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マスクが義務化されたデンマークでマスクを忘れた話

今日実に半年ぶりに電車を使ってデンマークへ行きました。

去年までは、いや、今年の始めまでは普通に通勤に遊びに使っていたこのルート。半年開けた今、様子が何だか変わっていました。

話の前に、スウェーデンとデンマークの国境辺りのことをちょっと説明しておきます。
スウェーデンとデンマークは海を挟んでお隣同士。国境を行き来するルートはいくつかありますが、そのうち主要なものは2つ。スウェーデンのマルメとデンマークの首都コペンハーゲンを結ぶ橋を使うルート、そしてスウェーデンのヘルシンボリという街と、デンマークのエルシノア(ヘルシンノア)をフェリーで行くルートです。

私はマルメに住んでいるので、いつも利用しているのは橋のルートです。

海を隔てているとはいえ、大した距離ではありません。電車で20分もあれば国境越えができます。マルメの中央駅からコペンハーゲンの中央駅も35分程度。それがコロナ対策の関係で、デンマークが国境コントロールを始めたため、今では(気分的に)ものすごく長い距離になっています。

国境コントロールの前例は、数年前シリアからの難民が多く押し寄せた時にスウェーデン側が始めたものが今も続いていますが、最近そのコントロールも抜き打ち的になり、再び移動がスムーズになって来た矢先、コロナでまたややこしいことになっています。

まず、スウェーデンから来た列車は、海を越えてデンマークに入ってすぐの駅(コペンハーゲン国際空港がある駅)で止まり、乗客は全員降ろされます。

そしてパスポートチェックを受けます。まるで空港内の入国審査のような形で、駅のプラットフォームにブースがいくつか設置され、「デンマークのパスポート用」、「外国のパスポート用」と分けられています。そこに電車で来た人全員が列をなして並ぶわけです。もちろん列で待っている間もソーシャルディスタンスを守らなければならないので、長ーい行列。

私は通勤時間を避けて行ったので割とスムーズに進みましたが、混雑する時間帯だとものすごく時間がかかったと思います。

チェックが終わり、そのまま続けて移動する人は、また同じ電車に乗ります。非常に面倒くさい。

、、、

と、ここまでは前置き。

今日からデンマークでは公共交通機関を利用する際にマスク着用が義務付けられています。この情報を前日に知りながら、朝家を出てからマスクを忘れたことに気付いた私。家に取りに戻るのも面倒な距離だったので、様子を見て必要だったら買えばいい、と軽く考え電車に乗りました。

電車はスウェーデン発なので、この時点で車内でマスクをしている人はほとんどいません。
そして前述のように、スウェーデンから国境を越えデンマークに入ってすぐの駅でパスポートチェックを受けます。

私の今日の目的地はメトロを使った方が行きやすかったので、その駅でメトロに乗り換えることにしていました。メトロに乗るためにはいったん駅を出て、メトロ専用の駅に移動します。移動の時に国際空港の建物の中を通るのですが、実は空港内は7月半ばからマスク着用の義務があり、見たところほとんどの人がマスクをしています。

そのまま建物の中をさっさとスルーしてメトロの乗り場へ行っても良かったのですが、この先メトロに乗り換えても私以外全員マスクしてたらマズい、と思い、空港の建物内で購入することにしました。

インターネットの情報ではセブンイレブンで売っているとのことだったので、屋外の通路を使ってセブンイレブンへ向かいます。

でもセブンイレブンは建物の中の方にあるので、屋外の通路から直接行くわけにいかず、やはり中を通ることになります。中を除くと、蛍光のジャケットを着たマスクチェック用(?)の係員がウロウロ。彼らの目を潜り抜けてセブンイレブンに無事たどり着けるのか?!と思いつつ、屋内に。

すると入ったとたんにマスクの自動販売機が見つかりました。

でも値段が、、、、、

55クローネ(今日のレートで930.5円)?!?

「ぼったくりすぎやろー」と心で叫び、いや、セブンイレブンはもっと安いかも、あと、セブンイレブンの手前に薬局もあったからそこでも買えるかも?と思い、自動販売機から遠ざかろうとしたときに、あの蛍光ジャケットの係員が目の前に。

何か言われるかと思ったら、すぐ横を歩いて来た女性に声をかけました。
女性はマスクをせずにハンカチに手を当てて口を覆っています。

「あなた、そのままではダメです。マスクをしてください。」

みたいに注意をしていました。

女性は何か説明して屋内へ進んで行こうとしましたが、

「あなた3回ぐらいここを通ったでしょ。見てたんですよ。」と係員。

そんな細かく見てるのか?と狼狽え、その女性の後で揉めたくないわ、と思って超高いマスクを買うことにしたのでした。

結局マスクは5枚入りで55クローネということが分かりましたが1枚186円て高すぎ。ふつーーーうのマスクですよ。ダサい青色の。

これで、イッシッシと笑いながら大儲けしている人がいるに違いない。というか、絶対いる。大笑いしている人が。

※画像にあるように、マスクのパッケージにselectaと書かれています。これは自販機の会社のようですが、この機を利用して大儲けしているのはこの会社か?!ちゃんと製品はEU製なのか?安い国から基準を満たさないものわざと買って高値で売ってないか??、、、と負け惜しみは尽きません。

腹立たしく思いながらもマスクを購入、着用し、堂々と空港内を歩いてメトロに乗車。メトロでもやはり乗客のマスク率がとても高かったので、買って良かったのですが、でもやっぱり55クローネは高い。ひとつしか必要ないのに5つも買わされて。家にもマスクあるし、しかもスウェーデンに帰ったら全然必要ないのに(涙)。

そんなこんなで、痛い思いをした久しぶりの国境越えでした。

ちなみに、コペンハーゲンの街の中でもマスクをする人が増えたように感じました。あと、例えば車内で隣に座っても顔を避けるように斜めに座ってみたり(お互いマスクをしているのに)、狭い道で人とすれ違う時にわざとらしく大回りして距離を開けようとしたり。そんな様子を見ていると、今まで知っていたコペンハーゲンとは違う世界に来てしまったような気がします。皆とは言いませんが、疑心暗鬼というか、見えない恐怖に操られ過ぎて、このままでは人と人の関わり合いもどんどん薄くなるのではないか、とそんなことまで感じてしまいました。

もし道で転んで怪我しても、感染したら嫌だから触らないでおこう、とか言う理由で誰も助けてくれなさそう。(道で怪我した人を助ける光景は、コロナ云々に関わりなく残念ながら最近見ないような気もしますが。)

さあ、どうなるんでしょう。

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