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振り向けば11キロ●梅仕事2021

6月15日 梅仕事1 下漬けとシロップ漬け

それ全部ひとりで仕込まれるんですか?

レジでお姉さんが驚いて尋ねはった。

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完熟梅7キロ。そりゃ言わはるわな。毎年同じお店で予約して梅を買うのだが、今年で7年目。7キロは久しぶりかも。その数日前、鍼灸院で「(五十肩の)左肩と腕どうですか?」と尋ねられ

梅仕事で7キロ仕込んでちょっとだるいです。
あ、痛みはそんな出ませんでした。

と鍼灸師さん(65歳以上のお姉さん)に言うたら、あらー!と驚かれ、そのあと

わたなべさん、7キロ仕込んだらしいよ!

と他の鍼灸師さんたち(だいぶお姉さんとちょっとお姉さん)に話されてた。

早い。情報共有、早すぎる。

だがそれは正確ではない。実はその10日前には2キロの青梅を買い

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ブランデー梅酒と梅シロップを仕込んでいたのだ。

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2キロならめっちゃ楽やんと思ってしまう自分。楽と感じることが減ってきた五十路越え。楽やと思えることもまだまだあるとわかると、嬉しい。

さて7キロの完熟梅。そのうち4キロは友人からの『委託』である。「めっちゃ簡単やで? 作り方送るで!」とそれぞれに言うたが、

お願いします。

と返事が来た。そしたらやろか、と、お受けすることにしたのだった。

よっこいしょと買うてきた梅をリビングのテーブルに置き、作業開始。

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まずは洗って1時間半ほど水につけてアク抜き。

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布巾で拭いたげて、ヘタをとる。

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今年はこの子がヘタ取りに大活躍!

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竹串をさして、たこ焼き焼く時ひっくり返す『たこ焼きピック』になるやつ。100均で買うたこれが、握りやすく、竹串の先曲がりにくく、作業がめちゃめちゃ楽やった。

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ヘタとった梅は1キロごとにジプロックに入れる。焼酎まぶして、150グラムずつ塩を入れて、梅にまんべんなく塩をまぶしつける。

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完成はこうなる。

7年前からこちらの本を見て仕込んでる。梅酒、梅シロップ、梅干し以外にもいろいろあり、梅干し使った料理も載ってて、このお値段はお得やと思う。

完熟梅の残り1キロは、2種類の梅シロップにしてみた

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友人から教えてもろた、甜菜糖と黒酢入り。

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甜菜糖とスパイス、カルダモンとクローブ入り。

今井真実さんのこちらのレシピみて作ろうと思った。梅を割りタネを取って仕込むんやけど、1個目で挫折した、五十肩持ちの私。梅割り種取りは辛い。なので、梅は洗ってヘタとったのん丸ごとにした。シナモンはうちの家族に人気ないので抜き、クローブとカルダモンのみ。元レシピとは全く違う作り方になってしまい、「今井さんごめんなさい」と心の中で謝った。出来上がりはどうなるか。乞うご期待!

6月19日 梅仕事2 下漬け

最後の梅干し仕込み。

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友人、勝野真美ちゃんが主催の梅干しつくり。なんと前日、小田原上曽我の農家さんとこまで行き、摘みたてほやほやを用意してくれた。ありがとう。

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ちょっと青め? と真美ちゃんも思ったらしいが、

これで大丈夫。これ以上熟すのを待つと、ぽとぽと木から落ちるのよ。

と生産者さんから言われたらしい。なるほど。せやから私が買うたんも、結構青いのん多かったんやな。

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作り方は私のん(正確にはべターホーム協会さん)とほぼ同じ。ただし、お塩が18%と多め。塩を計量するときふと思い、17%にしてみた。

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2キロの梅干し下漬け出来上がり。

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一昨年つけた梅干し、真美ちゃんから味見させてもろた。まだまだしっかり酸っぱいしょっぱい。この時期食べたらからだがしゃん! となりそう。我が家はその年に食べ切るので、一昨年の梅干しというのは食べたことないのだ。

まずは梅仕事、第一段終了。次は赤紫蘇つける本漬け、そして梅雨明けの土用期間の天日干しだ。

梅干しは、一回始めたらずっとやらんならん。やめたら家が廃れる言うねん。

母方の祖母はそう言って、料理好きで料理上手やったのに梅干しだけはやらんかった。私がやりたいと思ったのは、夏休みに過ごした佐渡島の父の実家で食べた梅干しが、とんでもなく酸っぱく、とんでもなく美味しかったからだ。半世紀以上仕込み続けてきた伯母ちゃんに、「梅干しめちゃめちゃ美味しいよ!」と言うと、嬉しそうにくしゃっと笑い、

そうけ。昔はよ、梅の実も塩も、家で作っとったが。

と言い、父と私が大阪に帰る時、2キロほど持たせてくれた。

それからずっと、いつか梅干し仕込める暮らしがしたいなぁと思っていたが、横浜に来てようやく叶った。あれから10年以上経っていた。

父の実家では伯母亡き後、梅仕事を継ぐ人はいなかった。実家にも、誰も住まなくなった。なるほど。家が廃れる、は当たっていたかもしれない。

6月20日 梅仕事3 本漬け

さて。梅をつけて4日。塩は溶けて梅酢がきれいに上がった。次は本漬け、しそ漬け。

赤しその葉っぱだけをちぎって、ボールに入れて塩を入れてよく揉む。

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2度ほど繰り返すと、色が赤紫になる。梅と梅酢が入った袋に入れて、このまま梅雨明けまで待つ。2度目に仕込んだ梅は、赤しそ入れずに作ってみる。仕上がりの違いが楽しみ。

7月18日から22日 梅仕事4 土用干し、そして完成

梅雨が明けた。週間天気予報を見て、3日連続晴れ日の初日からスタート。

この日から土用入りと思っていたが、1日フライング。翌19日からだった。超特大ざる1枚、特大ざる2枚に広げて干す。お昼頃ひっくり返す。夜はお天気の様子見て、晴れるようならそのまま外に出しておいて、夜露に当てる。いろんな干し方があるが、私は三日三晩昼も夜も外に出しておく。お日様とお月様の光浴びるってのも、いいような気がしているのだ。

3日目の朝。いい感じで仕上がってきた。ホームセンターで買ってきた干し網に入れた梅は、直射日光当たらないためか、ざるで干したものと仕上がりが違う。最終日はざるにおいて干すことにした。

梅干しを作ると副産物もできるのが嬉しい。梅酢は水で薄めて飲んだり、お酢がわりに料理に使う。持て余すという声も聞くが、我が家では秋が深まる頃には使い切ってしまう。今年は梅酢の上がりがよく、去年よりたくさんできて嬉しい。

土用干し終了。1個味見したら、さすがにまだ塩味が強かった。1年以上おいた方がいいと聞くが、我が家は3ヶ月後くらいから食べ始め、翌年の5月には食べ終えてしまう。今年もきっとそうなる。赤しそはずっと干し網に入れていたけれど、カラッとしなかった。最後にざるに広げて天日干し。数時間でカラッとなった。これでベランダでの作業も終了。

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色がイマイチだが、カラッカラに干した赤しそは、フープロで細かくして自家製ゆかりにする。

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右が紫蘇なしで漬けた梅酢、真ん中と左が紫蘇あり。赤の2本は委託元へ。美味しく食べてね。

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やはり気になり、食べてみた。まだ酸味よりしょっぱさが勝つが、皮は柔らかく、美味しい。暑さに疲れた体に染みる。これは、食べてしまうなあ。

南蛮酢作るとき、梅酢を入れた。家族は気がつかなかったけど、私はほんのり梅の香りを感じた。この季節だけのお楽しみ。


さて今回初めて梅仕事をnoteにまとめてみた。簡単と言いながら、手間と時間はかけていることがよくわかった。

梅仕事やめたら、その家が廃る

と祖母が言っていたのは、『梅仕事できない身体になってしまった』『梅仕事ができないほど、心と時間に余裕がなかった』という意味もあるのかもしれない。今年も無事、終えられてよかった。ザルと干し網、次は大根や白菜を干す時まで、ちょっとお休みしておいてもらう。

美味しいはしあわせ「うまうまごはん研究家」わたなべますみです。毎日食べても食べ飽きないおばんざい、おかんのごはん、季節の野菜をつかったごはん、そしてスパイスを使ったカレーやインド料理を日々作りつつ、さらなるうまうまを目指しております。