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途上国で、質の高い教育って? - 最新鋭の機器 -

「質の高い教育を提供します」というフレーズで売っている学校の広告では、賢そうな子どもたちがPCの前で学習している写真を目にします。整えられた教材や教室等の学習環境も、子どもの教育を左右するものだとは思います。
わたしには一人だけ姪っ子がいて、小学校3年生ですが、ICT教育が進む学校でプログラミングを駆使してゲームを作ったりしているというのです。それで表彰されたという話を聞き、感心しました。環境を与えられることで才能が花開くというケースは、教育の理想です。

教材や学習環境

子どもの才能を伸ばすための環境を整えることが最高とわかっていても、カンボジアのような途上国では、高い学費で運営する私立学校は別として、一般的には基礎教育の充実がまだ課題であるのでそこまで整えることはできません。しかし公立でも一部、2015年からNew Generation School(NGS)と呼ばれるモデル校を設置して最新式のICT機器を導入した授業展開をはじめました。2022年までに100校を目指すそうです。

最新のICT教育の落とし穴

先日、NGOのスタッフの方から、NGSについてのネガティブな一面を耳にしました。学校にPCやタブレットを投入し、ICTを利用したハイテクな授業を行い、未来ある素晴らしい教育としてスタートしたNGSも、今や下火だと・・・。
スタートして2,3年もすると、ICT機器に故障が出始めます。莫大な資金を注ぎ込んで投入した資材の予算には、”修理・交換・買い替え”というメンテナンスは含まれません。一旦使えなくなると、そのまま放置される、こういった現状が出始めているそうです。
容易に想像できます。学校建設、トイレ建設、教材支援で似たようなケースをいろいろ見ました。学校やトイレを建設して贈呈するという支援にはメンテナンスが含まれないので、例えば、10個あるトイレの個室が2個しか使えないまま数年経っている、という学校も多数目にしました。最悪なのは、日本で売っている教材を支援として差し上げたので壊れても交換部品がない、そもそも説明書が日本語で不具合の意味がわからないというケースもありました。
さて、話をICTに戻しますが、メンテナンスのための人材とお金をセットで導入しない限り、NGSの継続維持がままならなくなっていくのだと思います。国のあげた素晴らしい教育改革であるがゆえに、ひじょうに残念です。なんとか解決の道が見つかることを願っています。

教師というリソース

他方、教師というのは、機械のように2,3年で故障するということはないので「質の高い教育」の中では永遠にエースで4番のような存在だと思うんです。導入するまでに、育成するということに時間とお金がかかりますが、長く影響ある「質の高い教育」を維持するには、いい授業をする教師の存在が不可欠です。当たり前じゃん、と思うかもしれませんが、これがどこでも実現しているわけではないのが、途上国であり、カンボジアなのです。
カンボジアが抱える深刻な教育問題の一つに、教師の質と数の不足と教師の待遇の悪さがあります。カンボジアの公立の学校では、教師の転勤がありません。例えば、質の高い教師がいる学校とそうではない教師で構成されている学校では、子どもの学力が異なるかもしれません。公立の場合、普通は、学校は選べないので、教育についてもどこで生まれたかの運命にかかっています。
そのためには、いい授業をする教師が全国に満遍なく配置されることが何よりも大切になります。

手前味噌になってしまいますが、わたしが今プロジェクトで関わっているのが教員養成大学(4年制、全国に2校)です。そこを中心に全国にある教員養成校で質の高い教師が育成されればよいという流れになります。

じゃあ、その教師を育成する大学や養成校の教官からまずはスタート? どうも壮大な話になってしまうので、カンボジアの教育については軽々しく書けませんね。

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