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震災とモバイルファーマシー(移動薬局車)

今回の能登半島地震では、多くの方々が被災されたことに対しまして、心からお見舞い申し上げます。

DMATを始めとする医療支援が行われる中、日本薬剤師会からは各地の薬剤師会に対して、被災地への薬剤師班の派遣依頼がありました。
私個人的にはこの活動に参加できませんでしたが、この場を借りて、薬剤師の活動の一端を紹介できればと思います。

神奈川県では、横浜市薬剤師会の災害対策医薬品供給車両(モバイルファーマシー、移動薬局車)が1月10日に石川県に派遣されました。
車両は2019年に導入されたものですが、災害出動は今回が初めてとのことです。

モバイルファーマシーが最初に誕生したのは宮城県で、そのきっかけは東日本大震災に遡ります。

それ以前は災害時の医療救護活動に薬剤師が入っていませんでしたが、東日本大震災で薬剤師が活躍したことで、災害医療チームに加わる必要性が見直されました。

その時の経験から宮城県薬剤師会がキャンピングカーを利用した移動薬局を発案し、2012年にモバイルファーマシーが開発されました。

その後、日本各地でモバイルファーマシーが導入されていき、現在では約20台あるとのこと。

写真に掲げた熊本県薬剤師会のモバイルファーマシー(製作:イズミ車体製作所)はキャンピングカーではなくトラックをベースにしており、既存のものよりも作業スペースが広いそうです。

いずれのモバイルファーマシーでも、調剤棚や保冷庫、分包機など調剤室としての機能だけでなく、発電機能や給水タンクを持ち、車内で寝泊まりもできるので、被災地でも1台で独立して活動を続けることができます。

東洋経済オンライン記事によると、今回の能登半島地震では(1/18付記事の時点で)延べ7台のモバイルファーマシーが派遣されており、被災地で薬が必要な方々のために調剤活動にあたっておられます。

ちなみに被災して被保険者証などが手元にない場合でも、氏名、生年月日、連絡先(電話番号等)のほか、被用者保険の場合は事業所名、国民健康保険・後期高齢者の場合は住所(国保組合の場合は組合名も)を申し立てることで受診でき、薬も処方されます。

これからもモバイルファーマシーの普及と活躍に期待しています。

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