車中泊

どれぐらい寝ただろうか。短時間に感じるが、案外長い時間が経っていたのかも知れない。まだ暗い。
運転席に置いてある携帯電話を手探りで探す。
4時過ぎ。起きるには早い時間だが、尿意に抗うことは出来ない。仕方なく、寒い車外にでた。
公衆トイレに入ってから、トラックのドアが閉まる音が聞こえた。
用を足したあと、その持ち主に声をかけられた。
「にぃちゃん、寝られんかったやろう。あの女一体なんやねん......」
ようやくだ。
俺も一年前に同じ経験をしたのだ。そして今回は嫌な役を演じなければならない。
「次はあなたの車にあの霊は憑きます。他に見える人が現れるまでの辛抱です」

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!