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鏡職人2

 真由美の訪問から数日後、裕太は再び静かな工房で作業に没頭していた。彼の心は真由美との楽しい再会の思い出に満ちていたが、同時に彼の内面の葛藤も再び浮かび上がってきた。突然、工房のドアが軽く開く音が聞こえ、そこには真由美が微笑みながら立っていた。
「おはよう、裕太。また来てもいいかしら?」真由美は明るい声で言った。裕太は驚きながらも歓迎の笑顔を返した。「真由美、どうしたんだい? また作業を手伝ってくれるのか?」真由美は笑いながら頷いた。「そうよ。あなたの作品にはもっと興味があるの。それに、最近ちょっと時間ができたの」裕太は真由美の意思を感謝しながら、彼女に作業を手伝ってもらうことに同意した。彼らは一緒に作業を始め、真由美の存在が工房に活気を与えた。作業中、彼らは過去の思い出や現在の夢について語り合った。裕太は真由美に自分の作品のアイデアやコンセプトを説明し、彼女は興味深そうに聞き入っていた。「裕太、あなたの作品は本当に素晴らしいわ。街の人々がそれを見るたびに、自分自身について考えさせられるのよ」真由美は感心した表情で言った。裕太は謙虚に笑みを返した。「ありがとう。でも、まだまだ未完成だと思うんだ」彼らの会話は時折、静かな笑い声や温かい笑顔で満ちていた。二人の関係は幼少期からの友情に支えられており、それは時間が経っても変わることはなかった。
 作業が終わると、裕太は真由美に感謝を伝え、彼女は微笑みながら工房を後にした。彼の心は彼女との再会の喜びと、彼女の言葉がもたらした深い感動で満たされていた。しかし、彼の内面にはまだ解決されていない問題が残っており、彼の心は不安で揺れ動いていた。彼はひとり静かに、自分の内なる葛藤と向き合う準備をした。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!