その5

『秘密の遊び』 残月槐

幼馴染との小さかったときからのスキンシップが高じてエスカレーションしてキスのような何かをしている関係。
その先にいわゆる性的な行為をするというのが大人の誤解で、子どもたちにとって果てしないスキンシップそのものが完成された遊びであり、全身全霊で伝え合う心のふれあいと言っていいだろう。
肉体のふれあいによって心も満たしつつ、その心の充足がふれあいと呼応している。
あとは各々の気持ちがどれほど高まっているか。
同じように感じていると確信している度合いの問題しか無い。
いわゆる性行為よりも純粋な行為といっても過言ではない状態が既にある。

そんな幼馴染のふれあいの均衡に変化が訪れるのが、彼女に大学での彼氏が出来たこと。
幼馴染は彼氏といいより家族に近いしそこから踏み込んだ関係であり自然すぎて関係性を意識できなかったとしても不思議ではない。
幼馴染二人の関係は口外できるものではないので二人だけの秘密なので、関係性にも名前がない。
他人からすれば、その関係は恋人関係と言ってもいいものだ。
でも当事者にはその実感が今ひとつかけている。当事者意識がない。
特別すぎる関係性だからだろう。家族のようで友達のようで恋人のような関係。結婚してしまえば解決するけれど、そういう時期には少し早かった。
そこに割って入ってきてしまったのが(彼女にとっての他人の)初彼氏である。

幼馴染(彼)の策略によって、
幼馴染(彼女)(であり大学生の初彼氏の彼女)と、幼馴染(彼氏)
との密事は初彼氏に、映像とともに知らされている。

このアウティングのせいで初彼氏くんは今までならあったスキンシップが途絶えているという。
でもデート自体は継続しているというのだから、悩んでいるのだろう。
落ち着いて状況に対応できるようになったら、彼女と別れるかも知れないが、逆に腹をくくって彼氏らしいことを自分もしようとしてエントリーしてくるかも知れない。
そうなればNTRとしてもかなり熱い展開になる。

幼馴染と、初彼氏との競争が起きたらその先の展開は読めない。
熱い競争が繰り広げられる次作を読みたい。

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