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暖簾

その道を通ると必ず見てしまう。暖簾が見えると暖かい気持ちになった。だが、そのお店に足を運んだのはだいぶ後の話だ。
初めて知ったのはテレビだった。高齢の店主に、そのお孫さんが手作りの暖簾を渡すという企画だった。
住んでいる街の食堂だったので、食い入るように見た事を覚えている。
何年も暖簾が出ていたが、久しぶりにその道を通ると、食堂があった場所がカフェになっていた。あまりの変わりように驚き、確かめるように中を覗いた。

「そうなんです。祖父が始めた食堂だったのですがだいぶ古くなったので改装しました」

そう言ったのは、10年以上前に暖簾を渡していたあの子だった。照れ臭いのか暖簾は奥に飾られていた。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!