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お笑いマスタリー フルメタルマダム益村インタビュー 前編

吉本興業のお笑い養成所NSC東京校24期生であり、お笑いコンビ・フルメタルマダムで活動する益村康平に、2年目を迎え、NSC在学中のエピソードや1年目の振り返り、今後の展望などを独占取材した。眼鏡に隠された彼の素顔を今回赤裸々に明かしていくロングインタビューをお届けする。

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1年目を振り返って。

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ーーー今回はよろしくお願いします。

益村:こちらこそお手柔らかによろしくお願いします(笑)

ーーー(笑)4月で益村さんは芸歴2年目を迎えましたが、どのようなお気持ちでしょうか?劇場も休館になり、難しいところではあると思いますが。

益村:お気持ち…ですか。確かに2年目になったといっても劇場には出てないので全く実感が沸いていないのが正直なところですね。25期の後輩ともまだ全く絡んでないのもその一因かも。

ーーーなるほど。益村さんは後輩と絡みたいタイプなんですか?(笑)

益村:絡みたいですよ!(笑)去年の4月は、神保町花月(注1)のフレッシュ公演という1期上の先輩方と24期でお芝居をする公演に入れていただいて、そこでかなり23期の方々にお世話になったし楽しかったのでそれを下に返したいな、という気持ちがありますね。25期の情報をチェックしたりして、僕も飲み会大好きなのでどいつを益村軍団に加入させるか吟味してるところです(笑)(注1…神保町漫才劇場の前身で、芝居公演をメインとした劇場。2019年12月をもって12年半の歴史に幕を閉じた。)

ーーー誰も入らねえよ(笑)

益村:え?

ーーーまずプロになっての一年目からお話を伺いたいと思うのですが、フルメタルマダムの一年目はそれこそフレッシュ公演から始まりました。

益村:いわゆる演技の選抜クラスを中心に選ばれたメンバーと23期の先輩方でe-sportsを舞台にしたお芝居「電脳青春ガチガチフォーエバーMAX!」です。僕はe-sportsのサークルの顧問の変態教師を演じました。打率はかなり低かったんですが、千秋楽のボケだけ上手くいってウケたのでめちゃくちゃ嬉しかったです。迷走しすぎてジェルで頭オールバックにして変顔で登場したりしてました。親が見に来てなくて本当に良かったです。先輩方がちゃんとウケてて、力の差を感じました。

ーーー打ち上げで熱出て帰った件については?

益村:本当申し訳なかったなと思っています・・・。

ーーー24期生はランキングシステム(注2)から外れ、ルーキークラスという新たなバトルライブでしのぎを削りましたね。(注2…無限大ホールにて行われていたバトルライブのこと。上からファースト・セカンド・サード・トライアル・ファームに分かれており、ライブでの入れ替えがある。)

益村:そうですね。

ーーーフルメタルマダムといえば、5月にルーキーバトル(注3)からそのままサードクラスまで勝ち抜いた「ルーキードリーム唯一の体現者」ですが。(注3…その月のルーキーライブの上位が出演できる月末のバトルライブ。上位になるとランキングシステムとの入れ替え戦に挑戦できる。)

益村:ちょっと、やめてください(笑)

ーーー1年目2ヶ月目でのサードクラスはどのような感じでしたか。

益村:ったく(笑)でもまぁ、正直キツかったですね。最初こそやってやんよって感じだったんですが周りが凄すぎて確実に萎縮していってしまいました。月3回出番あるんですけど3回とも同じネタしてたし、平場も出れないし、目の前で金魚番長(注4)に1位獲られるし・・・。要するに完全に実力不足でした。(注4…NSC東京24期 ボケの箕輪とツッコミの古市によるお笑いコンビ。24期首席。)

ーーーなるほど(笑)1ヶ月で叩き落されるわけですが、その時はどのような気持ちでしたか?(笑)

益村:・・・正直、スッキリした自分がいて。悔しいようなホッとしたような、よく分からない感じでしたね。納得の結果でした。

ーーーなるほど(笑)

神保町花月で先輩方と出会い、成長できた。

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ーーーフルメタルマダムといえば、神保町花月でのお芝居の出演が多くありました。ここからは役者・益村康平としてのお話をお聞かせください。

益村:ったくこいつ、やってるよ(笑)

ーーー7月には「神ドッジ!」という公演がございました。益村さんがとても思い入れのある作品だと伺っております。

益村:弱小ドッジボール部が強豪校に立ち向かっていく物語なのですが、人数合わせのために無理やり入部させられた運動音痴の卓間くんを演じました。中盤、分裂の危機に陥ったチームを卓間の涙ながらの訴えで結束させる場面があるんですが、そこで実際に涙が出てきちゃって、客席からも鼻をすすったり反応が聞こえて、嬉しかったです。一年目がほとんどだったし楽しい公演でした。

ーーー終盤の試合のシーンが印象的でしたね。

益村:そうですね。決勝戦、内野で最後の一人に残ってしまった僕が、大石からのパスで敵チームのエースにとどめを刺すシーンはフルメタルマダムファンには嬉しい演出でしたね。

ーーー10月の公演はミステリ「贋作陰獣」で様々な役に挑戦しましたがいかがでしたか。

益村:ただただ先輩方の気迫にゾクゾクしていた秋でした。神保町花月を昔から支えていらっしゃる先輩方がとにかく凄くて…。3役与えていただきましたが、もっと出来たなあという反省が残りました。

ーーーその反省が12月の公演に繋がるのでしょうか。

益村:もっとはっちゃければ良かったな、と思ってたので12月の公演はそこ目標で頑張りました。僕は途中1シーンにしか出てこないオネエの役だったのですが、結構自由に出来たのでペアのナイトメアカオスドラゴンのイクトと一緒に稽古から色々考えて試すのが楽しかったです。神保町花月でウケた時の感覚はネタの時と違う嬉しさがあります。あと相方が本番当日の返し稽古に寝坊してきた時は死ぬかと思いました。

ーーーそしてそれが神保町花月の最後の公演となりました。

益村:あまり実感が沸かなかったのですが、連日の満員のお客様やネットの反応を見て、歴史の重さを感じました。非常に光栄でしたし、藤原副社長に「オカマよかったで」と声かけていただいたのがグッときました。神保町花月で得たものは大きかったですね。今でも続いている、神保町花月で生まれた先輩方や同期、スタッフさんとの繋がりには感謝しかないです。

渋谷から神保町へ。

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ーーー無限大でのお話に移ります。フルメタルマダムといえばトライアルクラスにすっかり馴染んでましたが。

益村:えっと・・・はい。サードに戻るという目標は結局果たせませんでした。悔しかったです。

ーーーなるほど(笑)

益村:・・・。まぁそこで停滞してたモチベーションが神保町になっていい意味でリセットされたので良かったなとは思ってます。

ーーー芸歴6年目以下の若手は渋谷の無限大ホールから渋谷の神保町漫才劇場へと主戦場を移しましたが、無限大時代は印象に残ったことはありますか。

益村:めぞん(注5)さん主催のパワータフボーイズというユニットライブに呼んでいただいたのが、ライブの作り方とか、平場とか、何より本当良くしていただいたのでこのライブはまたぜひ機会があったらまた出させていただきたいです。なんか魂で繋がってるような気がします。(注5…NSC東京22期生 ボケの吉野おいなりとツッコミの原一刻によるコンビ。吉野の無茶苦茶なフェチズムに原が翻弄される漫才には定評がある。)

ーーー魂?

益村:あなたには分からないでしょうね。

ーーーでもパワータフボーイズ第2回では漫才を披露してめちゃくちゃスベってましたが。

益村:勘弁していただけませんか。スベリすぎてその後のコーナーで何も喋らなかった大罪を更に犯してしまったんですから。。。

ーーーなるほど(笑)新たな神保町はどうでしょうか。

益村:スタートダッシュはいい具合で切れましたがこれからが勝負なので絶対に1位獲りたいです。劇場再開がいつになるか分からないのが歯痒いですが。神保町花月に育てて貰ったので神保町を盛り上げてそれで恩を返したいですね。ご縁があって応援していただいているファンの皆様のためにも結果を早く出したいです。

【後編に続く】

「完全にヤバいやつでした。」

後編ではNSC時代の話、相方について。そしてこれからのフルメタルマダムを語ってもらった。

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益村康平(ますむらこうへい)…北海道恵庭市出身。NSC東京24期として2019年デビュー。お笑いコンビ フルメタルマダムのツッコミやネタ作りを担当。主な代表作に「バトルティンダー」などがある。

文責:益村康平

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