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機種変

カネの切れ目

 人と縁が切れる感覚に快感を覚える。そこには、自分のことだけを考えてくれる時間が広がっているから。
 しかし、今回は罪悪感があった。面と向かって話せない程悩んでいた。
二日酔いとノリでアルバイト中にLINEした。

やっぱ距離おくじゃなくて、別れたい

その後の着信音で彼のことがちゃんと嫌いになれた。
ずっと嫌いだった、人の都合を考えずに自分を可愛がっているあいつのことが。
肩が軽くなった、その日の接客はデパ地下のお姉さんの様に快活だった。

五合目


何回も名前呼んだんだよ

 半泣きで訴える彼の口を見もせず、キングサイズのベッドに身を預ける。
それを見て必殺技を繰り出す。

俺も距離置きたい

そう言えば泣いてすがりつくと思ったのか。特に返す言葉はなかったので、軽く頷いた。気に食わなかったのか、最後の記念なのか、遺言から3分も経ってないのに。彼の顔がすぐそこに、太ももに硬く当たるモノがあった。好きでもない女に向けるポテンシャルは、どこから湧いてきたのか教えて欲しい。

雨風が吹き荒れる中、車外に放置されることに快感を覚えるどMではない。
距離を置くならなぜラブホに車を走らせたのか。
別れ話にも興奮するのか。

最中、以上3点が頭の中を駆け巡っていた。断れない私も変態だなと、彼が体からいなくなった時に思考が完結した。

永遠


別れたから国大くんと付き合いたい
一緒にいよう?

 いい仮名が思いつかなかった。国大くん。
このクズを隠せないセリフを披露してから1週間が経った。

ずっと仲良しでいたいから、付き合いたくない
付き合うと終わりが来るから嫌だ

突きあったのに付き合うことができないことありますか?
共通の知り合いに根回しをして3日待つとあら不思議。

付き合ってもいいよ

 それから1週間も経たないうちに、近所の元彼とラーメンを食べて下着で虹6をやっていた。
医者の息子だけど、医者じゃないからなぁとか軽口を叩きながら、先輩の車で休憩所に入った。

 多分、返事が気に食わなかった。自分の中での理想と現実のギャップを処理しきれなかったけれど、国大くんに伝えることが出来なかった。このフラストレーションを自分で処理する方法が浮気だっただけだ。

 元彼と歩いてるのを一度だけ国大くんに見られてしまった。その夜、嫉妬で口数が少なくなっているのを見て、きちんと好きでいてくれていると安堵した。
改心することはなく次の日もその次の日も、誰かしらと三大欲求を満たしていた。
 ふと、お父さんもこんな寂しい気持ちを抱えていたのかと同情した。

またたび。

炊飯器買いたいです^._.^貯金もします^._.^猫に小判^._.^