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恋はデジャ・ブを見る未来の自分へ

映画のネタバレを含んでいます。
映画を観ようと思っている人は読まないほうがいいですよ。

昨日、ある方にお薦めした映画「恋はデジャ・ブ」(Groundhug Day)。
お薦めしていながら、前に見たのはいつだろうかと思いました。10年ぐらい前でしょうか。久々に観たくなって、久しぶりに観ました。

邦題がちょっと恥ずかしいですが、恋愛がストーリーの中心になるのは中盤を過ぎてからです。
この作品を一言で紹介するなら、「同じ一日を繰り返すとしたら、人はどう生きるか」という内容です。

主人公の天気予報士のフィルは、上昇志向ですが、高慢な男性です。もっと大きな仕事がしたいと思っており、小さな仕事を馬鹿にするような感じの悪い性格の持ち主です。

アメリカでは「ウッドチャック」という、リスのようなアナグマ?的な動物が、2月2日に春の訪れを占うお祭り(Groundhug Day)があります。

そのお祭りの取材で、フィルと女性プロディーサーのリタは、ある田舎町に訪れます。
そのお祭りと、田舎町を小馬鹿にしているフィルと違い、リタはどんな仕事にも、誰に対しても、真剣で優しく接してくれる女性です。

取材が終わってから、彼らの取材チームは帰路に就くのですが、吹雪に阻まれもう一晩をその田舎町で過ごすことになりました。
「こんなくだらない田舎町で足止めをくらうなんて、バカらしい」
フィルは、ふてくされてその夜寝ます。ところが翌朝起きると、昨日と全く同じ一日が訪れるのでした。

それからも、同じ日がおそらくは何年も続くのです。はじめ、フィルは戸惑い、自分の頭がおかしくなったのではと精神科の病院に行きます。けれども、何をしても目が覚めると必ず同じ朝に戻るのです。
そのうち彼は泥棒をしてみたり、町の女性を口説いたり、好き放題をします。そして自暴自棄になって自殺をするのですが、それでも目が覚めると同じお祭りの朝。

ある時期から、彼はリタを口説く事をします。けれども全くうまくいかない。
そんな事を繰り返すうちに、いつの間にか本当に彼女の事を愛するようになったフィルは、自分を変える行動をとるようになります。

改めて観ると、人が変わる瞬間というのは言葉や行動に現れると気がつきました。
そういった、微妙な気持ちの変化を見事に演じたフィル役のビル・マーレーの演技は秀逸です。
「それは心から思っている言葉じゃないだろ」
「そんな表情では下心丸出しだ」
と思えるのです。
変わり始めてからの彼の言葉は美しく、それに呼応するように、町の人が彼に一目置くようになるのです。
彼にとっては何回も繰り返す一日ですが、他の人にとっては初めての一日。それなのに、町の人々は、初めて会うフィルに心を動かされていくのです。
そんな影響を与える人物にフィルはなるのです。

性格や、生き方を変えるという事に、改めて考えさせられているコロナ禍。
正しさとは人の数だけあるのですが、そんな僕の正しさを証明するにはフィルのように、様々な事を試す必要があるのかもしれません。

変わろうと決めた時の、フィルの動機の中心はリタの求めている人物像に近づきたいという事だと思います。

自分が楽になりたい、セックスがしたいと思って行動しても結局、同じ朝がフィルに訪れます。

自分ではない、誰かを喜ばせようと思った時に彼は変わり始め、
「人の喜びが自分にとっての最大の喜び」だと気がついたフィルは日常を取り戻したのでしょう。

初めて見たのは高校生の頃。20年以上前に見た時はなんとなく面白いとしか感じていませんでした。10年前はまた違う事を感じていたと思います。
そして、改めてみると、昔と違う自分になっていた事に気がつきました。
また、何年後かに観た時には、また違う観方が僕は出来ているのでしょうね。

この投稿を何年後かの自分が読むことを楽しみにします。

2020年の僕はまだ、英語をギリギリ聞き取れました。そっちの僕はどうなっていますか?
どんな暮らしですか?
変わっていなくても、生きていればそれだけでいい。
家族と仲良くしてください。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!