黄昏の国の小さな人たち 徳川吉宗と朝鮮人参 英雄たちの選択

この「英雄たちの選択」は大変な落ちがついておりまして、ひときわ印象に残りました。
ネタばれすると、朝鮮人参の生産に必要な種と育成ノウハウの図書が、幕府主導で成功したのだが、以下、どちらの選択をしますか、ということになり、ゲストの先生ふたり(片方は荒俣宏)と磯田氏はなにを選択したか。

A 幕府が独占し、それを販売することにより破綻した幕府財政を再建した
折しも飢饉や自然災害などで幕府の財政支出が超過しており、朝鮮人参の販売により収入を増加させることとした。

B 欲しい人に分け与え、熱心に取り組んだ藩では貴重な産業となった。
高札をだし一般人にも配布して、多くの人が病気からの回復を果たした。

というわけで、荒俣宏と朝鮮人参に詳しい先生の二人はAを選ぶ。
磯田氏はB

ちなみに私はB

正解はBでした。
そもそも吉宗は朝鮮人参の不思議な効能に対し興味が湧き、それで多くの人が助かるのなら、ということで種の確保とそこからの育成の研究を命じたわけであり、収益を得ようという考えはなかった。もしビジネスとしても、独占できる収入はそれほど多くなかった。
武士がちまちましたところで利益を独占することによる悪評を得るよりも、効能の高い薬を広く普及させることで幕府への支持が高まることを選んだというのがその理由。吉宗の多方面への好奇心からはじまり、武士として金などに執着せず人民のためを優先する武士の矜持の一例としたのである。

Aを選んだ二人の先生が赤面気味だったのは笑えました。
もしかして武士の子孫であれば、大事なものを思い出しましょう。
そうでなければ恥じることはないかと思いますが、今日のわが政府の振る舞いとは対極にある幕府と言いたくなる気持ちは禁じえない。

ああ、徳川が維新に加わっていたならば、別の国だったのではないか、と私は深く嘆息したのであった。

安倍も岸田も長州だ、

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