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ノンアルコールヒーロー

ドゴッ!!グシャッ!!バギィィッ!!
「ウェヘアハハエハハハァ!!どぉーだァ!オルェに勝てるやづァいねえェェ!」

男は焦点の合わぬ目を夜更けの空にさまよわせ、膨れた下腹を揺らしながら、ドシドシと暴れ回る。地面には何人もの人間が、吐瀉物を撒き散らしてのびていた。

男は手にした一升瓶をラッパ飲みした。飲み下すほどに、淀んだエネルギーが男のうちに増幅される。
「焼酎一升!今のオルェは無敵だァ~!!」
男は空になった瓶を振り回し、万能感に浸っていた。

そこへフラリと近づく別の男があった。

「ようおっさん。俺も混ぜてよ」
「アァァ~?おめえ素面か?オルェをナメてんのかァ!?」
ヘドロを思わせるどろりとした光を虚ろな目に宿らせ、瓶をバットのように突き出して男は凄む。だが新たに現れた男はからりと笑い、

「酒の力なんて要らないよ。これがあればな

飲みかけのジンジャーエールの瓶を顔の横にちらつかせたのだった。


~続く~

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