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父の人生を変えた『一日』その67 ~トップ人事の決まり方~

その67 ~トップ人事の決まり方~
 トップ人事とはこういう風に行われるのかと思った。シアトル駐在時代㈱トーメンの偉いさんがオレゴン州ポートランド市にデルタ航空で到着するという。大江支店長と迎えにでて偉いさんを車に乗せた。そのままカナダまで私が運転することになった。運転時間は約5時間であった。そこで木材本部のトップ人事の話が始まった。
『おい、ライオンお前は車の中では「見ざる聞かざる言わざる」だぞ』と強烈に偉いさんは言った。
『分かりました。猿に成ります』と答えた。
恐ろしいくらいの人事の話であった。あの部長の能力はこうだああだ、あの課長は能力が無い、次の本部長はこの3人のなかで誰が良いとか聞いて冷や汗が流れてきた。しかし車のドライブペダルはしっかりと同じスピードを維持していた。恐ろしいくらいのトップ人事の話であったがこのように人事とは決まっていくのかとよく解った。人間が人間の人事を決める大変なことと思った。
 ただ聞いていてやはり上の方でよく人事管理が出来ているとも思えた。人をよく観察しているとも思った。人間が別の人間を考課する難しいことではあるが通らねばならない道でもある。そしてたまにあれ?と思う評価されている人間もいるのである。私などは考課されていることさえ忘れて毎日業務に専念していたが、今までの考課では最高の考課を頂いてきた。
ボーナスなどは同期入社でも課長時代は100万以上の差が開いていた。金が目的で商売推し進めてのではなく、ただ、ただ、ひたすら『本当の商売本物の商売』を追い求めていただけである。トップ人事大変な決断力英断力だと思った。


~倅の解釈~
 親父はこの話をいつも他人事のようにしていた。残念ながら親父はトーメンでは人事に携わる役職までは行けなかった。その前に水澤電機に入社してしまった。どこか、人事決定権のあるところまでトーメンにいたかったと遠まわしに言っているようであった。
 親父はとにかく、人が大好きであった。特に仕事で失敗して困っている人はとことん付き合った。失敗は成功のプロセスだと。失敗の積み重ねが成功だと。自分自身の失敗も良く語った。父が亡くなった後に全国を回り父の友好関係の深かった方々にご報告をさせて頂いたが、父にとって先輩には本当にかわいがってもらっていたことが痛いほどわかり。先輩方々は涙してくれた。父の後輩は同じく涙しながら、信じられないと共に悲しんでくれた。一番印象的なのが、父の同期の方々。
 「あのライオンが行ったか」と一言。そして、笑顔で親父の思い出話しをしてくれた。
 人事。人が人を評価することは私自身はあまり好きではないが、組織としては大事なこと。自信もしっかりともっともっと勉強しなくてはならない。

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