見出し画像

卒業式 答辞

コロナウイルスの影響で、卒業式簡略化、それにより本来読むはずだった答辞を削り、その削った文意に合うように表現を修正しました。(元々が非常に長すぎでした。修正してくださった先生方ありがとうございました。)ただ、やはり全て、自分で考えた言葉で述べたいのと、あまりにも当日やむを得ず来れない方が多かったので、ここに本来読むはずだった修正なしの答辞をあげたいと思います。呼んでくださると嬉しいです。

答辞

例年より暖かな冬も終わりを迎え、気づかぬうちに春の空気がやってまいりました。本日は私達卒業生のためにこのような良き式を開いていただき、ありがとうございます。また、お忙しい中お越しくださった、ご来賓の皆様、保護者の皆様、地域の皆様、本当にありがとうございます。

高校の3年間はあっという間に過ぎていきました。
初めてこの島を訪れた日のことを今でも鮮明に覚えています。その日、この島で初めて会った同級生と今、一緒に卒業できることを幸せに思います。


この大崎海星高校での3年間は、1発ギャクの入った自己紹介やホームルームでのコントのような会話など笑いに溢れ、楽しい毎日でした。
しかし、3年間を通して、苦しいことや悩んだことも多くありました。1年生の時は、ほとんどが大崎上島中学校からの進学の中、自分が誰と、どんな風に、どんな自分で振る舞えばいいのか分かりませんでした。相手のことが分からず、傷つけてしまったこともあったと思います。仲良しグループが何度も離れたり、くっついたり、誰かの悪口を聞いたり、自分に対しての悪口を言われてたことを知ったり。私達は子供でした。また、授業中のおしゃべりや、遅刻がひどい時もありました。8人での教室掃除を、さぼりや休みで3人でした時はこんな当たり前のことすらできないのかと憤りを感じることもありました。


でも、徐々に少しずつですが、変化を感じることができました。3年生になってからは、落ち着き、お互いがどんな人なのか分かるようになり、協力し合うこともできました。また、精神的に大人へと成長したのだと思います。3年生の文化祭では生徒会執行部の仕事をクラスメートに手伝ってもらったり、新しい企画に挑戦したり、とても良い文化祭になりました。体育祭では、クラスで協力しあい、優勝することもできました。今では、このメンバーと3年間を過ごせて、本当によかったです。ありがとう。


また、私の3年間はみりょくゆうびん局の活動と常に背中合わせでした。やれることは全部やる。その精神で、とにかく何でも取り組みました。ファシリテーションなど3年前まで言葉すら知らなかったことを、自分で考えて出来るようになりました。また、地域教育魅力化プラットフォームへのインターンや、山形で行われるSCHシンポジウムなど、普通の高校生なら出来ない経験と、素敵な大人との出会いがありました。

私はこの3年間で、本当にたくさんの経験をし、たくさんのことを学びました。何より大切だと感じたことは、直接きちんと対話をすることです。対話が出来なかった時、いつも私は上手く行きませんでした。日常生活でも、話すのを放棄したら、何も分からないまま、お互いを傷つけたまま終わってしまいます。ちゃんと正面からお互い話し合うことで、認め合うことができ、誤解を解くことができると学びました。

島での生活は、ハウスマスターや島親さんに支えられ、充実した毎日でした。島を歩くだけで、四季を感じられ、島外から来た私にも挨拶をしてくれました。少し歩けば海に行け、夜空を見上げれば満点の星が見える。東京とは違う3年間をこの島で過ごせたことが、私の財産です。

後輩のみなさんへ。私達先輩は、優しかったでしょうか。厳しかったでしょうか。先輩と呼ぶにはもしかしたら少し頼りなかったかもしれません。ですが、ほんの少しでも憧れの背中になれていたら嬉しいです。高校の3年間は一瞬で終わります。特に、3年生に入ってからは大学受験や就職試験など、進路を決めるために忙しく、全ての時間が気づいたら終わっています。みなさんが来年、再来年、自分の卒業式を迎える時に後悔がないように、今何をすべきなのか、何が大事なのか、誰と今過ごすのか、ぜひ考えてみてください。

また、私は3年生になってから、大学受験で、苦しく、辛く、大変な思いを感じました。思っていたよりもずっとずっと上手く行きませんでした。数え切れないほど何度もどこかへ逃げたいと思ったし、今すぐやめたいと思ったし、不合格の表示を見た時は自分を否定されたような気持ちにもなりました。1年生の時からもっと勉強しとけば、もっと早く受験勉強に取り組んでいたら、AO講座を取らずに最初から一般受験をちゃんと考えていたら、と後悔や様々な思いが頭の中に浮かびました。しかし、必ず苦しい時間は終わります。また、一般受験は私に世界の広さと厳しさを教えてくれました。大学に進学を考えている人も、そうではない人も、自分の進路をゆっくりでいいので考えて、行動をしてみてください。


そして、ただ1つ言えるのは、結果として全ての経験が自分を支え、その先はなるようにしかなりません。日々の生活も、特別な1日も、昨日の後悔も、悲しみも、喜びも、楽しさも、全てが今日、今の私に繋がっています。勉強は特にやればやった分だけちゃんと自分に帰ってきます。この世にある数少ないローリスクハイリターンです。学ぶことはひょっとしたら、つまらないように感じるかもしれません。ですが、その学びはいつか自分を支えてくれます。過去を変えることはできませんが、未来はどうにでもできます。どうかあなたの夢見る未来を実現するために一歩踏み出してください。

先生方へ。3年間、本当にお世話になりました。私達は何度も先生に反論し、文句も言い、授業を止め、ご迷惑をおかけしました。しかし、行事では一緒に盛り上げてくれ、授業では私達に合わせて内容を考えてくださいました。私がやりたいと言ったことを止めずに、インターンや留学に行かせてくださった先生には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。

そして、保護者の皆様へ。この18年間、育ててくれてありがとうございます。父や母には、私の意思で決めたこの島への進学で、少し物足りない、寂しい日々を過ごさせてしまったかもしれません。ですが、悩んだ時も、受験の時も支えてくれてありがとう。やってみたいと言ったことを素直にやれせてくれて、ありがとう。まだまだ、きっと頼ることも、困らせることもたくさんあるかと思います。それでも、これから先、どんな時も後ろからそっと背中を押してもらえると嬉しいです。

地域の方々へ。授業でのインタビューや、普段からの挨拶、気配り、たくさんの暖かさをありがとうございました。この島には本当に様々な、素敵な、素晴らしい大人の方々がいました。多くのことをこの島から学びました。地域の方々に支えられて、大崎海星高校は成り立っています。これからも暖かい目で見守ってくださると嬉しいです。

私達はこれから、別々の所へと旅立っていきます。初めて島外で生活する人、就職で働き始める人、専門学校や大学に進学する人、4月からはそれぞれ新しい場所で生活を始めます。慣れないことや新しい人間関係に悩むことも多くあるかと思います。ただ、悩んだ時はいつでもこの大崎海星高校で共に過ごした3年間があります。環境が変化しても、この場所で過ごした思い出と、高校生活の尊さは変わりません。

最後になりましたが、この3年間で支えてくださった多くの方々に感謝を示すと共に、この大崎海星高校のさらなる発展と卒業生の未来を願い、答辞の言葉とさせていただきます。

広島県立大崎海星高等学校22期卒業生 細川真住

いただいたサポートは自分のまなびと大事にしている場所や人のために使わせていただきます。