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京〇はサムい!

 引っ越す前からよく言われていた。「京都は寒いで」と。同じ関西なのだから、そんなに変わらないと思っていたが、気温が何度とか関係なしに、体感温度が寒い。
 これが「なんでか?」っていう事に、私は上手く答えられない。とにかく寒い。底冷えというのか、足元が寒くて、体の芯から冷えている感じがする。

「今日もよぉ冷えますね」
 ベビーカーを上手く中に入れられなくて、私はすぐにドアを閉められなかった。駅の待合室には、おねぇさん達が二人いた。二人ともお互いに知り合いではなさそうだったが、そのうちの一人が笑顔で私にそうやって声をかけてくれた。
「ホンマですねぇ」
 私は悪びれる事もなく、笑顔でそうやって返した。すると、もう一人のおねぇさんが「ちゃうがな」と言って、ドアをぴしゃんと閉めた。
 私は何がなんだかわからなかったが「すんません」とだけ言った。電車が来るまで、気まずい時間が過ぎた。

「そらそうや」
 夫がそう言った。今日の出来事を、夕食の時に聞いてもらっていた。
「ドアをはよ閉めろって言いたかったんや。そのオバはんは」
「せやけど、めっちゃ笑顔やったで」
「そらそうや。そのうち慣れるわ」
 京都ねぇ。うちの子供もそんな感じになるのかな。少なくとも家の中はかろうじて温かかった。

おわり

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!