noteの躍進を支えた「データと世界観の甘い関係」:成長戦略の舞台裏
クリエイターと読者をつなぐプラットフォームとして急成長を遂げているnote。その成功の裏には、データ分析と世界観の巧みな融合があった。noteのCXO深津貴之氏、プロ戦略顧問の串田光氏、そしてデザイナーの松下氏が、その成長戦略の舞台裏を語った。
データと世界観の融合:noteの独自アプローチ
noteの成長戦略の核心は、定量的なデータ分析と定性的な世界観の融合にある。深津氏は「全体のバランスと世界観を重視する」アプローチを、串田氏は「データを用いて特定の領域にフォーカスする」アプローチを得意としている。この異なる視点を組み合わせることで、より効果的な戦略立案を実現している。
データチームの強化と可視化の取り組み
2年前から、noteはデータの可視化と分析体制の強化に取り組んできた。当初は専門家の不足により、経験則や直感に頼る部分も多かったが、徐々にデータドリブンな意思決定プロセスを確立してきた。
成長モデルの構築
noteの成長モデルは「読んで楽しい、書いて楽しい」というシンプルなコンセプトを中心に構築されている。このサイクルを継続的に回すことが、noteの成長につながると考えられている。
クリエイターの継続率向上:中核的KPI
noteの成長戦略において、最も重要な指標として「クリエイターの継続率」が設定された。この指標は「パブロレート」と名付けられ、パブロ・ピカソのように生涯創作を続けられる環境づくりを目指している。
データ分析による課題の特定
クリエイターの継続率に影響する要因を特定するため、詳細なデータ分析が行われた。その結果、予想に反して「ネタ切れ」よりも「モチベーション維持」が大きな課題であることが判明。この洞察に基づき、戦略の方向性が調整された。
具体的な施策:「好き」ボタンの拡充
分析結果を踏まえ、クリエイターのモチベーション向上を目的とした「好き」ボタンの拡充など、具体的な施策が実施された。
意思決定プロセスとチーム連携
串田氏が主導する週1回のミーティングで大きな方向性を定め、それをnoteの開発チームが具体的な施策に落とし込んでいく。このトップと現場の緊密な連携により、迅速な意思決定と実行が可能になっている。
実験と学習のサイクル
noteでは、仮説を立て、素早く実験し、そこから学ぶというサイクルを重視している。串田氏は「打率で処理する」というアプローチを取り、個々の施策の成功よりも、全体としての学びと進歩を重視している。
バランスの取れたアプローチの重要性
定量的なデータ分析と定性的な世界観のバランスを保つためには、双方への理解とリスペクトが重要だと強調されている。また、両者の視点を持ち寄ることで、より深い洞察が得られるという。
今後の展望
noteは今後、サービス内部の改善だけでなく、外部との接続にも注力していく方針だ。オフラインイベントや出版、テレビなど、noteの世界を外部に広げていくことが次のチャレンジとなる。
まとめ
noteの成長戦略の核心は、定量的なデータ分析と定性的な世界観を巧みに組み合わせることにある。クリエイターファーストの姿勢を保ちつつ、データに基づいた意思決定を行うことで、持続的な成長を実現している。
この「データと世界観の甘い関係」は、他のスタートアップやコンテンツプラットフォームにとっても大いに参考になるだろう。定量と定性のバランスを取りながら、ユーザー中心のサービス開発を進めることが、今後のデジタルサービスの成功の鍵となるかもしれない。
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