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父の人生を変えた『一日』その58 ~英語~

その58 ~英語~
 本部長から呼び出しがかかった。偉いさんが集まっていた。
「ライオン、新入社員の英会話の上達の良い方法は無いか?」と言う。
私は即座に答えた。英語に興味持たせるには英語に馴染まさなければ駄目だと言った。そして絵の無いポルノの英語の本を読ませるのが一番得策と言った。上の人は目を剥いた。何、ポルノの本を読ませろだと?しかし事実は事実である。そしてたまたまアメリカ出張になり絵の無いポルノの本をしこたま買って来る命令が上司からあった。そして新入社員に読ませた。新入社員は一生懸命に読んでいた。あの時の感じ方は『〇〇〇』と一行で書いてあった。意味わかりますか?
 早稲田大学卒業だろうが慶応大学であろうが英文科を出た新入社員を外人が東京に来た時、食事や飲みに同行させたが「英会話が全く早くて分からない」と言うのが実情実態であった。英語で冗談が言える人などほとんどいないのも実態であった。ましてや「FUCKING ENGLISH」(言葉の悪い英語)等を話せる人はなかなかいないのである。
シアトルでも新入社員にはどんな時でもテレビやラジオをつけっぱなしにして英語に馴染めと教えた。若い人はあっという間に若者向きの英語を覚えてしますのである。英語に馴染んで英会話が完全に話せる様になると別の世界が出来てくるのである。英語で考え英語で話し英語で意思表示する。


~倅の解釈~
 私は6歳で渡米したので、英語ではまったく苦労しなかったが、駐在している方々、特にご家族、奥様は苦労されていた。仕事で大事なのはコミュニケーション。ちゃんとした教科書英語だけでは本位は伝わらない。ここを親父は徹底的に勉強したと感じる。記載してある通り、特に悪い言葉やスラングを徹底的に覚えていた。英語でジョークを言えるようになり、相手が笑ってくれれば一人前である。
 駐在で米国を訪れる家族は、まずは英語で苦労する。特に、子どもの年齢が高ければ高いほど。ただ、どうしても英語に馴染めない方々もいる。小学校では日本人のみならずアメリカは難民大国なので母国語を英語としていない子どものための特別教室に一日の半分は入れられる。ESLだ。English as a Secondary Language。ここを卒業するのがどれだけ早いかが結構駐在員の奥様の中では話題となる。
 通常は1年から2年かかるという。そこを私は3か月で卒業したと聞いている。さすが親父の遺伝子。英語への順応が早かったのである。
 今はなかなか英語を使う場面は少ないが、まだまだ英語で夢を見ることもある。腹が立った時英語が先に出るときもある。私にとって母国語は日本語と英語両方なのである。


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