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【農業・芸術・食をテーマに3ヶ月でヨーロッパ6カ国⑧】 イタリア-シチリア  レモンパラダイスでWWOOF(前半)

「農業」「芸術」「食」をテーマにヨーロッパを6ヶ国周ったシリーズです。イタリアのプーリア でWWOOFを体験して、すっかり味をしめ、シチリアでもWWOOFをすることを決めました。

今回の記事は、シチリア島カターニャ近郊でオレンジやレモン、アボガドを栽培し出荷販売までしているところでしたWWOOFの話です。6ヶ国周ったこの旅の中で一番印象的で、最終的には大好きな場所になりました。

まずは、ローケンションから説明します。
シチリアといえば、ブーツの形をしたイタリアのつま先の先、地中海に浮かぶ三角形の形をした島です。大きさでいうと、九州の半分より少し大きいくらい。シチリアと聞いて思い浮かぶイメージと言えば、「マフィア」、はたまたリゾート地としての南の島、レモンやオレンジ。マフィアに出くわすことはありませんでしたが、ホストとから話を聞くとマフィアが今でもいるのは本当のよう。なぜかというと、シチリアはギリシャやイスラム、フランス、イタリアなど時代により様々な国や勢力に支配され、とても翻弄されてきたため貧しい時代が続きマフィアが生まれたという背景があります。文化もヨーロッパ、イスラム、アラブ様式が混ざり独特です。住んでいる人も、多くの日本人がヨーロッパの人と聞いてイメージするような感じとは違い、背が低めで赤褐色の肌の人が多いです。今回のWWOOFの後にカターニャの街に2泊して観光しましたが、街の人がとっても温かかったです。ヨーロッパの中で、一番アジア人だからといって差別を受けなかった印象です。

カターニャは、そんなシチリアの東側にある島の中で2番目に大きな都市です。ユネスコ世界遺産にも登録され、バロック様式の建物が残っています。港町のため魚介料理が多く、市場もあり少し混沌とした雰囲気もありますが、それも慣れれば楽しいです。そして、スイーツがとても美味しい。カンンノーリという筒型の生地の中に、リコッタチーズのクリームが入ったデザートがもう本当に美味しい!

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(↑カターニャの広場 この広場の前のカフェで買うカンノーリが美味しい)

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(↑魚市場)

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(↑珍しい丸石のモザイクがよくある かわいい)


そんなカターニャの街から電車で20分、その駅から歩いて40分くらいの所に、今回お世話になったホストの家はあります。

今回の場所は、ホスト以外にWWOOFer(WWOOFをしている人)が何人かいました。簡単に説明します。

〈家族&従業員〉

・二ラブ(50代)…ここのホスト。強面。機嫌によって怒る。
・アジャスタ(50代)…二ラブのパートナー。北イタリア出身だけど北イタリアが嫌い。チャーミング。
・キャラルナ(高校生)…アジャスタの娘。すごく可愛らしいが、繊細。
・フィリッポ(50代)…従業員。前歯がない。適当な雰囲気だけど、優しい。アボガドディップを作るのがうまい。
・カトリーナ(40代)…従業員。フィリッポのパートナー。ドイツ出身。私のドイツ人のイメージとは全然違い、ファンキー。声が高くて前歯がなくて、ボクサーが描かれたスカジャンを着ている。優しい。

〈WWOOFer〉

・コンチェット(23歳)…イタリア人。カターニャ出身。大学で哲学を学んだ後、進路を考えるためWWOOFをしているそう。ここの家で一番長くWWOOFをしている。
・ファビオ(30歳前後)…イタリア人。乱れたドレッドに半ズボン。すごく変わってるけど優しい。毎年夏にこの家に来てWWOOFをしているそう。二ラブによく怒られる。
・ピエロ(30歳前後)…イタリア人。ファビオの大学時代の友達。4年ほど前から、一切話さないと決めて、ここでもジェスチャーか筆談だけで会話をする。いつも笑顔でみんなから好かれている。私たちが来て2日目に終えて出て行く。
・ルイーズ(25歳くらい)…フランス人。すごく真面目で、語学に堪能。大学ではコンピューターサイエンスを学んでいて、今は環境問題等に興味がありWWOOFをしているそう。ウクレレをいつも弾いている。
・アリーナ(21歳くらい)…ドイツ人。大きな音で音楽を聞いて、作業が始まってもゆっくり朝食を食べ、急に日記を書き出すマイペース。明るい。

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(↑コンチェット 絵に描きやすい顔をしている)

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(↑ルイーズ 昼寝の時もウクレレと一緒)

みんなすごくキャラが濃かったです。

そのほかに、白くて大きな犬が3匹、飼ってないのに勝手に家に住み着いている犬が1匹(餌はもらえない)、猫が3匹(うち子猫2匹)がいました。

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(↑子猫2匹 やんちゃでいつもみんなをなごませてくれる)

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(↑顔の毛が2色に別れているのでtwo faceという名前 ファビオが可愛がっている)

強烈なのはメンバーだけでなく、着いたときの印象。WWOOFerとして働きに行っているので、「ここの部屋を使ってね」とある程度準備された部屋があるかと思いきや、そんな考えは甘くて、私たちに渡された部屋は猛烈に汚くて、誰かが使ったままになっていました。埃の塊や使用済みの靴下が転がっているだけではなくて、玄関前には大量の犬の糞と、裏には頭のないネズミの死骸と、その横で鳥を食べる猫、バスルームにはアリの大群。二ラブは何も言わずに、バケツ1つを私たちに渡して去っていきました。

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(↑家 外観はピンク)

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(↑私が泊まった部屋は離れの一番左 掃除後は快適でした)


ここは、本当にルールもなにもなくて、前日や直前に予定がいつも決まる感じでした。ご飯のシステムもよく分からなくて、誰も用意してないから勝手に食べると怒られたり、勝手に食べないといけない時もあったり、ホストの二ラブの機嫌によって決まる感じでした。
最初はそんな状況にすごく戸惑ったけれど、日本人とイタリア人(特に南イタリア)の性格の違いがよく出ているなと感じました。
というのも、日本人はいつもみんなの和を尊重するしあまり自分勝手なことをしない。だから大きな問題も起きない。けれど言い換えると、いつも自分ではなく誰かが決めたルールを守るのが当たり前とされてるし、前もってそのルールを知った上で行動し人から指摘されるのを嫌う。ルールを守らない人を非常識とか言うし、自分はいつも常識人でいようとする
イタリア人は、各々の考えで行動するから、一般的な大多数の意見の常識なんてない。だからたまにカオスな状況にもなりうるけれど、何か問題があればその都度指摘するし、そこで違うと思えば自分の意見を言って、お互いの主張を擦り合わせて行く感じ。誰の意見が正しいとか、こうしないといけないとかはなくて、「自分はどうしたいか」
この違いに気づいてから、ここでの生活はすごく楽になりました。

ルイーズはいつでもどこでもウクレレを弾きだすし、アリーナは仕事が始まる時間を気にせずに食べたい時間に朝ごはん食べるし、アジャスタは朝ごはんの時踊り出すし、そんな風にいつでも楽しんでいるみんなと生活して、「一般的に」とか「常識として」とか「こうしといた方がいい」ではなくて、大切なのは「自分の考えで行動して、自分の意見を伝えられるようにしておく」こと。海外で生活すると圧倒的にこの部分が下手で、怒られたりしてもなかなか言い返せないことも多いし、ここでの毎日は簡単ではなかったので、逆に大きな思い出となりました。

フォローとして書きますが、ホストの二ラブの機嫌の波は激しいけれど、私がなぜWWOOFをしているかなど話したら、シチリアの環境問題のことを話してくれたり、今取り組んでいる町を再生する会議に連れていってくれたりと沢山教えてくれました。最後は仲良くなりました。

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(↑町のマルシェに連れていってくれた時の二ラブ ヤギのチーズの看板と同じ色のコディーネットだったので面白くてパシャり ヤギはシチリアにいる角がねじれる珍しいヤギ)


後半では、オレンジやレモン、アボガドの収穫等の仕事内容や、美味しかった食事、シチリアの大自然について書こうと思います。


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