封建社会の処世術
日本社会というのはとかく上下関係がしっかりしているのを好む、奇抜で斬新な発想をする子より大人しくて素直な子をかわいがって育てる。歴史の教科書では日本は民主主義国家となりましたと言いながら封建社会の処世術を教える。なぜかと考えてみると大人達は教師も含めて日本社会の大半は実は封建社会だよという事が身に染みていて、そういう人間こそが世の中にとって有用とされる人間だよという事を教えようとしているからだろう。義務教育を真面目に受けて来た人は民主主義社会に暮らしていると思い込みながら、自ずと「封建社会の処世術」というのを身に着けている。いかにバレないように嘘をつくかとか、目上の人にかわいがってもらえるかとか、そういう知恵だ。したたかにいきろ、ずる賢くいきろそんなメッセージを暗に伝えているし、実際の行動自体の評価はともかくそういうあり方が評価される事も多い。そんな「封建社会の処世術」に僕らはいかに知恵を割いているのかとふっと思い至ったので書いてみる。
例えば、今日は学校(または行事や会社)に行きたくないから休む、これはほとんどの社会において全くもって許されない、立場毎に色んな本音を抱えつつそれは悪い事であり、それを実行するのは悪い奴とされる。「みんながそうしたら社会が回らないのだから、個人的な理由で行動するのはけしからん」これが一番の理由だろか。そういう訳で最低でも体調が悪い、はたまた家庭の事情がある等という理屈や嘘が必要になる。家庭等の自分が属する別の社会で理解があればよいが、どこにも理解がなければ当人の心が壊れるのは目に見えている。僕自身は別に「行きたくない」が心の体調不良だととらえてもよいのではないだろうかと考えている。時と場合によるけれど、実際は行きたくなった時に活動したほうが能率が上がるだろう。ともかく日本社会において個人というのはないがしろにされがちだ。
トップダウンで統率を取って動く事の良い点もあると思う。特にわかりきった目的や目標に向かって一緒に向かっていくときには特にいい動きだと思う。あれこれ騒いでいても、日本人は結構素直に外出を控えて清潔に暮らしている。これは従順な人が穏やかで平和な社会を作っているいい例だ。
しかし一方で目的や向かうべき先がよくわからない未知の脅威とか未知の時代を生き抜く知恵というのは、トップダウンの封建社会では限界があるというのはもうすでにわかりきっている。前時代的な仕組みで偏った意見を反映してもでも暮らしていけたのは、人口ボーナス、経済成長ボーナスが背景にあって誤りがいくらあっても目をつむれる豊かさを得る事ができたからだろう。
最近だとお肉券やお魚券がいい例だ、その界隈の人からの働きかけがあって忖度によって生まれた事が目に見えている。その背景には「封建社会の処世術」に長けた人間が政策を作っていて、その処世術から生まれる知恵は生活者目線(民主主義)に立ったものではないというのがよくわかる。自分周辺の社会での合意や理解を得る事が最優先なのである。生活者の目線で考えたとしてもやはりまずはお米券であるべきだ。それでも冗談っぽいけれど。
ともかく日本では投票率が低く、実際に生活する民と政策を決める政治家の発想が乖離しているというのもあるだろう。
国も先の事はよくわからない、企業も終身雇用なんてありえないそんな時代、ともかく僕らはどう生きたいか、僕らはどうありたいか、各々が考えて行動して、それを反映してくれる代弁者がいて、本来の間接民主制をうまく使わなくてはと感じる。国が悪いと言って特に考えなくとりあえず今の政治家を下したとしても、その外側に金と権力を集めた人が都合のいいルールや仕組みを作って、また小さなパイに豊かさを集める。しかもより巧妙にバレないように。そして考えなかった人は生きるためにそれに従うか否か、貧富の差はもっと広がっていくのも目に見えている。そっちの方が僕はよっぽど恐ろしいと思う。
「封建社会の処世術」から生まれる知恵ではきっと自分と周りのほんの少しだけが救われて、その外側はどうだっていいと、そうなってしまう。一方で「個の時代」だと言い張って自分だけは生き残れるように備えようとする。実はその動きはいま自分が否定している社会と同じことをやっていて、そこに正義はあるのだろうかと疑問を感じる。個人(民)が先立つ社会を目指すなら、もっとより多くの人の命を救うためにはどうしたらいいのか、もっとより多くの人に喜んでもらうためにはどうしたらいいのか、そういうマインドで知恵に回していけたらいい、それが本当に評価されればいい。今すぐ何か行動に移せるわけでは無いけれど、少なくとも自分はそういう態度で生きていたいと思う。
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