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歩き遍路の話40 最終日!の朝

11月23日

歩いた距離、約32キロ。東洋町生見の宿~明徳寺(東洋大師)※札所ではない~法海上人堂~佛海庵~室戸の実家に帰宅。遍路終了。



ホラーな夢を見て金縛りに遭った宿。

一階へ下りると、テーブルに朝食が準備されていた。

不思議な食パンと、ゆで卵と、漬物類と納豆。え、どんな組み合わせよ…と思ってたら、追加で白ご飯と味噌汁とホットコーヒーが出てきた。ちょっとホッとする。納豆でパンを食べないといけないかと思った。ごはんが出てきてよかった。

でもごはんとパンを両方食べられるはずもなく(もちろん両方入る人もたくさんいるだろうが)しかもパンにはつけるものが何もなかったので、ごはんだけ食べてパンは残してしまった。

パンにつけるものもなければ、ゆで卵にかける塩もない。言えばいいんだろうけど、おばちゃんは奥にひっこんでしまったので、まぁいいか、とそのまま食べた。

夕食同様、量が多かった。そして漬物と総菜は、やっぱり買ってきたような味。うーん。あまり美味しくない。

で、コーヒーは好きなんだけど、これから歩くのはトイレも民家も店もなんにもない区間の道。いつも車で通るから知っている、断崖絶壁のような山と海に挟まれた道路だけの区間が続くのだ。そんなところを歩くのに、コーヒーなんて飲んだらトイレに行きたくなってしまう!でも残すのも…と思って、コーヒーは食事の一番最初に全部飲んだ。

食べ終わってお礼を言って、出発準備をするため二階に戻る。食堂に忘れ物をして戻ると、食器を下げていたおばちゃんが残っているパンを見て言う。「このパン、ホームベーカリーで家で焼いたんですよ!よかったら持って行ってください」

そうだったのか!!それで焼き立ては美味しいから、つけるものが何もなかったのかもしれない。それは残してしまって悪いことをした。「そうなんですか!お腹いっぱいで食べられなくてすいません!」と弁解して、パンは持っていくことにした。よかった。

もしかしたら、買ってきた総菜のような味の漬物と総菜は、もしやここで作ったものを総菜としてどこかに出しているのかも?という考えも浮かんだ。そもそも「買ってきた総菜」の味と、「その場で作った総菜」の味とどう違うのか。スーパーやコンビニの総菜はあまり美味しくない。いや、物によるけど。でも道の駅などにある地元の作り手の総菜は美味しい。まぁ総菜の味うんぬんに関してはここでは置いておいて、とにかく私という奴はつくづく失礼な奴だな、と思った。

でも前日の夕食でも、全体的に「買ってきた総菜」みたいな味で、つまりはあまり美味しくないと思ってしまったことは事実なのだ。思ってしまったものは、仕方ない。

残したパンと一緒に、この先は店も何もないからと、おにぎりと水とみかんをいただいた。ありがたい。やはり、人はとてもいい。ただ宿が汚くて、ごはんが美味しくないだけ。笑

さて、宿を出発。

東洋町の野根地区に入る。いつも国道にたくさんのぼりが立っていて、気になっていたけど旧道にあるのでわざわざ行かなかった寺。明徳寺に入ってみた。遍路の札所ではない。

明徳寺(東洋大師)

境内には犬がいた。これまでも書いてきた通り、私は犬にトラウマと恐怖があり、苦手。しかもここの犬、紐がめちゃくちゃ長い。だから私はビクビクしていたけど、とてもおとなしかったので大丈夫だった。おとなしい犬はかわいい。

境内に犬がいた

宿を出る前にトイレに行ったのに、1時間ほど歩いたばかりで、またトイレに行きたくなった。境内のトイレを借りて、そのあと住職に挨拶をしたらだいぶ長話になって、この寺で3回もトイレに行った。

もう寒い時期だったし、私は普段からトイレが近い。夏は全部汗で出るからトイレを気にすることなく歩いていたけど、秋になって肌寒くなると、宿を出る前に公衆トイレの場所を確認する始末。トイレと戦いながら歩くストレスがものすごかった。(知り合いもこのnoteを読んでくれてるから、こんなことぶっちゃけて書いて少し恥ずかしいけど書く。誰かの参考になれば)


朝日がきれいな境内


集落を歩く。朝日に照らされてキレイな南天?か何か。

本当にもうこの辺はよく知っている土地。野根の集落内を歩く。そしてすぐに小さな集落を抜ける。


野根川の上にかかる旧橋を渡る。いつもは隣の国道の新橋を車で通っているので、こちらは新鮮


さて、ここからはついに室戸市に入る。佐喜浜町の入木地区まで、山と海だけに挟まれた何もない区間が続く。何キロくらいだろうか。そして、何時間くらいかかるのだろうか。

遍路を歩く前、この何もない区間を一番最後に歩かないといけないことを懸念していた。本当に何もないと知っていたから。果たして無事乗り切れるのかと。

でもここまでずっと歩いてきた今の私は、自分が1日にどれくらい歩けるのかを知っている。そして、今日の日没までには実家に着く予定なので、だいたい午前中くらいでこの区間を抜けられるだろうと予想もつく。

それでも、多少知っているからこその不安は、かなり大きいものだった。

いざ、歩き始める。


この先何もないことを示す最終自販機の小さな看板

ご丁寧な手書き看板。これは大事。私はこの先どんな道か知っているけど、何も知らないお遍路さんに、この情報は必要だ。

夏場ならここで3本くらい水を買っていくだろうけど、この時期なら今持ってる分で足りるだろうと思って買わずに通る。

しかしこの看板、ほんといい。他の場所でもこういうの欲しかったな。喉が渇きすぎて、でも自販機も店もなくて辛かったことが何度かあったから。

さて、これからこんな道を歩きます。
山、道路、海だけの道が続く。

続きはまた次回。

今回も読んでくれてありがとうございました。

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