ボクに女性の好みを訊く!?
【あらすじ:紹介】
平安時代にダークヒーローとして有名な蘆屋道満が令和の高校生に転生!? 病院の男性医師に片想いしつつも日常を過ごしていく、転生ほのぼの、時々ギャグ&ボーイズラブなお話。
◆一話完結:ボーイズラブの片想いをエッセイ風にした短編です。◆
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8月、高校生も夏休みシーズン到来。
夏だ、海だ、山だ、湖だと、気分もあっがりまくり~♪
だがまだ骨折した足の指骨がズレているから包帯は取れていない……
このぉ、めちゃくちゃな猛暑っ。足の包帯の真下に展開する、汗とムレと痒みの三重苦行なんて、マジ有りえないんですけれど(号泣)
まあ、その気になれば骨のズレなんて呪術で治せなくもない。
が、整形外科のイケメンK先生に会えなくなる方が辛いから、もうちょい我慢しようかなっとか、思ってしまった。
この間の診察でK先生が「暑いから大変だね」とボクの足を包帯の上から撫でてくれた。
おおっ! K先生の御手に触れられている、どうかこのまま触れたままでいてくれー。いっそ、この手をチョンと切り離して宙に浮かせ、永遠にボクの足を撫でさせようか……。
ちっ、ここで片想いのボクは、それをやったら野蛮だ、欲望に従うのは良くないとか考えてるじゃんかよっ。
が、また来週の診察でK先生が撫でてくれるまで辛抱しよっかなとか、思った。
こんなふうにボクがいい気分の診察帰り、背後から呼び止められた。
「蘆屋くん」
振り返ると、どこにでもいそうな普通な雰囲気の同級生女子がいた。
「ねえ、蘆屋くんって、どんな女性が好み? いま誰かと付き合ってる?」
は? ななななななんなんだ、いきなりなこの展開は!
ここは「もう夏休みの宿題終わった?」と訊くのが一般的でないのか。
やむを得ん……こんな時は適当にあしらうに限る……うん?
うううん…………マジで?限る?……かな?
「うーん……まあ、しいていえば、小野小町と和泉式部を足して2で割ったとしても好みじゃないかもねぇ」
「はぁ? 何それぇ? 意味わかんないし。それって好みが無いってことでいいんだよね? 付き合ってる子はいないんだよね?」
「うーん……まあ」
と、言葉を濁す……にしても、絶世の美女と謳われた小野小町も知らないとは世も末だよぉ。
「じゃあさ、良かったら私と付き合わない? ほら、私って男子からも人気あるの知ってるでしょ。それってぇ、可愛いからだと思うんだ」
「うーん……、まあ、しいていったら付き合わないかな。可愛い女子よりもイケメン男子の方がいいなぁ」
「うわっ……訊かなきゃ良かったぁ……。せっかくの土曜日がサイアク過ぎて笑えなーい」
「ぶっ、あっはっはっは、最悪過ぎると笑えるよね……あっはっはっ」
「蘆屋くんって、マジサイテーだよ」
いや、それはこっちのセリフだ、好きになる人が同性でもいいだろっ、と思ったら、その瞬間、目の前が暗くなった。フツ顔同級生女子が、持っていたバッグでボクの顔面に向けバァーンとブチ当てたからだ。何するんだよっ、ふつ顔、さすがに温厚なボクだってムカツクぞぉ。
まあ、ぶっちゃけ、呪術で悪鬼を呼び出して、ふつ顔の魂を抜き取るぐらい、お手の物だ。
が、令和でゆったり穏やかに過ごすことを決めたボクは、ぐっ、ぐぐぐぐぐっと我慢する。
ふつ顔が「あしたぁ、みんなに言うからねっ!」捨て台詞をほざいて去った。
以上、興味のカケラも持ち合わせていない「ふつ顔女子」から突然告白と暴力と偏見を受けても何事もなかったかのように対処できるなんて、なんて人徳の高い人間に転生したんだ、最高に立派だよボクは!いっそ人徳道満と改名してもいいぐらいだ、と、自分で自分を富士山ほどに褒め、どんどん褒めすぎてエベレストにまで達し、エベレストとチョモランマの境界線に「陰陽師 蘆屋道満♡」の明朝体で書かれた大文字の赤旗を立てたら、五芒星なんぞのチンケな旗より、よっぽどイケてるだろう、どうだぁ安倍晴明、ボクの実力をっ、うぇーい、イェイイェーイ~の高校一年生の蘆屋道満16歳の独り言ごとでした。
追記 イェイイェーイ~の後には、指がブイの字になっていることを切に想像してほしい、イェイ(^^)v
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◆陰陽師の蘆屋道満が昭和に転生して登場する「鴉金屋の娘」も連載中です。こちらもよろしくお願いしまーす。
長編小説を書いた経験がないんですが、春なので新しいことを始めようと連載することにしました。noteの登録も初めて、と「はじめて」尽くし。私をサポートして下さると嬉しいです。クリエイターデビューの応援に感謝をこめて!