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歩き遍路の話36 ものすごい岩山に登った

11月20日
勝浦の宿は山の上にあったので、次の鶴林寺の登り口まで車で送ってくれた。

この日歩いた距離は約29キロ。
鶴林寺登り口~20番札所・鶴林寺~21番・太龍寺~舎心ヶ嶽~22番・平等寺~民宿。

この日の道のりは、鶴林寺、太龍寺と、連続で2つの山越えをする。

いくら遍路も終盤でこれまでいろんな山を越えてきたとはいえ、やはり山越えとなると少し緊張する。

まず、鶴林寺までの登山は、意外となかなかキツかった。

「遍路ころがし」と呼ばれる焼山寺ばかりに意識がいく徳島ルートだが、その後も意外とキツイのだ。

下の写真は、どのあたりで撮ったかあまりちゃんと覚えてないが、たしかまだ鶴林寺に着く前だったと思う。

山を登りながらゼーゼー言っているところに、この看板があって、途方に暮れたのを覚えている。まじか~!と。

まだ1つめのポイントすら打っていないのに、それが終わったらすぐに今登っているこの山を下りて、そしてまた次の山を登るのか…!となった。

写真が見づらいが、手前の山が今私がいる山で、これをもう少し登って鶴林寺を打った後、この下に見えている集落に下りていき、真ん中にある「永井橋」を渡って、その先に続く「歩きへんろ道」を通って、向こうの山の上にある「太龍寺」を目指すわけだ。

この写真見ると、ものすっごく果てしなく感じません??(泣)

この先の道のりを示す写真の看板

そしてその場所から実際に私が撮った写真。↓

めっちゃ山~!

でもまぁ、その後なんとか鶴林寺を打ちました。

鶴林寺境内

名前の通り、境内には鶴のモチーフがいくつかありました。とても雰囲気の良いお寺。

そういえばこの日は雨だったみたい。写真見て思い出した。そんなに大降りではなかったけど、やっぱり私、山越えのタイミングで雨のこと多かったな。

その後、太龍寺までの道のりがどうだったか、まったく覚えていません。写真もない。多分雨だったのと寒かったので、携帯を出すのが億劫だったんでしょうね。

太龍寺の写真もない。

21番札所・太龍寺は、ロープウェイでふもとから登れる札所。

ふもとの乗り場は歩き遍路は通らないのでどんな感じか分からないけれど、太龍寺側のロープウェイ乗り場には小さな売店があった。

太龍寺を打った後、売店でカップ麺を買って、店内にあるポットでお湯を入れさせてもらい、乗り場で昼食を食べた。店員さんが名物のきのこ茶を出してくれた。

このきのこ茶がめちゃくちゃ美味しくて、お茶好きな私は、もうあと数日で遍路も終わるし、と思って、ついつい土産に買ってしまったほど。その後数日間、リュックの中で場所を取ることに…。分かってたから良いんだけど。最初は荷物にシビアだったが、終盤にもなると気持ちに余裕が出てきたんだろうな。

あと、めちゃくちゃ寒くて凍えてたので、このあったかいきのこ茶がとても身体に沁みた。ありがとうございました。

ロープウェイ乗らないけどロープウェイ乗り場で昼食

カップ麺にお湯を入れて待っている間、ロープウェイから下りてきた韓国人遍路3人組に、なぜかおにぎりを貰った。

多分、道中買ったか人に貰ったか、朝の宿で貰ったかで、でも結局食べなかったんだろうな。とりあえずありがたく貰ったけど、私もカップ麺でお腹いっぱいになり、結局このときは食べなかった。

この後山を下るわけだが、その前に、空海が山の上で修行したといわれる、空海の像がある「舎心ヶ嶽」には絶対に行きたかった。

太龍寺から歩いて山を下りる際の途中にある。歩いて数分のところ。

岩の上に登りたいと思っていたけど、雨だったので滑らないか不安だった。登れないかも、と思いながらもとりあえず行ってみることに。


舎心ヶ嶽

右側に鎖がついてるのが見えるだろうか。

多分これが登る用の鎖なのだと思うが、雨だし、岩場の感じを見たところ、ちょっとこれは無理そうだな、と思った。

でもどうにか登りたい。この空海さんが見ている景色はどんなものなんだろう!という好奇心が勝る。

周りをよく見てみると、登れそうな一角があった。鎖を使わずに、自分で感じたより安全な道で登る。

これは多分、私が幼い頃にしょっちゅう岩場や高いところに登って遊んでいたときに自然と培われた感覚なのだと思う。

沖縄の西表島に住んでいたときも(あ、遍路話が終わったら次はこういう話をnoteで書こうかな)道がないジャングルの山やごろごろした岩場の海を歩くのに、私自身はそれまで意識したこともなかったのだけど、一緒にいた友人に「考える間もなく瞬時に安全な道を選んでるんだね」と言われた。そのとき初めて、たしかにそうかも、と思った。

そんな感じで、上の写真の岩の真ん中あたりまでは鎖を使わずに登り、最後は空海さんの背中側から登った。


空海さんの背中

この景色がものすっごく爽快で、落ち着いた。

周りに柵も何もないから、バランス崩したらもう一気に落ちていくしかない場所なんだけど、その点は少しビビリながらも、小さなスペースに腰を下ろすとあら不思議。

もうずっとここにいられるような感覚。心が落ち着く。

しばらく座ってぼけーっと眺めていた。

けれどまだ先は長い。この山を下りて、平等寺まで行かなければいけない。しばらくいた後、名残惜しく腰を上げて動き出した。


空海さんが見ている景色


眼下にはロープウェイが。中の人がこちらを見ているのが分かり
「どうだ、いいでしょ、すごいでしょ」と少し優越感みたいな感覚

で、この後はまた覚えていない。

まったく私は写真脳というか、昔から写真ばかり撮ってきたからか、そもそもの記憶力が弱いからか、写真に撮っていないことはほとんど忘れてしまうようになってしまった。

だからこの後は写真が残ってないので、覚えていない。


22番札所・平等寺

平等寺は、境内の真ん中の上に紐が張られていて、これがなんだかよく分かっていないが、おしゃれなお寺だなと思った。

夕方になると雨が止んで、少し陽が差しているのが写真で分かる。


平等寺の手水舎もおしゃれ


平等寺の天井絵

そしてこの日は平等寺から歩いてすぐの民宿へ。

この日の宿泊客は、先程ロープウェイ乗り場で会った韓国人3人の遍路と、どこかの国の英語話者の外国人遍路と、英語が堪能な日本人のおじさん遍路。

私は英語もほんの少しは話すし、この頃ちょうど韓国語も勉強し始めたところだったので、夕食の時間は日本語と英語と韓国語が入り混じる会話でとてもおもしろかった。そしてそれを少しでも理解できるのが嬉しい。

この韓国人遍路さんたちとは意気投合して、「今度韓国に遊びに来て!泊めてあげる」とメールアドレスをもらった。が、整理整頓が苦手な私。そのメモはどこかに行ってしまった…。泣ける。残念。まぁ、韓国行けないまま数年経ってしまったのだけど。

ああ、久々にどこか行きたいなぁ。

では、今回も読んでくれてありがとうございました。

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