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ゴスペラーズのアカペラは、他と次元が違う


突然ですが、ちょっと聞いてください。


先日、今日も楽しくアカペラ動画を視聴しようと思い、Youtubeでゴスペラーズ界隈を探索してたら、こんなコメントが↓



※意訳です
「一昔前のスタイルだなぁ」
「パーカスいないの?」
「ペンタトニックスの方が凄くない?」


おーん????

そして、僕は筆をとった。


こんにちは!!考える犬です!(震える拳)


先に言っておくが、僕はゴスペラーズを愛している。
そして、僕のゴス愛は並大抵ではない。



その辺は、以下のようなマガジンをまとめていることから察してほしい。全部で8記事。文字総数は驚異の3万文字オーバーである。


そんなゴスマニ(過激派)が、上記のコメントを見つけてしまった。
聞き捨てならねえよなぁ???


あのね、ゴスのアカペラはマジで凄いですよ。

マジで凄いですよ。(2回目)


先生、今日はそこら辺をじっくり解説します。
後悔しても遅いぞ…。


0.アカペラの強み


ゴスの話の前に、「アカペラ」のことをおさらいしたい。

「アカペラ」イメージ

アカペラ。声だけによる演奏。
そもそもアカペラは、制限の多い奏法である。


奏者こそ5~6人と多いものの、全員が声だけなので、パーカスを除き皆同じような音色になるし、それぞれ出せるのも単音のみ。そのため事前に編曲を共有しておくことが必須で、即興でコードを決定できないことから、セッションには向かない。


…ただ一方で、アカペラには大きな強みが2つあると思っていて、それが



①パフォーマンスを存分に「魅せる」こと
②音楽の良さを余すことなく「伝える」こと


である。


で、先に結論を言ってしまうと、

ゴスペラーズはこれらをギンギンに意識した上で、自由自在に使い分けてくるグループである。

かっこよ

順を追って解説したい。


1.アカペラで「魅せる」


まずアカペラで「魅せる」ことついて。
「エンタメとしてのアカペラ」とも言える。


ここで言いたいのは、アカペラってのはパフォーマンス特化の、ある種大道芸的な一面を持つってことである。

そもそも「声だけでこんな音楽になるの!?」って驚きは、ハモネプの頃からアカペラをここまで全国区に普及させた最大の要因だし、中でもボイパやビートボックスなんて、まさに「パフォーマンス」の最たるもの。


例えばだけど、それなりに上手いアカペラグループが駅前とか路上で演奏していたら、それだけで自然と人は集まるのではないか。これがギター弾き語りだと、そう簡単にはいかない。


それくらい、パフォーマンスとして映えまくる奏法なのである。それはYoutube界隈に、いかにアカペラ動画が多いかという点からも伺える。

お洒落な若者たちが楽しそうに歌っている。それだけで、なんと画に華があることか。

(我々がもう取り戻せない輝き)


もちろん我らがゴスペラーズのアニキも、この辺は重々承知の上。

そこにフォーカスした彼らの代表曲を挙げると「XvoiceZ feat. SARUKANI」、「VOXers」、「いろは」や「侍ゴスペラーズ」など。


これらの曲が始まれば、会場のテンションは一気に最高潮へ。
ステージでは5人が歌う、踊る、縦横無尽に暴れまわる。


黒ぽんが歌えば、リーダーはシャウトする。酒井さんはクールなビートを刻み、北山ターンに黄色い声が飛び交う。安岡さんは……終始汗ばんでいる。


どうよ、これ!!
なんか想像しただけで楽しくなってきたな!!!!?


…すみません。取り乱しました。


つまり言いたいのは、
アカペラってのはそれくらいめっっっちゃ華のある奏法だってことだ。


2.アカペラで「伝える」


次に②、アカペラで「伝える」ということについて。

先に言っておくが、ゴスのアカペラを語る上で最も重要なのがこの部分である。

感情のってる

考えてほしいのだけど、人間の声ってのは、そもそも感情の乗せやすい楽器じゃないですか。当たり前すぎて見落としがちだが、「5人分の声」を用いる奏法は、情報量としてこちらにリーチしてくるポテンシャルが、そもそも半端ないのである。


で、ゴスのライブをご覧になったことがある方は、ちょっと思い出してほしい…彼らのライブって、場面で①「魅せる」モードと、②「伝える」モードをめちゃくちゃ明確に分けてませんか??


これはアカペラのみに限定した話ではないけれど、①は開幕のアップナンバーで、そして②は終盤のバラードで色濃く感じられる。そして②「伝える」モードになったときの5人の破壊力といったら、もう…!


これまで彼らが生み出してきた宝物のような楽曲、「ひとり」、「新大阪」、「星屑の街」といったアカペラ曲が、「良質な音楽」としてズバズバこちらを貫いてくる。それはもう、抜き身の刃のように。


そのとき我々の顔といったら、きっと目の焦点は合わず、口はアホみたいに半開き、それでもなお、ステージの彼らから目をそらすことはできない。


よくよく考えれば、バラードを歌うときだって計り知れないボーカルスキルを駆使しているのに違いない。違いないのに、一度聞かせるモードに入った5人の前に、我々はもはやスキルのことを考える余裕など無い。5人が放つ「音楽」に、ただただ飲みこまれるのである。


…で、ここでちょっと考えてほしいのが、

この②のモードに入れるグループって、他にある…?
って話である。


そう、世にアカペラグループは星の数ほどあれど、アカペラを音楽性を表現するツールとして採用することは、実は難しい。

ゴスペラーズは、それを涼しい顔で当たり前のようにやっているから、やべーグループなのである。

次は、ここをもう少し深掘りしていきたい。


3.アカペラの呪縛

おさらいすると、アカペラの大きな2つの強みが、


①パフォーマンスを存分に「魅せる」こと と、
②音楽の良さを余すことなく「伝える」こと。


で、「世の中、①に強いアカペラグループは数多くあれど、②ができるグループって激レアなのでは???」ってのが、僕の見解である。


例えば、Youtubeのアカペラ動画をイメージしてほしいのだけど、これらの感想として、

「格好いい!」「歌うまい!」「すげースキル!!」
ってのが大半を占める中で、

「この曲、メロが良いなぁ」「歌詞が良いなぁ」
ってのはかなり少数派だろう。
そもそも彼らの演奏は大部分がカバー曲である。


ここから見える傾向は、

「アカペラとはその奏法の時点で、音楽そのものよりもパフォーマンスに注目されがちだということ」

「というかアカペラ奏者自身も、アカペラをパフォーマンスの手段として認識しがちで、自身の音楽性の表現ツールと考えていないということ」

である。


これが、アカペラの呪縛

アカペラは、それ自体「映え」すぎるばかりに、どんなに美しいメロディ、秀逸な歌詞を歌ったとしても、音楽そのものに目が向きにくい奏法なのである。…まぁそもそも、アカペラをやる人って自然と「スキル」や「パフォーマンス」に関心が高い人が多く、「創作」「ソングライティング」には全く無関心という人も多い。一部のアレンジャーとかがせいぜいである。


以上から、世のアカペラは①パフォーマンスを存分に「魅せる」こと を重視しがちで、②音楽性を余すことなく「伝える」こと に注目するのは、かなり少数というのが僕の見解。だって②を実施するためには、

「すげー良い曲ができた!」
  ↓
「色々考えたけど、この曲は楽器入れるよりもアカペラで演奏するのが一番良いんじゃない?」
  ↓
「よし!じゃあ一丁やってみるか!(編曲)」

という流れが必須である。
どうかしている。

こんな変態的な音楽活動をするグループなんて、日本には中々…


4.ゴスペラーズは別次元

いました。


改めて、ゴスペラーズというグループの特異性をわかってもらえますか??だって、

・5人中5人が作詞作曲するソングライター
・アレンジャー(編曲者)も5人
・当然、音楽性も5人分
・結果、世間に広く認知されているアカペラ曲多数

化け物か???


だって、かのレジェンドアカペラグループPentatonixだって、Youtubeで特に再生されているのは「Daft Punkメドレー」をはじめとするカバー動画である。オリジナルではない。

もちろん、これが悪いという意味は全くもって無い。というか、海外ではアカペラのパフォーマンス性を日本以上に肯定的に捉え、エンタメとして前面にプッシュする傾向が強い。Voca Peopleとか、DCapellaとかね。

こういった界隈は、僕も大好き。

大好きだけど…その中で「ゴスは地味」とか「ペンタの方がビートボックスあるし、上手い」とか言われると、「ちょっと待て」と。


違う、と。


彼らはその方向で戦っていない、と。


彼らが凄いのは、パフォーマンスとしてのアカペラだけなく、アカペラという手法を「自分たちの音楽性を届ける手段」として自由自在に用いることができる点である。


世界広しと言えど、このベクトルでアカペラに取り組み続けてきたグループなど、数える程しかいない


5.総括


…ということで、ここまで見てきたけれど、いかがでしょうか。

ゴスペラーズのアカペラに対する取り組みが、いかに特別で唯一無二かという部分が伝われば幸いです。


彼らはアカペラで「創作性」を発揮できる、激レアなグループなのです。

ヒゲ…


ちなみに…

個人的には、アカペラ界におけるパフォーマンス面、スキル面が飽和に達しつつある今、今後ブレイクスルーを果たすカギとなるのが、この「創作性」だと思っている。

たとえば「鱧人」のような、メンバー一人一人がボーカルやパーカスでソロをまわせるほどに創造性に溢れたグループは、やはり異彩を放つ。


仮にだけど、「桑田佳祐」、「桜井和寿」、「松任谷由実」のような、とんでもないメロディメーカーがアカペラ界に登場したら、一体どうなってしまうのか。考えただけで、オラわくわくすっぞ!!!


…今日はそんな話でした。


あ、最後に僕の思う
「ゴスペラーズ、至極のアカペラ曲リスト」
を置いておきます。

アカペラに焦点を当ててゴスを聞くのも、オツなもんですよ。

1.XvoiceZ feat. SARUKANI
2.VOXers
3.いろは
4.Tiger Rag
5.こういう曲調好き
6.Love me! Love me!
7.風が聴こえる
8.Promise -a capella-
9.ひとり
10.星屑の町
11.Asterism
12.NEVER STOP

本当アカペラって、最高だよね。


それでは!!


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