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ドロロロロロん

私は音楽が好きだ。もちろん、全ての曲を聴くことなんて不可能だし、聴こうとも思わない。何が好きかというと、歌い手の問題意識である。何を歌いたいのか、何を伝えたいのか。そういう意識を我々聞き手に感じさせる曲は少々、リズムが合わなくても聴きたくなるのである。

例を1つあげると、キングヌーの「どろん」。

https://m.youtube.com/watch?v=gc0_Acq8dV4

これは良い曲だと思う。歌詞がストレートにズバッとくる。常田大希氏は、テレビ番組「情熱大陸」にて文学的な歌詞は書けないと言っていたが、特にこの曲においては問題無いように思う。

特に、「白黒で単純に割り切れない」や「無駄なもんは切り捨てられるんだ」の歌詞からは、常田氏が日頃から感じる現代社会に対する葛藤・不満・不安が散りばめられていると思う。さらに発展させて言うならば、資本主義社会の矛盾すら説いているような気さえする。多分、これが新自由主義批判に繋がるのか。そんなことまでは分からないけども。

私もこのような疑問や不安に晒されている1人で、この「どろん」という曲を聴くと、自分の気持ちを代弁してくれる気がして、たまに泣きそうになる。

しかし不思議なのは、なぜこういった歌詞を書くことができるのだろうか、ということである。常田氏の感覚が我々から遠いのか、近いのか、まるで読めない。チャットモンチー「東京ハチミツオーケストラ」からは、我々と非常に近い感覚があることをうかがえるのだが、この「どろん」そして常田氏の感覚は我々と近いものなのかに関してはまるで不明である。

それは、キングヌーの独特なリズムが原因であろうか。

私はキングヌーの歌詞に時には共鳴するが、それは決して交わることのないスレスレの「漸近線」のような感覚である。しかし、このスレスレ感がかえって、私の内奥に湧く葛藤や不安を引き出しているとも思う。
そう考えると、キングヌーはなんて罪深いアーティストなんだ。

私は音楽については素人なので、何も言えない。ただ歌詞に関しては、どう言葉を駆使するのか、割と敏感に反応する方だと思う。常田氏の散りばめられた社会批判のワードセンス。私は将来、社会批判する仕事がしたいので、こういう歌詞に出会うと思わずビビっと来てしまう。これは衝動と言わずして何といえようか。

とにかく「どろん」は好きな曲であることは間違いない。

#エッセイ #KingGnu

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