イタリアの才能、自由のテロワール。〈イタリア(カンパーニャ)/グレコ・ディ・トゥーフォ〉
最近、イタリアワインを購入すると、ちょっと困ることがあるんです。
それは、
ボトルの形が独特すぎて、セラーのスペースに入らないこと・・・
▶ よくよく見ると、逆三角形型をしています。これくらいだと、頑張って突っ込めばセラーには入る。
▶ これは横置きでは、絶対に入らない。棚を取って縦に置くしかない。
▶ フランチャコルタ型。これも入らない。あと、重い。
▶ フランチャコルタ型ともまたちょっと違う。やっぱり入らない。そして重い。
どうやら最近のイタリアワイン界隈では、こういった個性的な形のボトルがじわじわと増えている様子。イタリアワイン、葡萄の品種やワインの種類にとどまらず、ボトルさえも自由に羽ばたきたいだなんて、本当に自由であることへの飽くなき執念さえ感じます。
イタリアワインについて調べていると、
・・・と、どうも「おいしい」と「自由」が、交わることなく永遠に繰り返されていくんですよね。なんだろうこれ。イタリアワインの無限ループ。
おかげで、ワイン法による格付けであるDOCG名も、葡萄の名前だったり、村の名前だったり、ちかくにある世界遺産だったり、ひとの名前だったり・・・と、足並みをそろえる気など、さらさらなさそうなんですよ。統一するのが法律の役目ではないのか。法律ってなんだろう。
制限からははみ出したい、ルールがあれば壊したい、そんなイタリア人の適当・・・いや心意気、それこそが、これらのユニークなボトルから伝わってくる、イタリアのテロワール、なんでしょうか。
ちなみに近所のソムリエは、最近のイタリアワインのボトルの傾向について、こんなことを教えてくれました。
「そもそもイタリアでは、セラーに入れるという習慣がないらしいんです。温度管理なんか適当で、そんなところに気を遣わない。だからこそ、セラーに入らないボトルでも、気にしないのかもしれません」
「昔、テレビで見て衝撃的だった映像があります。イタリアの旅番組だったのですが、前から歩いてきたイタリア人が、片手にボトル、片手にグラスを持っていて、ワインを飲みながら歩いてるんですよ。そのくらい適当というか、自由に飲んでる。それがイタリアなんだなと思いました」
片手にボトル、片手にグラス・・・・・?
▶ こういうこと?(イメージ図)
なるほど、そう考えてみると、むしろ「セラーの温度管理が」「白ワインの提供温度は」「熟成に適した湿度とは」などと躍起になって考えるよりも、セラーに入れることなど考えてもみないテロワールのほうが、ずっと自由で、ずっとずっと豊かな気がしてくるから不思議です。
「自由」かあ・・・ イタリア、いいなあ・・・!
さて、そんなイタリアへの憧憬さえも抱きながら、日曜の夜にあけたのはこちらのワイン。
FEUDI DI SAN GREGORIO CUTIZZI GRECO DI TUFO 2019 [¥ 3828 ]
<ワインdata>
国:イタリア(カンパーニャ) 種類:白ワイン 品種:グレーコ・ディ・トゥーフォ ヴィンテージ:2019 生産者:フェウディ・ディ・サングレゴリオ インポーター:日欧商事
<バランス>
酸味★★★☆☆ 糖度:★★★☆☆ 香り:★★★★☆
・・・いや、ボトルの形ーーーーーーっ!
なんじゃこのギザギザ(笑)もはやフリーダムとかじゃなく、一種の反骨精神すら感じます。
なんで…? と思い、生産者による説明動画を見てみました。
特に説明がない。
キラッキラした瞳で語りかける、フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ社CEO アントニオ・カパルド氏の情熱と、いかにこのワインが個性豊かで素晴らしいワインかはわかったのですが、
ギザギザの意図は、結局わからずじまいでした。
・・・なんなの、イタリア(好き)
ちなみにグレーコ・ディ・トゥーフォって、わたしは今回はじめて飲みました。イタリアワインのもうひとつの魅力、土着品種の種類の多さ。
グラスに注いでみると、色合いはやや濃いめのイエローです。グラスから立ちのぼる香りからは酸を感じ、すっきり系の味わいがイメージされます。
ところがくちに含んでみると、これが「フレッシュ葡萄ジュースしぼりたて!」みたいなジューシーさがあって、思わず「うンま!(笑)」と笑っちゃいました。笑っちゃうくらい、うまい。しっかりとした酸が骨格を立てつつ、中身もぎゅっとつまっていて、なんていうか、主役級!
ミネラル分をたっぷり感じるところも、またイタリアっぽくて素敵です。
ぜひ海沿いのカフェテラスで、キラキラと光る海を見ながら飲んでみたい。真夏のぎらぎらした太陽というよりは、ぽかぽかとした春の陽をあびながら、ちょっと温度があがるのを楽しみつつ、飲みたいワインでした。
いやあ、イタリア、本当におもしろいですね。ユニークな土着品種さえもきちんと上質に仕上げてくる、ワイン造りにおける天賦の才能をもつ自由の国、イタリア。無邪気をよそおってこんなワインを造っちゃうんだから、本当に油断なりません。自由を表現するための飽くなき挑戦を続けるイタリアに、まさに感服の一本だったのでした。
ところで。
気持ちよく酔っぱらってくると、このギザギザが・・・気になり始めます。
・・・遊びたい。
・・・・・遊びたい。
・・・・・・・・ギロにして。
▶ ギロ
ということで、おもむろに、バックグラウンドミュージックに流れていた小野リサのボサノヴァに合わせてリズムを刻んでみました。そしたらこれがまた、やたらと合うんですよ。なんなの。
さすがイタリア、わたしの遊び心さえも、しっかりと受け止めてくれる懐の深さ・・・・・・
・・・・・・ハッ
ま、まさか・・・・
こ、このために・・・・ ギザギザを・・・・?!!?!
まさかの「自由」のアフターフォローまで入って、イタリアワインにノックアウトされた日曜日。
ワインボトルギロのとぼけた音色ともに、秋の夜長は更けていったのでしたーー
それでは、ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪ みなさんもおいしいイタリアワインを飲んでくださいませ!また次の3000円ワインでお会いしましょう! ますたやでした(^O^)
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ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。3000円ワイン以外のワインについては、Vinicaにて夫が更新中。2021年、夫婦でJ.S.A.認定ワインエキスパート取得。これからもおいしいワイン、いっぱい飲むぞ~!
twitter:@3000wine_tami
Instagram:@3000wine_no_tami
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