2020 kusoga! pick
[5295 文字]
2020年という年は実に奇妙奇天烈な年となった。この様に世界が同一の問題で紛糾し疲弊していく姿を見たのは初めてであり、たとえ先の大戦であっても日本国民と米国民の危機感覚意識は大きな差があっただろう。しかし今回の騒ぎについては人である以上世界のどこに居ようとも同じ危機感を享受せざるを得ないという、歴史的にも稀な出来事であったのだと思う。そうしてようやく1年が経ったのだが、我々がこれらを経験していったい何が分かり、今後どうするべきなのか、そして人類にとって私にとって結果的にコレは何だったと言えるのか。そんな事を語ろうなんて、1mmも思ってはいない。単に振り返るのみであるが、個人的な感想や疑念も含まれるので、その辺については大人の目でひとつ宜しくお願いしたい。
毎年年末は占い師にとって書き入れ時だと聞いた事がある。皆来る新年こそはと根拠のない期待を胸に膨らませ、駅前商店街に無許可露店を出す占い師の元へと馳せ参じるのだ。1年の区切りなんて人間の都合で適当に決めたに過ぎないのだが、見知らぬ他人に自身の大切な人生を占わせるという感覚は、そんな適当な節目に重きを置ける神経であればこそなのだろう。例年通り2019年年末も恐らくこういった需要ピークを占い業界全体で支えたのであろうが、果たしてその占いそのものの実はどうであったのか。迷える子羊らは彼らから正しい2020年の在り方や振舞い方、ましてや未曽有の危機に襲われる近未来を知らされた者がどれ程いただろうか。2020年に起こった世界的な脅威に対して、医療界、経済界、政界など文字通りの世界全体が翻弄される年となったが、世界占い連盟(そんなものがあるのか?)には事前にこれを警告する者が果たして何人いたのか。後になって思えば「これは一大事」と声を大にしてネットで警鐘を鳴らしたのは、占い師などではなく中国武漢に住む医師ただ一人のみだった。彼はそのネットでの警鐘が仇となり収監され、奇しくも自ら危険だとしたウイルスで命を落とす羽目となった。いつだって正直者がバカを見る世の中である。R.I.P.。
毎年どんな年であろうが、占いに頼ろうが頼るまいが、世界中の人々は全員それなりに厄介事を抱えつつ、嫌が応にも年を越させられ年始を迎えざるを得ない。1年中のどこを切り取っても、そこは常に「THE支払い生活」と「体調との折り合い」、そして「人様への気遣い」でその他に余裕などなく、幸せな年越しというのはそういった日常から一瞬目をつむることと言ってもいいだろう。世界では大小にかかわらず事件や事故が盆正月関係なく起きているものだ。
2019年から2020年初頭当時の大ニュースと言えば、米国では現役大統領の第1次弾劾裁判が決まり、英国ではEUからの完全離脱が年始早々始まり、スウェーデンに住む18歳の少女が口を開けば世界の気分は沈む一方、台湾では「一つの中国」とかクソが!と言う蔡英文氏が総統となり、イランはウクライナ旅客機を間違って打ち落とし、オーストラリアではコアラやカンガルーが連日焼きだされ、米軍はイラン革命防衛隊司令官を狙って空爆で亡き者にしたりしていた。
さてそのころボンクラの日本だが、首相が桜を見たの見ないの、カジノ統合型リゾートで裏金がどうした、元法相夫婦の金ばらまきで家宅捜査だの、実にケチで幸せなニュースのみに包まれ、大多数の日本国民は前年から大きな変革もなく新年を迎える事が出来ていた。そんな幸福ニュースの中に国土交通省が「2019年の訪日外国人数が約3188万人となり、7年連続で過去最高を更新した」と発表したとあったが、まさかこれがとんでもない数字にまで落ち込むとこの時誰が想像しただろうか。
今や米国の大統領はトランプでさえなく、英国のEU離脱は各国のロックダウンでどちらにせよ行き来そのものが閉ざされ、トゥーンベリは何故か家に閉じこもり、蔡英文が着けた火は香港の一国二制度を無にし、コアラやカンガルーに限らず濠州は人も観光も経済も焼け出され、イランはウクライナに謝りつつ核燃料濃縮を益々進めている。日本は賭け麻雀の黒川杯が挙げられ、牛肉券や魚券やマスクを配る?やめる?どする?とか国会で論争になり、醜態の限りを尽くしたのだが、そういった事で日本の首相も首こそ入れ替わってみたものの政治は何一つ変わらず、何かこの惨事から学んだものがあったのかと問われても誰一人答える事は出来ないであろう。
それでも人が集まり生きていれば情勢を背景にしながら民族的文化は醸成され極彩色に彩られてしまうのだから不思議である。各テーマパークや遊園地は閉ざされ行き場を失った家族連れはこぞって鬼殺しの映画を鑑賞するに至り、その興行収入は過去最大で最速であったりもした。しかし東京オリンピック2020は流石に無理!という事で次年度へ延期となったがさてこれの結末は2021年に続く。しかしこれには相当な利権が絡んでいるであろうことは生まれたての乳飲み子でも周知の事実ではあり、当のIOCや東京都、スポンサー大企業はコロナとは全く関係のないズレた論争を盾に必ず開催と断言している。しかしギリギリになって開催しないとなれば首に縄がかかった状態のまま足元をすくわれるお金持ちらがワンサカで、マズいマズいと焦る様子を想像すれば悪戯心も働いて「もうそんなものやめちまえ!」とツイートしてしまうのもまた民族的文化熱であろう。
言葉はその時代を映す鏡でもある。2020年は古い言葉が最脚光を浴びたり、新しい言葉がどんどん生まれた年でもある。言葉が生まれるのには必ず背景があり、多く使われるにも理由があるものだ。
パンデミック、あまびえ、三密、リモート、在宅、○○警察、アベノマスク、ロックダウン、ステイホーム、クラスター、エッセンシャルワーカー、新たな日常、濃厚接触、エクモ等々は2020年のニュースを騒がした言葉はコロナ絡みのワードが並び腑にも落ちるのだが、10代から20代の若者に尋ねた2020年の流行り言葉はこれとは全く変わって来る。密、あつ森、ダルゴナコーヒー、いちご飴、推し、ぴえん、恋は続くよどこまでも、おうちカフェ、鬼滅の刃、優勝、ごりごり、チバニアン、グランピングなど、危機感のかけらもない。
要するに日本政府や各自治体の長が必死に訴えても、コロナどこ吹く風で全く若者には響いていなかったと言って良い。コロナは現実として蔓延しているのであるから、これを若者のせいとか言っている場合ではない。責任の所在を言うなら明らかにジジイらのせいだ。罹患して死ぬのはジジイらなのだから、責任ある立場のジジイは更に多くの危機感を持って若者に訴えねばならない筈だ。そもそも若者は暗い話が嫌いなのだ。何故ならごちゃごちゃ考えても、結局ジジイがおいしい所を持って行ってしまうからであり、そういう歴史がこの国は長くはびこり続けている。それならジジイをつまはじきにして刹那に今を気楽に楽しもうとなってしまうのは至極当然。ジジイらの顔は常に現金や票、権力を握っている実力者や企業に向きっぱなしである。つまりジジイ同士がヨシヨシと互いの薄い頭を撫で回している実にキショい状況が続いているのである。若者に限らずそんな様子を遠目に見ていれば冷静な国民はそんな奴らの話に乗れる筈もない。そうこうしている内に第1波より2波、更に3波と被害は拡大していった。何ともお気楽な国だ。
運が良かったのは海外、特に西洋と比べ日本や東洋の国の罹患者数が大きく少ない事だろう。ざっと10倍以上の違いがある。ハグやキスなどの風習がないからとか、屋内で靴を履かないからだとか、理由はいろいろ言われているがどれも今ひとつこの数字を覆すほどの説得力がない。
当初このウイルスの蔓延で武漢のとある施設が注目され、誰でも想像し得るひとつの推察が一般論となった事があった。その施設とは「武漢疾病予防コントロールセンター」である。
このウイルスの凄い所を上げるなら、もし人為的に、つまり兵器として作るならこうすると良いだろう、という条件をよく満たしている点である。
空気感染で広く無差別に広がる。
無症状感染者が数日間動き回り、鼠算式に健康体へ感染させる。
予防も含め感染非感染関係なく人同士が集まることを許さない。
それはあらゆるコミュニティーの断裂を招く。
人口の少ない村より大都会の被害が大きくなる。
これだけでも十分恐ろしいウイルス兵器なのだが、それ故にもしこれを作る立場としてもう一つ必ず付加したい機能があるとすれば、「作った自分には感染しないという機能」であろう。もし万が一このウイルスが人工的に意図されて製造されたものであれば、例えばモンゴロイドには感染しにくいという機能を有していてもおかしくはない。もし最悪感染したとしても、これを治す薬さえあればこのウイルスは怖いウイルスではなくなる。
兵器であればの話である。生物兵器禁止条約を冒してでももし作るとしたら、このように都合の良いウイルスを作り、同時に治療薬も作るだろうというSF的な例え話だ。これが西洋と東洋の差であり、同じ東洋でも大きく違う理由はこれだとは断言する訳ではない。しかし人の憶測は勝手に広がるものである。
実際の中国は最初こそ国内で感染爆発を起こしかけたが、今の感染者数は最大ピーク時の2%(2021/1/22現在)に過ぎない。日本の現在の最大感染者数は81%(2021/1/23現在)で、日本のコロナによる死者数は中国より既に多く、総感染者数は中国の4倍を超える。西洋に至ってはこの比を遥かに超えていく。
スマホは静止画、動画、文章、音声、それらをリアルタイムに発信できるデバイスであるが、これを地球人全員が携帯している。世界中は今や相互監視社会であると言っていい。唯一監視が届かないところは人が行かない所であるが、日本海溝の底へ行けないのは当然として、国家機密であるとゆう理由で行けない場所は多数存在している。その中では当然ながら見聞きしてはならない物事が日々行われてたり存在していたりする訳で、万が一それを知ってしまった場合、一生国から厳しく監視されるというのが以前の罰でもあった。がしかし監視はもう国だけが行う所業ではなくなってしまっている。
2020年5月に起こったジョージフロイド事件は、Black Lives Matterの呼び声と共に世界中へ人種差別撤廃の積極行動主義運動を広めた。世界が知る発端となったのはSNSへの動画投稿である。被害者は死亡、加害者の警官は殺人罪で起訴。そして女子高生だった投稿者も世界中から酷い誹謗中傷を浴びせられ、殺人を目の前にしたショックもあって今は違う場所でひっそり暮らしているという。この運動により陰に隠れて見えていない差別がなくなっていることを願うばかりだが、事実として上がってくる情報は登場人物の誰一人として幸せにはなっていない。
コロナは直接的に偉大なコメディアンや俳優、医療人、そして多数の誰かの家族を死へと追いやったが、感染という直接的な方法以外にもどうやらかなりの命を奪っていそうだ。そうでなくとも皆懐具合も、精神状態も、健康状態もちょっと爪がかかっただけでパンとはじけそうな日常を送っていたのだ。この様な世界的な非常事態への個人個人の準備は全く出来ていなかった。なのにこのオトボケ政府は経済を回しながら感染予防をするとか、この業界は助けようとか、どこどこの業界で感染が多く発生するとか、飲みは何時までとか、5人以上の懇談は許さんとか、ライブは5,000人以下とか、やっぱ無観客にしろとか、会社に行くなとか、行くならバラけろとか、利権か規制かしか中身がない話はもう散々で聞き飽きた。
国を責任持って運営する仕事の人は、分かった事と分からない事だけ話してくれたらそれでよい。あとはこちらで判断する。何故酒の提供時間まで国が指図するのか正直意味が分からない。国民はそんなにバカではないし、もしバカ国民ならそうしてしまったのは誰なのか胸に手を当ててよく考えるべし。誰のせいだとか言ってる場合ではないが、未だに政府を信じる真正直でピュアな人もこの国には居るのだから、そういう人らを都合よく使ったり裏切る事だけは本当にやめてもらいたい。
そんな事を言っていてもつまらないので、最後に2020年に良かったことを思い出してみようではないか。
・カマラ・ハリスが米国初の女性副大統領に。
・日本政府が性犯罪・性暴力対策の強化の方針をやっと発表。
・BTSやオバマ夫妻らが卒業生にエールを贈る。
・フォーチュン500企業で女性CEOの数が過去最高に。
・希少種や絶滅寸前の動物が復活!
・プラスチックを数時間で分解する超酵素の開発が成功。
・日本でプラゴミに配慮しレジ袋有料化。
・99歳の英国人男性がNHSのために約45億円を調達。
・世界の再生可能エネルギーが記録的な伸び。
・ 11歳のナイジェリア人バレエダンサーの夢が実現。
・サーキュラーファッションの興隆。
・インフルエンザが劇的に減。
・世界的な「生理の貧困」キャンペーンが成功!
・女性性器切除(FGM)撤廃に大きな進展。
・同性婚が複数の国で合法化。
・複数の国や都市で転向療法が禁止に。
・新型コロナワクチンが(たぶん)完成、一部国で接種開始。
少しは明るくなっていただけただろうか。
私は一向に。