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サッカー警備員

港区の小学校の横を通ると、
小学生の男の子ひとりと、警備員さんひとりが、
校庭でサッカーのパス交換をしていました。
なぜか、警備員さんが遊んでいるのです。
小学生のへたっぴなパスを、
全力で追いかける警備員さんを見て、
いいなあと思ったんです。

この様子を他のひとが見たら、
「あなたは警備員なんだから、
学校や生徒を守ることに専念しなさい」
なんていうかもしれません。

警備員としての募集要項には、当たり前ですが、
「小学生とのサッカー」なんて項目はないでしょう。
そうな項目があったら、たのしいですけどね。

どんな事情があったかは、わかりませんが、
警備員という役割を超えて、
小学生をたのしませていて、
同時に自分もたのしんでいるのが、よかったんです。
考えてみると、ひとは役割をこえた行為に、
感動したり、よろこんだりするのかもしれません。

雨の日に入った公民館のような場所で、
知らない掃除のおばちゃんが「これで体拭きな」と、
親切にタオルを貸してくれて、
うれしかったのを覚えています。
もちろん、掃除のおばちゃんの役割に、
濡れているひとを見つけたら、
タオルを貸してあげること、なんてものはありません。

それは、やらなくてもいいけど、
あったらうれしい、おまけみたいなものです。

ぼくが大学を卒業して働いた会社は、
おまけの会社でした。
もしかしたら、そういう魅力を
おまけに感じていたのかもしれません。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
おまけのように、役割をこえていきたいものです。

MONKEY CLIMB | モンキークライム

1年半、世界76カ国の旅から帰ってきて、ウェブマガジン「The U」をはじめました。自由をつくるメディアです。インタヴューやコラムがあります。ぜひ、遊びにきてください。http://theu.jp