オクレ

先に生きるって。

「北川さんて先生っぽいな?」

休憩所でタバコを吸っているところ。
どんな流れかは忘れたけれど、
そう言われた。

「俺が先生になったら、生徒に舐められるわ。向いてへん」

「そうかなぁ。見た目なんかそんな感じやで」

「育ちがええからなぁ。先生にしとくには、
もったいないぐらいや」

くだらない。
叶えなかった夢を、茶化して言う俺は最低だ。

「あたしの学校にはええ先生おらんかった。
北川さんみたいな先生がおったら、私はちゃう人生やったんやろな」

「そんなええもんとちゃうやろ。買いかぶりすぎやで」

「そやけど、私が今、こうしていられるんは
北川さんのおかげや」

生きてれば、何にでもなれるはずなんだ。
俺もそうだろうな。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!