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プラナリアの育て方

切っても切っても死なない生物で有名なプラナリア。話だけ聞くと不死身に思えるが、意外と飼育難易度は高い。
ここでは天然のプラナリア3匹を10万匹まで増やした経験を元に、育成方法を書いていこうと思う。


プラナリアとは

驚異の再生能力を持つプラナリア

プラナリアとは、扁形動物門に属する自由生活の小型の平たい虫である。主に淡水に生息し、その驚異的な再生能力で広く知られている。例えば、プラナリアを半分に切ると、それぞれの部分が再生し、二匹のプラナリアになる。この再生能力は、科学者たちの興味を引き、再生医療や発生生物学の研究対象となっている。

プラナリアの体は扁平で、頭部には光を感知する眼点が存在し、餌を探すための嗅覚器官も発達している。口は腹面に位置し、咽頭を使って餌を捕らえ消化する。主な食物は細菌や小さな無脊椎動物である。

プラナリアの再生能力の鍵となるのは、体全体に存在する幹細胞(ネオブラスト)である。この幹細胞は損傷した組織を修復し、新しい組織を形成する能力を持っている。そのため、プラナリアは再生医療や発生生物学の研究において重要なモデル生物として利用されている。

さらに、プラナリアは非常に単純な神経系を持ち、神経科学の研究にも貢献している。プラナリアの行動や学習能力に関する研究は、より複雑な動物の神経系の理解にも役立っている。

「不死の生物」とも呼ばれるプラナリアは、その再生能力で注目を集めているが、自然界では捕食者や環境変化によって寿命が限られることもある。それでも、その再生のメカニズムを解明することで、人類の医療や生物学の発展に大きな影響を与えることが期待されている。

日本に生息するプラナリア

日本の固有種として有名なのが「ナミウズムシ」である。
ナミウズムシは、体長が通常10〜20mmほどの小型の扁平な虫である。体は黒褐色から灰褐色で、腹側は白っぽい。頭部には二つの眼点があり、これらは光を感知する役割を果たす。また、頭部には三角形の突起があり、これは嗅覚器官として機能し、餌を探すのに役立つ。清流や池、田んぼなどの淡水環境に生息し、水質が良好で、有機物が豊富な場所を好む。水中の岩や植物の下に潜んでいることが多い。

ナミウズムシ以外にも数10種類のプラナリアが日本国内に生息しているが、国外から入ってきた外来種もいる。「アメリカナミウズムシ」と「アメリカツノウズムシ」である。一見ではナミウズムシとの違いはわからないが、ある程度水質の悪い地域でも生息できる。
これらの外来種が固有種の生息域を脅かしている話は別の会に書こうと思う。

育て方

プラナリアも種類によって育成方法も異なる。今回は「ナミウズムシ」に絞って説明する。ナミウズムシを水槽で維持するのは難しいという声を比較的多く耳にする。これについて考察も含めて解説していこうと思う。

必要な用具

水槽(水量20L程度入るコンテナ等でもよい)
水槽は必須である。水量は多いに越したことはないが、最低でも20L程度の水が入る容器は欲しい。水量が多いほど、急激な水質や水温変化が少ない。プラナリアにとっても安心できるポイントになる。

②エアレーション
水を抜気することで、水温を一定に保ち、水中のバクテリアや微生物の発生を促せる。発生する微生物はプラナリアの餌にもなる。増殖だけを考えるのであれば、濾過機能の付いた濾過ボーイ等のエアレーショングッズも効果的である。

③大磯など水質に影響しない砂利
バクテリアや微生物の発生を促せる。ただし多孔質な濾過砂利との相性が悪い。理由はわからないが気づかないうちにプラナリアが消滅していることが度々あった。大磯とサンゴ砂(大粒)のミックスした砂利との相性はいいようで、個体の大型化が促進される傾向がある。

④水草(無農薬のアヌビアス、アナカリス等)
プラナリアの代謝物による水質悪化防止に役立つ、特にアヌビアスは陰性植物なので光をあまり必要としない。ただし、水草は消耗品として考えた方がよい。どうやらプラナリアが溶かして食べているようで、時間が経つにつれ枯れや溶けが見え始める。そのままにしても、水質的には問題ないようだが最終的には無くなってしまう。

あった方がいいアイテムと生体(必ず必要でないもの)

①外掛け式フィルター
水槽で飼育するのであれば外掛け式フィルターとプラナリアの愛称は良い。
バクテリアや微生物の発生を促せるのもあるが、水質維持にもかなり貢献してくれる。また、濾過ボックス内がシェルター替わりにもなっているようで、プラナリアが集合している。
(もしかすると、インペラで切断されたプラナリアがボックス内にたまり再生しているだけかもしれない。)

②サンゴ(化石サンゴ)とエビ(レッドチェリーシュリンプ)
理由はわからないが、サンゴを入れた水槽内では大型化した個体がちらほらみられる。要因はサンゴとエビが怪しいとみているが、弊社のストック水槽内で3㎝を超える個体が発生した水槽の装備を下記に紹介する。他にも様々な組み合わせで施策しているが、発生した水槽はこれだけである。

大型化個体が見られた水槽
〇器具類

Lサイズ規格水槽、外掛け式フィルター、エアレーション(エアーストーン)、化石サンゴ水槽内2割程度、大磯砂
〇タンク生体および水草
スーパーレッドチェリーシュリンプ、グッピー、レッドラムズホーン、アヌビアスバルテリー(トロピカ社)、ミクロソリウム・トライデント(トロピカ社)
〇水温26℃
〇pH7.2
〇添加バクテリア サムライEX

餌について

人口飼料

・オトヒメC2、B1、EB2
・メダカの餌(ダイソー)

生餌系

・ミナミヌマエビ、レッドチェリーシュリンプ、ルリーシュリンプの稚エビ(タンクメイトとして導入し勝手に繁殖発生したもの)
・グッピーの死骸
(残り餌対策として入れているグッピーが循環しているうちの死骸)

生エサ

よく文献ではレバーや切り身などを与えているのを目にするが、閉鎖された環境では、これらの餌はお勧めしない。理由は飼育ポイントにまとめるので見てほしい。

飼育ポイント

水換えについて

順調にプラナリアが維持・増殖できている環境で、水質が極端に悪化しない限り水換えの頻度は少ないほうが無難である。私も水替えが原因で全滅した経験が何回かある。もし水替えを行うのであれば別の容器に水を溜め置きし、その水を使用するのが良いであろう。
経験上の所感ではあるがプラナリアをうまく維持できない要因は、餌による水質の悪化と度重なる水替えが殆んどである。生エサはとにかく水質を悪化させる為、こだわりが無ければ与えない方がよいと考えるのはこの為である。

シャーレで飼育

主に実験用として飼育する場合はシャーレで管理する場合も多いだろう。増殖を考えないのであれば、シャーレでの管理は効率が良い。分散させて管理ができる為、水質悪化による全滅がさけられ、個別管理ができることは実験のデータを残すのにも効率が良いのだ。室温が一定であれば2週間給餌しなくても生きている記録もある。

水温について

ナミウズムシに関しては自然下の水温は5℃~15℃程度の地域に生息している。もし採取した個体を育成するのであれば、採取地域の水温を意識して冷蔵庫等で管理す必要がある。逆に常温水温に適応した個体を冷たい水で水替えすると死んでしまう。急激な温度変化には注意が必要である。

2024/7/13更新
不定期で追記中。


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