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#近代文学
テクストの「場」 尾崎翠の代表的作品群(1927〜1933)の場合
1、はじめに
尾崎翠は、時に「幻の作家」などと言われることがある。
それは、実際の作品数が少ないだけでなく、作家としての評価の中心となる作品のほぼ全てが、昭和2年(1927)~昭和8年(1933)の約七年間に発表されたものであり、あたかも文化とモダニズムの1920年代の終焉とともに筆を折ったかのような印象を与えるためである 。その印象が、「モダニズム女性文学の作家」 という、実際には時期的