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ハービー・山口さん『人を幸せにする写真』

今ちょうど新しいカメラが欲しくて、気分が高まっているので写真に関する本を読んでみようと思い立って代官山蔦屋に寄り道した際目に止まったのが、ハービー山口さんの『人を幸せにする写真』。
恥ずかしながらぼくはハービーさんのことを存じ上げなかったのだけど、なぜかたくさんある本の中からこのタイトルだけが目に止まって、読み終えたので印象に残ったところを少し書いてみる😌

表紙はフィンランドの少女たちが微笑んでいるモノクロの写真。中をペラペラとめくってみるとなんともゆったりした空気の流れるポートレート作品が目にとまった。
(ちなみに、ハービーさんは1950年生まれ。大学卒業後にロンドンに渡ってミュージシャンや俳優を撮影していらっしゃるフォトグラファーでありエッセイスト)


印象に残った1つはここ。
写真家になろうとしていた大学生のハービーさんが池上本門公園を歩いていた時、バレーボールをしていた二人の中学生を撮影した時のエピソード。

 彼女たちは真剣に、時に笑顔で軽やかに動き回っていた。あるとき、私が一人に近づき過ぎてボールの軌道に入ってしまった。ボールが私に当たりそうになり、一人が私を心配して「あっ」と小さく叫んだ。時間にして一秒に満たない瞬間だったが、私はその優しい表情を見つめていた。ボールを避けようと身をよじった私は、その瞬間の表情を撮れなかったが、しっかりと心に刻んだのである。もし今の表情を撮れたなら、世界の人々の心をやさしくする写真になっただろう、そして私が写真家として目指しているのはこれなのだと確信した瞬間だった。
 あれから五〇年が経ち、今でも私が写真を撮り続けているのは、この時撮り逃したあの表情を、世界のどこかの瞳に見つけたいと願っているからだ。

この文章は冒頭始まったばかりの10ページ目なのだけど、ここを読んでハービーさんの全てを理解したような衝撃を受けた😲
まさにタイトルの通り、この方は「見た人が幸せな気持ちになれる写真」を撮っていることが美しいなと思った。

はー。

かっこいいものとか美しいものを主張しようということでもなくて、何か強いメッセージ性を押し付けるでもなく、「人を幸せにする写真」ってなんて素敵な動機なんだろうね🐶
その自分の想いに素直になれることも素晴らしいよね。

ここまできて、ぼくはなぜこのタイトルの本を昨日迷わずに手に取ったのかもわかった気がします😲
ぼくもUXやUIをつくるデザイナーだけど、今までかっこいいものにも美しいものにも振り切らず割とやさしい表現に落ち着くことが多かった気がしていて。
でも気づいたのは、もしかしたらぼく自身のデザインの考え方の中にも「人を幸せにするデザインでありたい」という視点が大きく占めているのかもしれないなということに改めて気づいたのでした。


『人は自分で考える前に、既に自分の中で答えを知っている』といわれることがあるけれど、今回の出会い(というには大袈裟かもしれないけど)はまさにこれで、すでに本を手に取った時に、ハービーさんの付けたタイトルの中に自分の必要としていた視点を見つけたような気がした体験でした🙊

いわゆるセレンディピティなんだと思うんだけど感動しちゃった🐟


以上。

最後に帯にあった彼の言葉を引用しておきますね。
ぼくがなぜ、ずっと面倒くさがっていたnoteを今書こうと思ったのかわかると思います😉

"撮らなければ、書かなければ、瞬く間にシャボン玉のように消えてしまう。
残さなければならない素敵な光景、素晴らしい出来事たち。"
ハービー・山口

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