見えない棘が刺さっている
なんだか、奥歯がジグジグ痛む。
歯が痛い、たったそれだけのことで、
色んなモチベーションがどこかへ行ってしまう。
「バイバーイ!」「またどこかで会いましょう」
去っていくモチベーションを横目に見て、
「待て、待ってくれーーー」と、
追いかける気にもならない。
むかし、会社の草野球を先輩が休むと聞いて、
なんで、休むのか理由を知ったとき、
思わず笑ってしまったことがある。
先輩は、口内炎が痛すぎて、休んだのだ。
小さな頃から部活っ子だったものにとっては、
「口内炎痛くて休みます」とコーチや監督に言ったら、
はっ倒されてしまうぞと思ったのだが、
本人にとっては、口内炎がものすごく痛くて、
野球をやる気になれなかったのです。
他人には、大したことないと思えるそれでも、
当の本人にとっては、「てーへんだー」ってことは、
たくさんあるんだろうなあと思います。
ぼくにとってのそれは、歯の痛みでしたが、
いぼ痔さん、切れ痔さん、あな痔さん、
ひとに、天パーをからかわれれて落ち込む、
精神的なことだってあるよね。
ぜんぶ、他人には見えずらい、内側のことだ。
そんな痛みが原因で、
ひとにやさしくできない日だってある。
目に見えない小さな棘がなくなれば、
ひとはもっとモチベーションを保てるし、
やさしく動けるんだろうなと思うのだが、
きっと棘が完全になくなることはないでしょう。
それでも、目の前の相手に
見えない棘が刺さっているかもしれない、
自分には心の底からその痛みが理解できないが、
相手にとっては「てーへんだー」という
想像力を持つことはできるかもしれません。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
だれだって「てーへんだー」と一緒に生きている。
1年半、世界76カ国の旅から帰ってきて、ウェブマガジン「The U」をはじめました。自由をつくるメディアです。インタヴューやコラムがあります。ぜひ、遊びにきてください。http://theu.jp