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エッセイ 塩と砂糖

これは塩と砂糖の写真である。

これらの白い粒々を、「スピード」や「チョコ」と名付けて、裏社会に売り捌くことは可能だが、そんなことをしたら明日からブログが更新できなくなる。

写真で見ると、見分けがつくこれら二つの調味料であるが、テーブルに置かれるとどうなるだろう。

白い粉が見える手前のケースは果たして、どっちだろうか。

しかし、私は大学生なので、これがどっちなのか見分けるのは容易いことである。

思案すること3秒。

どう見たって、砂糖であろう。

なぜなら、私がいるのは喫茶店で、明らかに砂糖の方が需要があり、座っている席からすぐ手を伸ばせるように、手前に砂糖を置くのは定石だと考えるからである。

したがって、私はこの手前のケースをふりかけのように、コーヒーの中に入れた。

砂糖の味が全くしなかったが、少量だったので、すぐ溶けたのだろう。何か物足りなかったので、私はミルクを投入した。

その瞬間、コーヒーの味が豹変した。

まるで、私の口内にある舌がいびつな亜空間に飛ばされたような感覚であった。隣のおじさんは呑気に新聞を読んでいる。私の四肢も五臓六腑も、正常に反応している。ただ、舌だけがどこか遠くへ行ってしまった。

「何が起きたのか」私は胸中にて呟く。

「ケースの後ろ。あの紙筒に入っているのはなんだ?」

ロッキー山脈に遭難した登山者のような目をしながら、私はその紙筒を凝視した。そして、何かに気づいた時、ロッキーの吹雪が私を覆う。目の前が真っ暗になった。to be continued…

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