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非常に個人的な「紫の夜を越えて」(と少し「猫ちぐら」「猫ちぐらの夕べ」)の感想

スピッツのNEWシングル「紫の夜を越えて」が配信リリースされた。

先日ディレクター竹内さんのラジオで語られていたけど、タイアップありきで制作された楽曲とのこと。昔何かのインタビューでマサムネさんが「タイアップとかお題が与えられると曲が書きやすい」という話をされていたのだけど今回はどうだったんだろう?

初めてテレビで流れる時にまさにテレビ画面の前にかじりつくように聴かせてもらったんだけど、音が鳴って1秒かからずこの曲が名曲であることがわかるようなムードを感じた。その時は「あぁ、またもや良い曲だ!」と漠然と受け取っていたんだけど、今回正式にリリースになったことで、スピッツファンの皆さんと同じく狂ったようにこの曲を聴きまくって僕なりに感じた感想のようなものを書かせていただきます。

その前に去年バタバタしていたので、「猫ちぐら」と「猫ちぐらの夕べ」について全く書けなかったので少しだけ。(というか書く前から予感しているけど、めっちゃ長くなるだろうな・・・)

コロナ禍に入り、他のバンドと同様に思うような活動ができなくなったスピッツ。その中で突然産み落とされた楽曲「猫ちぐら」。あぁ、僕が語るまでもない名曲。

スピッツだってコロナ禍の痛みを感じているハズなのに、この楽曲は僕らの心癒してくれる優しさを持っている。

よくいう「背中を押してくれるような曲」というよりはコロナでくじけそうになってうずくまっている自分の横に、ただ黙って座ってくれている安心感のよう。うーん、書いてて気持ち悪いけどそんな風に救われた自分がいました。

「弱いのか強いのかどうだろう? 寝る前にまとめて泣いてる」

という一生もののフレーズが胸にずっと響いております。

さらにこの曲に関しては曲単体というよりも「猫ちぐらの夕べ」までのストーリーもあります。それこそ、世界中のアーティストが全然ライブをすることができなくなった2020年、逆にコロナがあったからこそ発現した奇跡のような素晴らしい夕べ。僕はまさかのチケットが当たるという幸運に恵まれ、あのライブに立ち会うことができました。(思えば「MIKKE」ツアーもチケット取れたのに、行けなかったという地獄も味わいましたから、これでつうぺになった!)

内容は僕が語るまでもないですが、ひと席ごとに空けられて座っている僕の周りのお客さんがみんな泣いていたのが印象的でした、もちろん僕も終始泣きじゃくってました。そして僕が胸が締め付けられるほど感動したエピソードをひとつ。

僕は3階席のステージからはかなり遠い場所から見ていたのですが、その前列おそらく僕と同じ年くらいか少し上くらいかな、失礼な話ですがみるからに「おじさん」の風貌の男性が座っていました。その彼が時折、双眼鏡でステージを必死に見たり、声を出せないから身振り手振りでスピッツのライブを感じ取ろうとしていていて、僕はそれを視界の端に感じながら感動していました。きっとおっさんのそんな姿みられたら普通キモチ悪がられるであろう、でもそうせずにはいられない彼の背中が忘れられません。

そう、僕もおんなじ。周りから見たらイタイファンであろう。けど普段はできるだけ人の邪魔にならぬように生きて、この瞬間くらい誰の目も関係なくライブを楽しんでいたいって。いいぞ、前列の人。

会場内ではお酒が飲めなかったので、ライブ後足早に会場を出て近くのコンビニで缶ビールを買って、一人で飲みながら駅まで遠回りして帰りました。あの日聴けたレア曲を含めて、(勝手に)彼と一緒に楽しんだ夜は一生の宝物です。

そして印象的だったのがライブ終了直後にオフィシャルがセットリストをプレイリストにして公開していたこと。ライブ中に必死に頭にセットリストを叩き込みながら観ていたので、これはめっちゃ嬉しかったです。ストリーミング、うーんいい時代だ。

あと、カウントだけで「来た!ルキンフォー!」って思えた自分が流石にやばいやつだなと思ったり、「みなと」の時の照明が、、、、、とこのままだと一生「猫ちぐらの夕べ」について書いていそうなのでこの辺で終えます。


話を戻して、「紫の夜を越えて」。予想はしていたけど3/25に突然配信が開始されました。NEWS23で流れている時にアナウンサーの話の裏っかわで薄く流れていたのを必死に聞きながら歌詞を聞き取ろうとしたり、「あ、Cメロがあるな」とか、とてももどかしい思いをしていたので、フル尺で聴けた時の感動ったらもう!

パッと聴きとても印象的だったのは、音が明るいということ。三輪さんのアルペジオの音もいつもよりきらめいて聴こえるし、続くドラムのキックの音も「見っけ」の時の重厚感というよりは軽快な音色。マサムネさんの歌も優しさをとても含んでいるし、薄くかかっているディレイも透明感がある。一瞬入るギターのトレモロ?の音だけが壁のように聴こえるけど、ベースもドラムキットも明るく聴こえる。これは明らかに意図的にサウンドプロデュースがされている(ハズ)。タンバリンもいい音してるなぁ。(サビまでの4拍目にさらっと入れるあたり、何気なく最高のセンス、、、。)

これも毎度書いている気もするけど、前作「見っけ」で黄金期というかピークを突いたような傑作を作ったバンドは、その場所に甘んじることなく次のステップに向かったのだと思う。今回大きな外的要因として「コロナ禍」というものがあり、より明るいサウンドメイクをしたのだと思う(と僕は勝手に思っています)。あるいは曲調がそれを呼び込んだのかもしれない。シングルでサビのドラムが頭打ちで引っ張るみたいな曲ってここ最近なかったような。

心に重しをつけて生かされているような僕らに灯った、明かりのような歌だと思う。歌詞もいつも通り素晴らしい。前作までも感じていた歌詞の世界観が今までよりピントが合っているムードは持ちながらも、その世界はとても広い。アルバム曲というよりはシングルとしてリリースされたからか、カバーしてくれる感情が多い。

多面的というかもはや球体(それこそ惑星のように)のような無限の感情が詰め込まれるように聴こえる。タイムリーな所で言えばエヴァンゲリオンのようなきちんと説明ができない(そしてする必要がない)けどとても良いって思えるような感情というか。

さらに今回コーラスが極端に少ない。ずっとハモっている、みたいなパートもないし。だから言葉がより強く響くのかもしれない。

歌詞をひとつずつ切り取るとキリがないくらい素晴らしいのだけど、もはやとても長くなってしまったので、僕が一番痺れたフレーズを紹介して終わります。

「なぐさめで崩れるほどのギリギリ」

これがあるかないかでこの曲の意味が全く違く聴こえるほどのキラーフレーズであり、スピッツというバンドのある意味の恐ろしいくらいの凄みが凝縮された歌詞だと僕は思っています。(より気味の悪い個人的な話ですが、自分の曲の「世界はバランス」の中で「動いていく」という歌詞は完全にスピッツの歌詞からいただいています。「ビギナー」からいただいたんだけど、今回も使われてますね。)

さらに、これはマジで強く主張したいのはストリーミングもいいんだけどこの曲が気に入ったらDLして買って聴いてもらいたいという点。感動値がグンと増します。さらに言えば限定生産だけどCDもアナログも出るんですって。ありがたい、DLよりもCDの方が音がいいからもっと良い曲に聴こえるハズだし、7インチなんて物体として宝物になるでしょう。くぅ、、、7月まで頑張って生きていきます。七夕かぁ、また生きる意味を増やしてもらえた。

あとこれは身も蓋もない言い回しかもしれないけど、兎にも角にもめっちゃいい曲だ!「紫の夜を越えて」最高だー!スピッツ大好きだー!マサムネさーん!三輪さーん!田村さーん!崎ちゃーん!ありがとうございます!うわぁー!!!

以上です。

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