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樽スランプとその軌跡〈南アフリカ/シャルドネ〉

南アフリカワイン。みなさん、飲んでますか? おいしいですよね。

今からさかのぼること6、7年まえ。夫が「珍しかったから」という理由でベトナム出張から連れかえったシラーズが、わたしと南アフリカワインとの出会いでした。

しかし、これがまあ正直「土っぽい」。舞い上がる砂ぼこり、荒々しい草のにおい、目の前に広がる広大なサバンナ。「これこそが南アフリカの風だ!」などとのたまったはいいものの、手元のグラスはさほど進まず、まあ新興国だしねと、サバンナを群雄割拠するゾウやキリンとともに記憶のすみに追いやられていたのが、わたしのなかの「南アフリカワイン」でした。


そんなわたしのサバンナの記憶を見事に上書きしてくれたのが、水天宮にあるアフリカ―さんです。

こちらのお店、店内にあるすべてのワインが南アフリカ産。コイン式の試飲マシーンで気軽に試飲ができますし、困ったら超親切なソムリエが気さくにおすすめを教えてくれます。しかも夏は地下セラーで涼めるという。最高か。

南アフリカは、フランス移民によってワイン作りが進められたという歴史があります。だからなのか、新世界のなかでも特に「フランスのエレガントさ」を感じるワインが多い。

しかもですね、これが安いんですよ。とにかく安い。ハイコスパ。フランス産だと、同じ味わいで5000円を超えてくるような瓶内二次発酵のスパークリングワインなんかが、平気で2000円台とかで買えちゃいます。

アフリカーさんに来ると、ATMの残金と日夜はげしい攻防を繰り広げる脳内コスパメーターが、完全にバグります。「え、安っ じゃあ買うわ」まで2秒ですからね。2秒ですよおかしいでしょ。もしかしてアフリカ―さんを出たあとにも、バグ修正がなされてないんじゃないかと不安になります。

・・・・・・え、修正されてるよね?


さて今回はそんなアフリカ―さんにて、『おすすめの樽熟シャルドネ』を選んでいただきました。

Elgin Vintners Chardonnay 2014 [¥ 3630 ]

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<ワインdata>
国:南アフリカ 種類:白ワイン 品種:シャルドネ ビンテージ:2014 生産者:エルギンヴィントナーズ インポーター:Humming bird

<バランス>
酸味★★☆☆☆ 糖度:★★★☆☆ 香り:★★★★☆


実は、めちゃくちゃ個人的なことなのですが、わたくしアルパカ、昨年の11月頃から、なぜか樽のきいたワインが飲めなくなるという、謎の樽スランプにおちいっていたんです。

樽スランプ? なにそれ? って感じなのですが、なんかですね、樽のきいたワインを飲むと、どうも ”苦み” を強く取ってしまうんですよ。つまり、おいしくない。だから、樽熟のワインを飲むときには、「うん、樽じゃない部分は確かにおいしい」などと、妙に技巧的な飲み方を強いられるようになってしまっていたんです。つら…

これね、結構一大事だったんです。だって、ワインショップでワインを選ぶときも、「これって… 樽きいてますか?」などと、断りなくなんにでも入ってくるタマネギに日々戦々恐々とする小学生みたいな状態になりますし、とにかくそんな大スランプ状態が、10か月ほど続きました。10か月ですよ、10か月。つら…

ちなみに、樽スランプから抜けはじめたのには明確な境目があって、それは、うまい樽熟ワインを飲んだからです。あの、ペルナンヴェルジュレス様っていうんですけどね・・・・・・ これは3000円ワインじゃないので、記事的には割愛。でも、ああ、うまかった。

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そんなわけで、どうやら「うまい樽熟ワインはうまいらしいぞ」という、人類70億人めくらいの確かな事実に気づいたところで、ただいま絶賛リハビリ中、というわけです。アルパカだって樽熟飲みたい。


さて、話はもどってこちらのワインです。樽シャルドネ、おいしいですよね。あー、うれしい。飲める。おいしい。よかった。

まず目に飛び込んでくるのは、鮮やかな黄色です。熟成による黄金色というよりは、なんかもともと黄色みが強かったんじゃないかと思えるような、つやつやとした鮮やかなイエロー。葡萄の熟度が結構高かったんじゃないだろうか。まるでオロナミn… いややめとこう。

全体的なくちあたりはまろやか、マイルド。しっかりとした樽の風味に、華やかなフルーツの香りとやわらかな酸味が加わります。

樽の香りといっても、いわゆる「ヴァニラ」とか「バター」みたいな、「樽香ドカーン!」みたいな、「俺こそがこのワインの主役だぜ!!!」みたいな、え、あたし樽飲んでる?? みたいな、そういった風情ではなく、

あくまで脇役、主役を引き立てる立役者としての樽のニュアンスが、心地よく感じられるワインでした。

いや、主役級の樽も好きだけどさ。なんなら笑っちゃうくらい大好きだけどさ。

・・・・・・みんなだって隠してるだけで、ホントはお好きでしょう?!


フランスの樽熟シャルドネって、高いじゃないですか。しかも、おいしいやつ飲もうとすると、めっちゃ高いじゃないですか

それが、3000円台で手に入る。なんて優しい世界。

南アフリカワイン。わたしは断然おすすめです。


それではまた、次の3000円ワインでお会いしましょう! ますたやでした♪

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ますたやとは:

関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。3000円ワイン以外のワインについては、Vinicaにて夫が更新中。現在は夫婦そろって、2021年ワインエキスパートの二次試験に向けて勉強中です。はやくおいしいワインが飲みたい!

twitter:3000wine_tami
Instagram:3000wine_no_tami

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