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「シャガール 三次元の世界展」妻のことが大好きすぎる画家が描くメルヘン世界

○愛する人と見に行くべき絵画展

先日、東京駅の中にある「東京ステーションギャラリー」で12月3日まで開催されている「シャガール 三次元の世界展」に行ってきました。

マルク・シャガールは、僕の大好きな画家のひとりです。

僕はひとりで観に行ってしまいましたが、シャガールの絵はぜひ愛する人とみるといいと思います。
僕も妻への愛情が10割増しになりました。

妻と一緒に行っていたら思わず抱きしめていたかもしれない。
そのぐらい、シャガールの絵からは妻を愛することの素晴らしさがあふれています。

会場に入ってすぐに出迎えてくれたのは、愛妻ベラとの結婚前に制作された「誕生日」です。
1915年制作、シャガール28歳の作品です。

シャガールの誕生日にベラが花束を持ってお祝いに来ます。
シャガールは嬉しくて宙に浮いてベラにキスをします。

この絵が制作されたときのエピソードをベラが語っているのですが、その文章をどこかで読んだことがあったなと思い出しました。
シャガールの誕生日にベラが花束を持ってアトリエに行くと、彼はとても感激して、その場で、花束を持ったベラをキャンパスに描いたのだそうです。

絵の中で、シャガールの両手が描かれていないのは、キャンパスに絵を描き続けているからなんですね。

それにしても、なんてロマンティックな絵なんでしょう。
彼の絵を見ていると胸が一杯になって、幸せな気持ちになります。

○「誕生日」は1915年版と1923年版2枚制作された謎?

ふと気になって、パンフレットの作品リストをみると、制作年日が1923年になっています。
それに所蔵先がAOKIホールディングスになっています。

1915年と1926年?

不思議に思い調べてみると、実はこの絵、2枚あるんですね。

1915年にこの絵「誕生日」を描いたあと、シャガールはロシアのヴィテブスクに帰郷します。
フランスに置いてある「誕生日」は、彼がいない間に勝手に売られてしまったそうです。
パリに戻り、売られてしまった自分の絵を借りて、それを自ら模写し、もう一枚の「誕生日」が制作されたのです。

現在、1915年制作の「誕生日」は、ニューヨーク近代美術館MoMAにあります。
1923年の「誕生日」もニューヨークの別の美術館にあったようなのですが、経営難から売り出され、AOKIホールディングスが手に入れたようです。

○シャガール2次元から3次元へ

今回東京で開催されている展覧会の見どころは、日本初公開作品を多数含む彫刻作品と、同じ主題の油彩、水彩、版画が、陶芸作品とその下絵です。

約170点展示されています。

シャガールは晩年に、これまで自分が描いてきた作品を元に、彫刻を数多く創作しました。

この「誕生日」絵画を元にした、彫刻作品も会場に展示してありました。

マルク・シャガール「ふたつの頭部と手」(1964年、個人蔵)

見事に絵画の世界を造形芸術で表現されていました。
陶芸作品の壺?花瓶?がとても可愛かったですね。

そうそう、見開き一枚のパンフレットにも遊び心があって素敵でした。

切り取り線にそって切り取って、谷折りすると、なんと!

シャガールとベラがキスをするんですね〜
なんかいいですね。

このパンフレット内容も素晴らしいです。
限られたスペースのなかに作品の写真だけではなく、簡単な年表とシャガールが移り住んだ地図が書かれています。

観る価値は十分にある「シャガール三次元の世界展」でした。

「シャガール 三次元の世界展」東京ステーションギャラリーで12月3日までです。

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