句読点のない人

先日、大事な説明を集団で聞かなければならない機会があった。

説明担当のその人は、「句読点のない人」だった。

いつも同じ説明をしているし、時間も限られているからかもしれないが、早口なその人は、「句読点」もなければ、「抑揚」も無かった。

原稿を見ながら、つらつらと読む。

そこに感情はない。

このご時世、アクリル板越しのその人の声は、ますます聞きづらい。

他のスタッフの方と話してる様は、普通なので…

今日は、気分が乗らないのかな?

何百回もやってるからうんざりしてるのかな?

そんな日もあるよね。


最初こそ、集中力もあったが、そのうち、聞き取れなくなり、早口で句読点も抑揚もないその話し方は、もはや日本語にさえ聞こえなくなり、私の脳は処理してくれなくなった。

みんな、聞き取れているのだろうか?

「今、なんて言った?」なんて思っていたら、話はどんどん先に進み、ますますわからなくなった。

途中で「ここまでわからないことはありますか?」と聞かれるが、もはや、何語かしら?と思っているぐらいなので、全部がわからない。

でも、私以外の人から質問は出ない。

そしたら私も聞けない。

何がわからないのかすら、わからないのだから。

そもそも、何を言っているのか、わからないのだから。

早口で句読点も抑揚もなく話す人に、こんなことをしても聞き取れるわけはないのだが、苦肉の策、耳に手を当ててみた。

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