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非常に個人的な「映像作品『猫ちぐらの夕べ』と『NEW MIKKE』」の感想

スピッツの映像作品が2タイトル同時発売された。ライブ2本分を同時に見られるなんて最高の贅沢です。

そして今回のリリースに関してはまさにこの2タイトル同時にリリースされたという事実が一番重要なポイントだと思いました。さらに言うなら「コロナ禍」という点も。

まず『猫ちぐらの夕べ』は2020年11月26日に開催。『NEW MIKKE』は2021年6月19日に開催されたライブ。

前者はコロナ禍というものがまだまだどういうものなのか、そして今後世界はどうなっていくのか、かなり先行き不透明だった状態でのライブだったこと。後者はコロナ禍というものを世界が経験して、今後どうやって立ち向かっていくのかを考えている状態でのライブだったこと。

僕は幸運にも両方とものライブ会場に居合わせることができたので、それぞれのライブのムードみたいなものも現場で感じることができていた思います。

以前のnoteにも書きましたが、『猫ちぐらの夕べ』のライブでは客席の僕の周りの人たちが皆泣きながら観ていました。もちろんインクルードミーでございます。全員着席でね、曲の合間にすすり泣きの声が聞こえてくるんです。ライブを楽しむ、というよりはスピッツがライブをやってくれていることに救われているような感覚というか。

その点『NEW MIKKE』のライブでは、経験を経てこの先の未来をどう作っていくのか皆で模索しながらも、歩き出しているような感じ。明るいというまでは行かないまでも、それこそライブを楽しむ気持ちでいられたし、実際に“ライブを楽しめる”ようなライブだったと記憶しています。グッズとかもいっぱい買っちゃってね。くぅー楽しかった。

とまぁダラダラ書いてきて、それはそれとしてこの2作品はその辺の事情を度外視しても素晴らしい内容になっております。

では、あまり長くならないように個別の映像について。『猫ちぐらの夕べ』から参ります!こちらのライブ、それこそコロナ禍でしか起こり得ないスペシャルなライブでもありましたので、とにかくセットリストがとてつもなくレア。

1曲目が「恋のはじまり」2曲目が「ルキンフォー」ですよ、、、こんなライブが観られるなんて、そして映像作品として手に入れられるなんて、生まれてきてよかった!個人的にも死ぬほど聴きまくって愛しまくってる2曲なもので、パニックになりそうな気持ちでございます。

それは恋のはじまり そして闇の終わり
花屋のぞいたりして

ダメなことばかりで 折れそうになるけれど
風向きはいきなり変わることもある一人で起き上がる

ですもの。そりゃ泣くわな。実際配信を観た時も、今回映像作品を観た時も涙しました。

この日のライブのコンセプトが、まだ立ち上がったり歓声を出せないでも楽しめるような内容ということなので、かなりレアな楽曲が組み込まれています。

「魚」、「ハートが帰らない」、「君だけを」あたりはレア中のレアなのではないでしょうか。

そんな選曲で曲調自体もミドルテンポが多めだったりするのですが、僕が感じたのは歌詞の世界観も穏やかというか、どちらかというとポジティブというか前向きになれるような暖かい歌が多めな気がしました。その辺もメンバーや、スタッフの緻密な配慮を感じられます。

各曲が鳴らされるたび、どっぷり闇に浸かっていた心が少しずつ浮かび上がっていきます。アンコールの最後が「ハネモノ」。声は出せなくてもクラップならできる!と、ここぞとばかりに会場全体が手拍子をして一夜限りのコンサートは終了します。

、、、どうだ無理矢理短くまとめたぞ。

そして『NEW MIKKE』。こちらはアルバム「見っけ」のリリースツアーのライブになります。先述の通りですが、コロナ禍の最中ながらも世界が経験を積んで、しっかりとした対策やコロナというものをどうにか乗り越えていこうと試行錯誤している頃という認識で良いでしょうか?

とにかくライブも『猫ちぐらの夕べ』と比べてもパワフルに、明るくなっている印象です。そして(これは『猫ちぐらの夕べ』が悪いというわけではないのですが)このライブの音源のミックスがとにかく素晴らしい。

エンジニアはどちらも変わらず高山さんで、彼のミックスはいつでもぶっ飛んでいて最高なのですが、『NEW MIKKE』の音の方がビビットに鳴っていると思います。きっと演奏しているメンバーのテンションとか気持ちの部分が音に乗っかっているのだと思います。それこそが打ち込みではなく生身の人間がプレイしている醍醐味であって、ライブとはまさにそういうものだと。あぁ、やはり映像作品にしてもらって幸せ。(初回盤はCDもついてるから、移動中とかにライブアルバム聴きまくれます。)

「見っけ」というアルバムが最高なので、そのアルバムから多めに選曲されていてまぁ最高なセットリストなのは言うまでもないのですが、改めて1曲目のタイトルチューン「見っけ」から最高すぎます。

CD音源には入っていないキラキラのSEが鳴らされ、ステージ中央の照明が迫り上がっていくという演出から始まるのですが、こんなに胸がときめく「再会」って他にあるんでしょうか?高揚感のあるコード進行とメロディーラインで、心が場外まで飛ばされていくような爽快感。

そこからも新旧織り交ぜた絶妙なセットリスト。聴き込んでいた「見っけ」収録曲もライブではまた違う輝きを放ちます。

個人的に、「嘘だろ?良い曲なのは知ってたけどライブでもっと爆発するんだな」と思ったのは「快速」「YM71D」。特に「YM71D」はCD音源とは別曲になった?というか、曲自体のノリが変わっていて違うタイプのダンスチューンになった印象でした。

既発曲では嬉しかったのが「ワタリ」。この曲も私大好き中の大好きな1曲でして。こんな最高のライブ曲、毎回やってくれー!といつも思っていた曲なので嬉しかったなぁ。歌詞も凄すぎる。「放浪カモメはどこまでも」からの流れも最高。

他にもですね、「遥か」「けもの道」「水色の街」「稲穂」という三日月ロック期の楽曲が多かったり、最新曲「紫の夜を越えて」の初ライブ映像化もあったり。とにかく見る価値ありまくりです。

ハイライトは意外とピークには置かれず流れの中で披露された「ありがとさん」でしょうか。音源よりも少しライトなムードで演奏されている印象ですが、とても前向きに聴こえて来ております。

あとですね、何と言っても「ヤマブキ」の躍動感というか爽やかな風が吹き抜けていくような軽快なライブのラスト。ここからまだ先があるんだよ、とでも言いたいようなスピード感のあるグルーブ。また聴こえてくるSE。最後マサムネさんが

「またお会いしましょう」

じゃなくて

「またお会いしますよ」

って言ってるように聞こえるんですが、私の聞き間違いでしょうか??
まだまだこの先もお付き合いさせてください、よろしくお願いいたします!

、、、長くなりそうなので一旦ストップ。各々のライブの細かいところに言及し出すと一生終わらない。

実はここからが僕が書きたかった本題でして。冒頭でも書いたのですが今回のリリースでとても大きなポイントになっているのが2つの作品が同時にリリースされたという点です。

ほとんどの方は両作品ともゲットされていると思いますし、僕のテキストを読んで興味を持ってもらったら、ぜひ両作品とも手に入れていただきたいです。

この2つの作品はとても対照的というか、2つで1つのような内容になっているとも言えるように感じています。

まず、セットリスト。計られたようにように被りがありません。1曲「楓」だけ両ライブで披露されていますが、それも別の意味を持つような仕掛けになっているような。

もちろんそれぞれのライブがきちんと1本のライブとして成立するように構成されているのは言うまでもないですが、なおかつ曲被りを避けている。元々同時リリースまで見越していた企画なのかなぁ、だとしたら本当にプロの仕事として凄すぎです。

さらに、この2作品ともに共通するのが

「照明が最高に美しい」

という点です。もうね、これはメンバーもそうかもしれないけどライブスタッフの勝利と言っても過言ではないと思います。

『猫ちぐらの夕べ』の照明は穏やかというか、激しい明滅などはなくおおらかな演出になっているように思えます。どの曲がいいとかいうレベルではなく全曲素晴らしいのですが『猫ちぐらの夕べ』では「みなと」の照明が美しすぎます。ミラーボールを使った演出なのですが、幻想的とでも言いましょうか、この世ではないような世界観とでも言いましょうか、とにかく素晴らしい。悲しいかな照明に対する知識がなさすぎなので、すごい!としか言えないのですが、楽曲に色付けをしていくアートのように感じています。

そして『NEW MIKKE』はまさに対照的。とにかくバキバキです。「けもの道」の照明とかぶっ飛んでいて楽曲を何倍もエモーショナルに伝えてくれています。途中で天井?上部のセットが降りてくる演出とか、なんと言う技術かわからないけど攻め攻めの照明。映像になるとじっくり何度でも見れるので、その凄さがしっかり確認できます。

さらにさらにライブアレンジの妙。これは2本が対照的ということではなく、各楽曲のアレンジがCD音源と変わっているものがかなりあります。ライブはライブ(田村さんもMCでおっしゃっていた)とバンドが考えているのか、もちろん元音源のままプレイしている曲もありますが、スピッツはライブアレンジについてはあまり躊躇なくやってくれます。田村さんのベースラインもそうですが、クージーのキーボードのアレンジもかなりライブのキーになっています。(「青い車」のアウトロのオルガンとか、マジでCDでも聴きたいよー!っていうプレイになっています。)

「君だけを」みたいに大胆に曲の構成を変えてくるものもあったり、両作品に収録されている「楓」の中間部の弾き語りになるところとか、ライブで輝くアレンジにもぜひ注目してもらいたいです。2本のライブで被りが1曲だから、至る曲で楽しみまくれます。

まだあります、、、。この2本のライブはMCをすべて(おそらくすべてのはず)収録しています。きっと配信とか映画上映があったのでまるっきり入れてくれたんだと思います。

これはメンバーのゆるーい微笑ましいトークが聞けるという点もさることながら、やはりコロナ禍でメンバーがどういう心境でライブをやっているのかを如実に表している部分でもあるので、ドキュメントというか未来から振り返った時に、スピッツというバンドにとってこのコロナ禍というものがどういうものだったのかという貴重な資料にもなると思います。

さらに言うならデザインもとても対照的というか特徴的になっています。ジャケットは見ての通りなのですが、僕がぐっと来たのがBlu-ray(おそらくはDVDも)の盤面デザインです。この辺のアートは木村さんの手腕が大きいんだと思いますが、いちいち素晴らしい。

あとこれだけは言っておきたいこの2作品における最も大切なポイントが映像の編集です。2タイトル、46曲分の映像を観ているこちらが一切飽きることなく、ぐいぐい映像に引き付けられるような作品に仕上げてる番場さんの才能。今までの映像作品でも言及していますが、ブレていたり、ピントがあっていなかったり、スタッフが映り込んでいたりしてもお構いなし。というかわざと意図的にそれらのカットを入れることによってよりライブ感みたいなものを映像に練りこみ、最高の映像作品に仕上げていくんだと思います。

今回もライティングによるハレーションを起こしているカットを多用していたり、メンバーの心情が表れているカットをしっかり盛り込んでくれていたり。特に『猫ちぐらの夕べ』の時はライブから配信の公開までの期間が結構短かったと記憶しているから、ものすごいスピードで仕事をされていたんだろうと推測されます。(ということは音の部分も高山さんも同様ですね。)

本当はですね、ここのカット!ここの流れが素晴らしい!という箇所を具体的に羅列したいのですが、どうですか?ここまで読んでる人はもういないのでは、、、それほど長くなってしまった。もうダメ。長すぎ。もしかしたら今までで一番長くなってるような気がする。止めます。

とにかくこの2作品素晴らしい!スピッツ素晴らしい!NEWアルバム待ってます!ということで締めさせていただきます。読んでもらった方ありがとうございました。

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