、熟成によって色は無色透明から鮮やかな黄色、そして琥珀色に変化していきます。
通常の日本酒も熟成させると色が琥珀色に変化していきます。これは日本酒の中の糖分とアミノ酸が反応するメイラード反応という化学反応による色の変化です。

なぜ貴醸酒が造られたか?

貴醸酒は旧・国税庁醸造試験所(現・独立行政法人 酒類総合研究所)によって1973年に開発されました。
きっかけは、ワインにおけるシャンパーニュのような、高価で特別な意味合いをもった商品が日本酒にはなかったこと。海外からのお客様をもてなすのに恥ずかしくないお酒を造ろう!というコンセプトで開発されました。
水の代わりに日本酒を使って仕込んでみようという発想はきっと当時驚かれたのではないでしょうか?贅沢すぎますよね。
ちなみに貴醸酒という名前は、貴腐ワインをヒントにつけられた名前だそうです。

出てくる単語

貴醸酒 kijo-shu (aged and sweet specialty sake)
※In this method, less mashing water(kumi-mizu) om added at tome-zoe, and instead, the equivalen volume of sake is added in its place.

おわりに

テーマにちなんだスピッツの曲を紹介していこうと思いついたので、今日は甘い貴醸酒にちなんで「甘い手」という曲を聞いてください。
2000年に発売されたアルバム「ハヤブサ」に収録されています。スピッツには珍しい長い尺の曲。重苦しい(いい意味)サウンドと、それと対比するように草野さんの声が澄み渡ってエコーがかって、ファンタジックな世界観を生み出しています。甘い、といっても甘酸っぱい、という感じではまったくなく、腐りかけ寸前の危険な甘さを感じます。最高。

明日もまた一問アップします!

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