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家族が濃厚接触者になり、体験したこと、考えたこと、見つけたこと

こちらのnoteは、2021年5月13日息子が新型コロナウィルス濃厚接触者であると、行政機関より連絡を受けてから1週間のこと、その経験を通して私が感じたことを書いています。あくまで、息子と私たち家族のケースなので、一つの事例として読んでいただければと思います。読んでくださった方が、このnoteに書いた情報がを必要とする時が来ないことを祈りますが、もし、当事者となられた場合は、お住まいの地区の行政機関へご連絡の上、最新の情報を入手ください。

●○●○

あーさん、○○(息子が前週末会っていた友人)が熱出してコロナ発症してな、俺と他の奴らも濃厚接触者になったらしいねん。
ほんで、俺の名前や連絡先保健所に伝えてもいいって連絡きてん。

先週の木曜日、のんびりと夕食を作り始めていたら、息子がのんびりを吹き飛ばすようなことを言いにきた。毎日ニュースで流れる東京の800人や1000人という感染者数よりも、息子の友人の発症と息子が濃厚感染者と知った瞬間「ほんまに感染者多いんや」と実感が出た。

このライン、○○のお母さんが送ってきたと思うねん。あいつこんな言い方せえへんもんなあ。

息子が見せてくれた文面は、丁寧な言葉で書かれ、「●●くん(息子)と親御さんにご迷惑おかけすることになり、申し訳ありません」とあった。画面の向こうからすまなそうに頭を下げる親御さんの姿が浮かぶ。息子は自分の名前や携帯番号、住所を入力した後、

お互い様なので気にしないでください。○○くんお大事にしてください。

と付けて送ったらしい。よしよし。その10分後、息子のスマホが鳴った。区の保健センターからだった。息子が一人で聞くと、「家族はどうしたらいい?」 などの質問をせずに言われるまま聞き流して電話切ると思ったので、スピーカーにして私がメモを取りながら聞く体制に入った。

以下、私のメモをほぼそのまま転写する。

●息子、濃厚接触者確定
●接触日から計算して2週間、5月23日まで『健康観察期間』として自宅にいること。外出不可。
PCR検査は必須ではない(ここ、必須と思ってたので驚いた)。
検査にいく場合、自家用車で。(うちはないです、というと)公共交通機関は使わないで行くこと。自転車及び徒歩で行けそうな、PCR検査を行なっている医院を4箇所の医院名と住所聞く(これ、熱出してて体調悪くても自転車で行くのかと疑問が沸いた)。
検査に行ったら「区の保健センターから濃厚接触者と言われました」と伝えること。検査代は公費となるので無料。他、初診料など大体2〜3,000円程度。(実際払ったのは2,000円弱だった)
●検査結果がわかったら、陰性の場合は平日昼間に保健センターへ連絡。陽性の場合は平日でなくても区役所の代表へ電話。その際、濃厚接触者の旨伝えること。
●陰性の場合でも、発熱など症状が出たら保健センターへ電話すること。

これだけを一気に聞き、メモを取った。次は、私たち家族についての説明になった。

●ご家族は息子さんとできるだけ接触少なめに。お世話する人は一人に決める(私しかおらんやん、、、)。
●顔を合わせるときはマスク着用(あ、これ、やってなかった)。食事は時間か場所をずらす(息子、自室でごはんを選ぶ)。
●トイレなど共有部分やドアの取っ手などは小まめにアルコールで拭く。(息子がトイレ使ったあとせっせと拭いてたら、ひどい、おれなんかバイ菌扱いされてるみたいと地味に落ち込んでいた。)
●使用した食器や衣類は一緒に洗って大丈夫。(これは助かった。手間が一つ省けた。)
●お風呂は息子が最後に入るように。(夫と私は早めに入るようにした)
●詳細は区のホームページにあるコロナ関連のところ確認のこと。

そしてこの日「息子、濃厚接触者確定」に次いで驚くことを言われた。

お父さん、お母さんは基本普通の生活していただいて大丈夫です。

えー!! と思わず口に出してしまった。息子が濃厚接触者確定なら、うちら家族もかなりグレーやん、絶対自宅待機やろな、と思っていたからだ。電話の向こうから補足説明が続いた。

●勤務先の会社それぞれ規定があると思うので、それに従うこと。
●(鍼灸院通ってるんですけど、と伝えると)医院についてはそれぞれ感染対策されているが、鍼灸院に問い合わせること。
●買い物などはマスクして普通に行ってもらっていい。

なるほど。行政から「こうしてください」という指示はなくて、個人や組織それぞれの判断に委ねられている部分が多いのかとわかった。

晩ごはん用意されてる時間に、長々とごめんなさいね。

最後にそう言われて電話を切った。いやー、保健センターの職員さんも大変だわ。これ、毎日何人もやるんよね。PCR検査て必須やないんやなあ。そしたらさ、神奈川県は濃厚接触者の追跡調査もしてへんから、陽性の人も、本人はそれに気づかず検査受けず、普通の生活続ける場合もあるわけやん? そりゃ、増えるよなあ感染者。

などと、晩ごはんを作りながら息子相手に話しまくっていた。

早めに告げたほうがいいかと、残業中の夫にも連絡した。帰宅した夫は、翌日から在宅勤務に切り替えるわと言った。「陰性やったらええなあ」そうやんね。息子が陽性の場合、本人がいちばん大変やけど、夫も会社の人たちも、そして私も大変だ。不安で落ち着かないまま(でもしっかり食べてゆっくり寝て)、翌日を迎えた。

5月14日金曜日。鍼灸院の受付開始時間に即電話。五十肩の治療に通っているのだが、院長も鍼灸師さんも患者さんも高齢者が多く、患者さんは基礎疾患ある方も多いので、「息子が濃厚接触者になったので予約キャンセルします」と告げると「あらー大変だわね」とあっさりキャンセルとなった。

次はPCR検査してくれる医院に連絡。ホームページ見たら、自転車で10分ちょっとの医院が予約なしで検査してくれるとわかった。念のため電話したら「発熱外来の時間に来ていただければ、予約なしで検査しますので」と言われた。他はちょっと遠かったり、予約必須かつ次回予約できるのは週明けだったので、この医院の存在は助かった。

息子を叩き起こして(本人がいちばんのんびりしている)、医院のホームページを転送して、時間になったら

コンビニとか寄ったらあかんでー!

と背中に言って送り出した。

ひとりになって、スマホを手に

コロナ 濃厚接触者

とか、

コロナ 感染

などで検索する。検査結果によっては、我が家の生活を大きく変えないといけないからだ。その中で見つけたこちらのnoteが、めちゃめちゃわかりやすかった。

うちは一人暮らしではないけれど、何が不便でどんな用意をしておいたらいいかなど、参考になった。そして、1年前よりPCR検査までがスムーズになっているとわかった。1年でこれだけ変わるのかと驚きだった。

1時間後、息子帰宅。検査受ける人は結構多かったけど、比較的待ち時間少なく終わったらしい。先生も優しく、いい医院だったようだ。これもろてきた、とお土産を渡された。

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赤字の部分『何度連絡しても電話に出られない方がいらっしゃるため』に驚く。「陽性」ってなんとなく自分でわかってても、検査で印籠渡されるのがこわい人もいてるんやろなあ。そこでわかったら、生活に支障ができて立ち行かなくなるとか。ご本人も、先生や看護師さんも大変やなあ。などと思いながら、次のお土産を開く。

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陽性者となる可能性もあるので、中身を確認。息子は今のところ自覚症状ないので、陽性となったら自宅療養となるだろう。ネットスーパーのリンクがあり、これは便利やろなぁと思いながら折り目をつけておいた。今のところ自覚症状無い息子本人より、お世話係の方が負担大きそうな気がして仕方ない。なんだかどんよりしてしまった。

夕方、晩ごはんの用意をしていたら、息子のスマホが鳴った。医院からだ。電話を終えて息子が台所に来た。

あーさん、おれ、陰性やった。

結果が出るのは週明けかと思っていたので、その日に連絡もらいありがたかった。陰性だが発熱など体調が急変したら、すぐに連絡してねと言われたらしい。引き続き息子は健康観察の日々が続くのだが、ひとまずやれやれ。自室で仕事していた夫にも伝えた。

そうか。よかったな。せやけど僕はこのまま在宅勤務続けるわ。小さいお子さんいる社員さんもいてはるし、社外の人と現場で仕事することも多いからな。なんかあったらあかんからな。

うん、そうやんな。幸い一緒に仕事する皆さん、「まあ、しゃーないよね」と受け入れてくださり、夫はスマホとパソコン駆使して、電話やオンライン会議で普段とほとんど変わりなく仕事していた。(その横の机でnoteを書いている私)

私は週末の味噌仕込み会を急遽キャンセルさせてもらった。主催者の友人と講師の糀屋川口さんが私の分を仕込むよと言うてくださり、お言葉に甘えた。お世話になってる漢方の先生は、電話で息子のことを相談した際、「以前夏風邪の時に買ったあの漢方薬あるでしょ。あれ服用してたら大丈夫だよ。渡邊さんに渡す分の漢方も、ちょっとコロナ対策用に配合や使う漢方薬変えとくね」と快く対応してくれた。

あれから1週間。買い物担当の私が銀行や買い物に行く以外、家族全員自宅で過ごしてきた。夫は息子の陰性がわかった翌日、土曜日に一度出社し、月曜日からの仕事で必要なことを準備して、アルコール消毒をして、夜遅く帰ってきた。以後は自宅で仕事をしている。息子はオンライン授業だけ自宅で受け、あとは課題をやったり、ゲームしたり読書したり。去年『オンライン大学生』だった頃のような日常を過ごしていた。

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発症していた息子の友人は、熱も下がり体調も良くなったらしい。濃厚接触者となった他の友人達も、みな陰性だったらしく、よかったねと話していた。

夫は自室でも会社にいるかのように仕事をしていて、時には遅くまで自室にこもっていた。

私は今日久しぶりに鍼灸院へ行ってきた。

息子さん、陰性で何事もなくよかったですねえ。
いや、心配してたんだよね。

受付で診察カード出しても、先生に針打ってもらっても、声をかけていただいた。

私たち家族は、それぞれに関わる人を気づかい、外に出ることを控えた。私たちの周りの人たちも、それぞれ私たちのことを気にかけてくれて、「いいよ、大丈夫だよ」と声をかけて動いてくださった。


去年、胃腸炎で救急病院に息子が行った話はnoteにも書いたが、隣にいる人、目の前にいる人、その向こう側にいる人に気をかけるって大事にしたいなあと思った。

気をかける、気遣う。まあ、やり過ぎると、気に病むになるので、その辺は加減しながら。

正しいと信じていること、世の中に一石を投じるためにすること、しないこと。それを行動の基準にする人もいるだろう。私もそれを基準に行動してきたこともあるし、今もある。でも、誰かを気づかって自分の行動を決めてもええんちゃうのんと思うようになった。自分の主張通すのも大事な時あるやろうけど、自分に関わってくれる人と、その人の大事な人のことを気にかけながら、ほなこれはやめとこか、とか、こうしとこかっと選ぶこともええんちゃうやろか。

気にする、気にかけるって、愛をかけ合うことやなぁ。

昨日ふっと浮かんだ言葉は、この1週間を体験して私が見つけたことなんやと思った。

美味しいはしあわせ「うまうまごはん研究家」わたなべますみです。毎日食べても食べ飽きないおばんざい、おかんのごはん、季節の野菜をつかったごはん、そしてスパイスを使ったカレーやインド料理を日々作りつつ、さらなるうまうまを目指しております。