見出し画像

おとりの鴨につきまして〈アメリカ/カベルネ・ソーヴィニヨン主体〉

こんばんわ。結局アメリカワインが大好きな、ますたやです。

結局、などとのっけから意味深な発言です。そうです。今日は、みんな大好きアメリカワインについての一節です。

みなさん。アメリカワイン、どうですか。飲んでますか。

近所のワインショップのソムリエは、アメリカワインについて、いつもなんだかんだと文句をつけてくるんです。

「味が濃い」だとか、「果実味ドカン」だとか、「樽香がどうだ」とか、「飲み疲れる」だとか・・・

でも、じゃあお店に置かないのかと思いきや、「好きなひとがいるから置いておく」などと言い、しっかり置いてるんですよ。

そして、「おれの好みじゃないからね」などと念押ししながら、在庫が切れればこまめに補充。そして、「でもこれは、アメリカのわりにエレガントでうまいっすよ」などと、わりとしっかり勧めて来る――

好きじゃん!!!!!!!

いやいやいや絶対好きじゃん。間違いないじゃん、めっちゃ飲んでるやん!!・・・と思ってるんですが、へたれなアルパカはソムリエにいい顔をしたいがために、「へへっ…」とあいまいに笑っておくのでした。

でも、アルパカ、知ってます。みんな、ほんとは好きんなんでしょ。わかりやすくって親しみやすい、アメリカワインのことを、ほんとうは・・・!

アメリカ、特にカリフォルニア地方のワインは、確かに、ブルゴーニュのピノノワールなんかと比べると味わいの方向性は違うと思います。ボルドースタイルに作られることはありますが、基本的に長期熟成を楽しむボルドーとも、やはり楽しみ方が異なる部分もあるでしょう。新世界でも、いわゆる「綺麗系」の作りが主流となっている今、「味が濃い」「果実味ドカン」「樽香バチバチ」のアメリカワインのイメージは、なんだか時代に合っていないというか、のんきでまったりした感じにとらえられるのも、わかる気はします。

でも。アメリカワイン・・・おいしいですよね。

「今日はもう、難しいこと考えないで、絶対おいしいやつがいい。目をつむって、天をあおがなくてもいいやつ。くちにふくんだ瞬間に、うま!って言えるやつ。何度もグラスに鼻をつっこんで、小さくうめかなくてもいいやつ・・・」

そんな夜に、3000円のアメリカワイン、優秀だと思いませんか。


ダックホーン デコイ カヴェルネソーヴィニヨン 2018[¥ 3190 ]

<ワインdata>

国:アメリカ 種類:赤ワイン 品種:カヴェルネソーヴィニヨン85% メルロー10% ジンファンデル3% プティ・ヴェルド1% プティ・シラー1% ビンテージ:2018 生産者:ダックホーン インポーター:中川ワイン

<バランス>

酸味★★☆☆☆ 糖度:★★★☆☆ タンニン:★★☆☆☆


はい、というわけで今夜はこちら、ダックホーンさんのDECOYシリーズです。こちらのワイナリーを設立されたご夫婦のお名前そのままのフラグシップワイン、その名もダックホーン🦆ワインの、カジュアルラインのシリーズです。

ダックホーンといえば、黄色いカモのエチケットが有名です。そしてこちら、DECOYのエチケットもカモなのですが、よく見ると胸のあたりに金具が見えています…

そう、実はこれ、おもちゃなんです。へー、知らなかった。「デコイ」とは、狩猟でもちいられるカモ型のおとりのこと。カモ猟ではこれを使って、本物のカモをおびき寄せ、狩猟をおこなうそうなんです。どういうこと?

▼ デコイ猟の様子ですが、結果的に殺生できてないので、どなたでも閲覧できます(結果オーライ)

ちなみにこのデコイが転じて、軍事に使われるおとりのことも「デコイ」と呼ばれるそう。うちの夫はアーミーオタクなので、そっちで知っているとのことでした。デコイ。うーん、奥深い。そして、かわいい🦆うちにも欲しい。お風呂に浮かべたい。


さて実は今回このDECOYが、なんと値下げになったそうなんです。ショップ単位、ではないですよ。定価そのものが変動したということです。

確かに記憶のなかのDECOYは、3500円強ほどしていたように思います。それがだいたい、1年前。

ところが、今回購入したDECOYは、消費税込みでぎりぎり3000円ワインのランク。

え、値下げ? そんなことある?? と思ったのですが、どうやらアメリカワイン界隈ではときどき起こる事象のようでした。もはや右肩あがりに上がり続ける一方のブルゴーニュワインに比べ、アメリカワインの値段は、市場にあわせて上下しているようです。

紹介元のソムリエによると「輸送費でも結構変わりますよ」とのこと。たとえば、カリフォルニア湾ではよく港湾ストライキが起こるそうなのですが、そうすると輸送がとどこおり、値段があがってしまうこともあるそうなんです。へー、そんな、直接的なんだ…


肝心の味わいはといいますと、まずね、第一声、うま!(率直)。

アメリカのカベルネソーヴィニヨンということで、どことなく頭のなかでは「笑っちゃうくらいの樽香と、果実味ボカン」を期待してしまうのですが、さすがはメルローの名手ダックホーンさん、色調はやや淡いですし、綺麗に酸も残っていて、むしろエレガントな造りです。

それでも全体的にはまろやかで、どちらかというと甘やかに感じます。これこそがアメリカワインのいいところですね。その分とてもフレンドリーで、綺麗系のわりには親しみやすい。

なにより、重くないのです。だから、ぜんぜん飲みつかれない。

今夜は、タイムセールで買った牛もも肉のステーキとあわせました。アメリカ産のチェダーなんか合わせると最高だと思います。我が家は、週末に買ったテテドモワンヌがあったので、濃い味系のチーズとしておともしてもらいました。うまい。ほかにも、豚肉でも、鶏モモ肉でも、たぶんソーセージでも、なんでも合わせてくれそうなフレンドリーさが、このDECOYの魅力です。


とにかく合理的に、あくまで経済活動の一部としてワインを楽しんでいる様子のアメリカ。なんたって、世界1位のワイン消費国。小難しい御託よりも、目の前のワインがおいしいかどうかのほうが大問題ですよね。

かのルイジャドは、アメリカ輸出用のエチケットに「シャルドネ」「ピノノワール」といった葡萄の品種を表示しているといいます。考えてみれば、なるほど、納得。確かにそれ、わかりやすいですよね。

「シャサーニュモンラッシェと書いてあるワインには、シャルドネが使われている」

「サンセールと書いてある白ワインには、ソーヴィニヨンブランが使われている(ただし赤の場合はピノノワールである)」

「コートロティと書いてある赤ワインはシラー主体の赤ワインだけど、ヴィオニエがアッサンブラージュされている」

・・・なんて、一体どこの物好きが覚えるんだ。(泣きながら覚えました)

おいしいものをおいしいと胸を張って言える素直さ、いいものをいいと正面から受け入れてくれる率直さ。それがこのでっかい大国の、無邪気な愛らしさだなぁなどと、ワインを飲みながら感じ入った秋の夜だったのでした。


それではまた、次の週末に3000円ワインでお会いしましょう! ますたやでした(^○^)♪

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ますたやとは:

関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。3000円ワイン以外のワインについては、Vinicaにて夫が更新中。現在は夫婦そろって、2021年ワインエキスパートの二次試験に向けて勉強中です。はやくおいしいワインが飲みたい!

twitter:@3000wine_tami
Instagram:@3000wine_no_tami

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

サポートでいただいたお駄賃は、バッカスへの課金に溶かしていきます!