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【マスターデュエル WCS2024予選 銅アイコン】《次元の裂け目》入り純ピュアリィについて


1.はじめに

こんにちは、なごにゃんと申します。
今回は、私が今回のWCS2024予選で使用した《次元の裂け目》採用型の【純ピュアリィ】について紹介しようと思います。

勝率58%程度
変な名前にしたままだった……

銅ボーダーで撤退したので誇れるような成績ではありませんが、この炎環境であえて【純ピュアリィ】を選択して一定の成果を示せたことに満足しております。

……と思ったら、どうやら【ピュアリィ】系統の入賞率は【炎王】【R-ACE】に次いで3位だったらしく、あえなく《ピュアリィ・リリィ》の追加規制が決定しました。「逆張りデッキで頑張りました!」的な下書きを用意していたのですが、恥ずかしくなって全部消しています。泣きそうです。

かえして

より優れた成績を残した方が何人もいる中で記事を出すのもどうなのか……? と思いましたが、《次元の裂け目》採用型のTOP100入賞は見られなかったこともあり、ギリギリ個性を主張できると自らに言い聞かせて筆を執る次第です。

多くは語りませんが、現在の【純ピュアリィ】の事情と環境における立ち位置については触れたうえで、《次元の裂け目》の役割、私がこのデッキを選ぶに至った考え、《リリィ》規制に対しての考えについて紹介したいと思います。

2.2024年6月現在の【純ピュアリィ】について

現在の【純ピュアリィ】は、《デリシャスメモリー》規制前とは別デッキになっています。規制前が「無敵の《エクスピュアリィ・ノアール》を成立させて相手を詰ませるデッキ」だったのに対し、現在の《エクスピュアリィ・ノアール》はあくまで返しのターンを凌ぐ手段にすぎず、本質は《スリーピィメモリー》による大量ドローにあります。

ふてぶてしい

この革命をもたらしたのが《エピュアリィ・ノアール》で、これに適当なメモリーカードを食べさせて《リィープ》を伏せるだけで2ドロー+4素材《ノアール》が確定します。《デリシャス》から6素材《ノアール》を目指すよりも要求値が低く、無理にデッキの比率を魔法罠多めにする必要もなくなったので、部分的には全盛期以上に強化されていると言えます。

わかりやすいところで、初回の《マイフレンド》では《スリーピィメモリー》3枚を見せるのが今の【純ピュアリィ】です。《デリシャス》1枚+《スリーピィ》2枚を見せて《デリシャス》が手に入れば上振れの《プランプ》ルートに突入、とお考えの方もいるかと思いますが、そうせずに《スリーピィ》からの《ノアール》ルート1本に絞ってしまったほうが安定すると言い切れます。

乱暴にまとめると、規制前の圧倒的なマウント性能が失われた代わりに、安定したリソース源を手にして正統派のミッドレンジデッキに生まれ変わったのが現在の【純ピュアリィ】と言えるでしょう。

そのデッキパワーは、この炎環境においてもまったく見劣りしません。環境における立ち位置については、以下のように強み・弱みに分けて特筆すべき点があります。

強み:《次元の裂け目》を搭載できる(諸説あり)

上位勢は積んでいなかったが……

今期の《次元の裂け目》は、【ティアラメンツ】環境ほどではないにせよ環境を定義し得る1枚でした。最大母数である炎属性系統のギミックに刺さり、Tier3以下にも効くことが多く、開くだけでイージーウィンが狙えることがあります。
【純ピュアリィ】の墓地利用は魔法カード・罠カード・エクシーズ素材経由のモンスターなので《次元の裂け目》の影響を全く受けず、さらに苦手な《エフェクト・ヴェーラー》ケアも兼ねてくれることで相性がいいです。
また詳しくは後述しますが、腐っても《メモリー》のコストに充てればよいので無駄が出にくく、このカードに枠を割くことによるハンドバリューの低下が起きにくいのは大きな利点です。

一方で、

  • 相性がいいのは《裂け目》のみで、《アトラクター》《マクロコスモス》《ネクロバレー》は搭載できないので、墓地メタの総数は心許ない。

  • 自分の《増殖するG》《エフェクト・ヴェーラー》も使えなくなるので、《スリーピィメモリー》による大量ドローとかみ合わせが悪い。

と、手放しには評価できない点もあります。実際、このカードとのかみ合わせを考慮して《ヴェーラー》を《しぐれ》に変えるなど、少なからず構築を歪ませているのは否定できません。
1度も抜くことなく銅ボーダーまで走り切りましたが、総合的にはこの枠を追加の手札誘発にするのが正解だったかもしれず、諸説あるところです。

弱み:《エフェクト・ヴェーラー》《無限泡影》に弱い

《スネークアイ・エクセル》が支配するこの環境では、《ヴェーラー》《泡影》をフル投入している構築も多いです。それらは《ピュアリィ・リリィ》にも深く刺さります。「初動はあるけど《リリィ》に《ヴェーラー》《泡影》をもらったらこの世の終わり」みたいな初手が珍しくありません。

【ゴーストリックピュアリィ】なら入る

有名な話ですが、【純ピュアリィ】に《墓穴の指名者》は入りません。
元から《増殖するG》を含むほぼすべての誘発に耐性があり、明確に痛いのは《ヴェーラー》《泡影》のみですが、その片方を弾けない時点で役割が希薄であるためです。《抹殺の指名者》はありですが、そちらにも他のデッキほどのバリューは見出せません。

あまり好きではなかったが……

では《ヴェーラー》《泡影》対策はどうするのかというと、月並みですが《ストリート》の多投で対抗します。「通常召喚した《リリィ》を守れないこと」「単体で機能しないこと」からあまり好きではなく、WCS直前までは1枚刺しに留めていたのですが、

  • 他に《リリィ》を《ヴェーラー》《泡影》から守るのに適したカードがないこと

  • 《ピュアリィ》のヒット率をやや上げられること

  • 《スリーピィメモリー》を仕込むことで遅効性の2ドローを行い、リソースゲームに貢献できること

を評価し、考えを改め3枚投入に変更しました。
《リリィ》を素引きしている場合でもできるだけ《メモリー》経由で出してこのカードによる耐性付与を行い、《ヴェーラー》《泡影》を執拗なまでにケアして展開を狙うことにしています。

3.構築 

(調整の過程で、ストリートと才の枚数がよく変動していた)

ピュアリィカードについて

  • 《ピュアリィ》2枚

  • 《ピュアリィ・リリィ》3枚

  • 《ピュアリィ・デリシャスメモリー》1枚

  • 《ピュアリィ・ハッピーメモリー》3枚

  • 《ピュアリィ・プリティメモリー》3枚

  • 《ピュアリィ・スリーピィメモリー》3枚

  • 《ピュアリィ・マイフレンド》3枚

  • 《ピュアリィ・ストレイ・ストリート》3枚

  • 《ピュアリィープ!?》1枚

まず、本体2種・メモリー4種・《マイフレンド》については疑いの余地なくフル投入必須です。
これを減らしている構築を見たことがなく、減らす理由も思いつきませんので語る必要はないかと思います。
意見が分かれるのは《ストリート》と《リィープ》の枚数についてで、《ストリート》3枚の理由は先述しましたが、《リィープ》を1枚に留めているのは比較的珍しいのではないでしょうか。

ワープ進化

このカードには初動の《ノアール》成立とリソース回収の2つの役割があり、そのどちらも重要であるため、2枚以上の採用が多い印象です。しかし、

  • どちらの効果もデュエル中1回使えれば十分であること。

  • 《エピュアリィ・ノアール》でサーチできるため、素引きする必要がないこと。

の2点から、今回は枚数を絞って1枚採用としています。
もっとも1枚採用だと、素引きしてしまった場合に《メモリー》のコストに充てられずやや窮屈ではあったので、多くの例に倣って増やすのはアリです。

自由枠(≒手札誘発枠)について

【純ピュアリィ】においては、

  • 自由枠が元から豊富であること。

  • 《スリーピィメモリー》により相手スタンバイフェイズにドローするため、そのターン中に妨害換算できる手札誘発が有益であること。

の2点から、大量の手札誘発が生命線となります。
しかし今回は《次元の裂け目》との兼ね合いもあって枚数が控えめで、《PSYフレームギア・γ》のような《スリーピィメモリー》のタイミングで引いても意味がないカードまで搭載されています。

  • 《灰流うらら》3枚

  • 《増殖するG》3枚

  • 《無限泡影》3枚

これらは説明不要として、他は解説を加えるべきでしょう。

  • 《PSYフレームギア・γ》2枚+《PSYフレーム・ドライバー》1枚

謎ロイヤル

今期は多く見られたカードでしたが、【ピュアリィ】への採用は珍しかったのではないでしょうか。一見、《メモリー》への《灰流うらら》《増殖するG》を弾くためのカードに見えますが、それらには元から耐性があるので恩恵は薄く、単純に「後手でもっともパワーのある手札誘発」であることを評価して採用しています。
今期のデッキはいずれも多角的な先行展開ルートを備えており、まともに止めるには2枚以上の誘発の重ね引きが要求されますが、《γ》は1枚でストッパーを担ってくれる可能性があります。
腐ったり《ドライバー》を引き込んだりしても《メモリー》で捨てればいいので、あまり悩むことなく強化版《幽鬼うさぎ》のような感覚で採用することができました。

一方で、先述した通り、せっかくの手札誘発なのに《スリーピィメモリー》で引いても役に立たないのは泣き所です。《次元の裂け目》不採用型であれば、《幽鬼うさぎ》《屋敷わらし》といった手札誘発を厚く積むプランの方が合理的だとは思います。

  • 《朔夜しぐれ》2枚

かわいい

《次元の裂け目》下では《エフェクト・ヴェーラー》が使えないので、その代わりです。細かな差異はあるのですが、使用感としては劣化《ヴェーラー》と言い切ってよく、多くを期待してはいけません。

《裂け目》と重なると腐ることを考慮しても《ヴェーラー》の方がいいのでは? と何回か感じましたが、なまじっかデッキを掘るスピードが速いだけに重なってしまうシチュエーションが相当あり、それが原因で落とした試合もありました。《裂け目》下でプレイアブルな誘発を減らしすぎると間接的に《スリーピィ》が弱くなってしまうこともあり、泣く泣くこの子に来てもらっています。

……消極的な採用理由を書き出していたら、イラストの彼女が涙を浮かべていることに気づいて罪悪感が沸き上がってきました。なかないで。

  • 《次元の裂け目》3枚

採用は正解だったのか?

こうして整理してみると、「【ピュアリィ】そのものとはかみ合うが、【ピュアリィ】と相性のいいカードとは仲が悪いカード」な気がしています。
要は友達の友達が苦手なタイプです。自分かな?

ただ、このデッキを握った理由が「《次元の裂け目》を使えるデッキの中でいちばん強そうだったから」だったので、最後の最後まで抜くという発想には至りませんでした。振り返ってみると「抜いたほうが構築の自由度は上がったかな」という印象ではありますが、このカードのおかげでイージーウィンできた試合も多くあるので、決して間違った選択だったとは思っていません。

  • 《三戦の才》1枚

ハンデスを選択できると気持ちいい

最後まであまりしっくり来なかった枠です。強力なカードではあるのですが、特定の対面を意識しているわけではない「丸い」選択であり、環境を読んで他のメタカードや捲り札に席を譲ってもよかったかと感じています。

ちなみに《ストリート》1枚採用の頃は《才》を3枚採用していました。これは結構しっくり来ていたのですが、先述した通り《リリィ》を死ぬ気で《ヴェーラー》《泡影》から守らないと話にならなかったため現在の構築になった経緯があり、その際にこのカードは不自然に取り残されてしまった感があります。

エクストラデッキについて

8シンクロはアクセル(→バロネス)でも〇

あまり特筆すべき点はありませんが、ランク2ピュアリィの枚数比率と《LLーアンサンブルー・ロビン》については触れておきましょう。

  • 《エピュアリィ・ビューティ》2枚

  • 《エピュアリィ・ハピネス》2枚

  • 《エピュアリィ・プランプ》2枚

  • 《エピュアリィ・ノアール》1枚

《ノアール》以外が2枚ずつ、という構成になっています。このうち《ビューティ》に関してはシンプルに2回使うシチュエーションが多いからなのですが、《ハピネス》《プランプ》については《クシャトリラ・ユニコーン》対策も兼ねての増量です。

いつまで出張するの……?

なぜもっとも大事そうな《エピュアリィ・ノアール》が1枚なのか? ですが、別にURポイントをケチっているわけではなく、《ユニコーン》に抜かれ得るシチュエーション=後手ではそもそも《エピュアリィ・ノアール》の出番がないためです。相手がこれをキーカードと誤認して抜いてくれるなら万々歳で、より大事な《ハピネス》や《アーゼウス》が守られる格好になります。

  • 《LLーアンサンブルー・ロビン》1枚

演出が美しい

初期【ピュアリィ】ではそこそこ見たカードですが、最近ではすっかり採用が稀になったカードです。《ノアール》の横に添えるには役割がかぶっており、過剰妨害と判断されやすいのが理由でしょう。

しかし、《ノアール》を4素材に留めることが多いこのデッキでは採用価値があり、上振れてランク1を追加できそうな時はできるだけこのカードを目指すようにします。実際に、これのおかげでギリギリ妨害数が足りて拾えた試合もあったので、決してバカにはできないと思います。

4.プレイング・小ネタ

ちょっとした気づきや構築・プレイングのコツなど、小ネタを雑多に書き殴っています。

《メモリー》のコストに対しての考え方

【ピュアリィ】は、どんな型であっても《メモリー》カードを10枚フル採用し、1ターンに最低2回はプレイすることになるため、手札コスト(※厳密にはコストではない)をどう捻出するかが課題となります。《シャドール・ビースト》《暗黒界の狩人 ブラウ》といった「捨てると得するカード」を充てるのがわかりやすい解決策となりますが、「腐ったカードを捨てる手段」と割り切り、腐りやすいが強いメタカードや捲り札を大量に積んでもよいと考えることもできます。

極端な例ですが、このような考えの下では《原子生命態ニビル》《三戦の才》《拮抗勝負》の3種9枚フル投入すら許容されます。なぜなら、腐ったりかぶったりしても《メモリー》で捨てればいいだけだからです。

実際に、この2種を6枚採用していた時期はあった

どんなカードも、《メモリー》で捨てられてしまえば等しく1枚のカードでしかありません。プレイアブルな《灰流うらら》《無限泡影》を泣く泣く捨てても、腐った《三戦の才》《拮抗勝負》をサクっと充てても、《メモリー》の効果は何ら変わりません。

そう考えると、元から多い自由枠にピーキーなカードや腐りやすいメタカードを大量に詰めることができ、環境の変化に対応しやすいのが【純ピュアリィ】の強みと考えています。今回はその特性を利用して《γ》や《裂け目》を強気に積んでいる、という格好です。

《ストリート》→《裂け目》の順で使おう

まずはこれを置け!

これは自らへの戒めなのですが、《次元の裂け目》《ピュアリィ・ストレイ・ストリート》《メモリー》を重ねて持っているときは、絶対に《ストリート》→《裂け目》の順番でプレイしましょう。

というのも、相手が《増殖するG》を持っていた場合、間違いなく《裂け目》にチェーンする形で撃たれます。【ピュアリィ】側はそれにチェーンして《メモリー》を撃つことでドロー枚数を押さえることが定石ですが、ここで《ストリート》を先置きしていなかった場合、防げたはずの《無限泡影》が《リリィ》に直撃してそのまま試合を落としかねません。

考えてみれば当たり前なのですが、同じプレミで3試合ほど落としました。悲しすぎるので皆さまは同じ轍を踏まぬようご注意ください。

《リリィ》準制限の影響

実はなんとかなる?

実は、冷静に考えると致命傷というわけでもなく、《ふわんだりぃず×えんぺん》制限のようなメッセージ性の強い改訂だと考えています。
というのも、

  • 元から初動が極めて豊富であり、《リリィ》が1枚減ったところでほとんど初動率が変わらないこと。

  • そもそも環境的に《リリィ》の通常召喚が危うく、《ストリート》を張って《メモリー》から呼ぶのが望ましいこと。

の2点が主な理由として挙げられ、リソース面が苦しくなることは否定できませんがなんとかやりくりできる部類です。
ただ、今のように《リィープ》を1枚に絞るのは厳しくなるので、単純に《リリィ》が抜けた枠に《リィープ》を増量して様子を見ようかと思っております。

だいぶデッキが瘦せてしまいましたが、《スリーピィ》が減らされるまでは、【ピュアリィ】はまだまだやれます。

5.おわりに

いかがでしたでしょうか。
より優れた結果を残した方が何人もいるデッキタイプなので資料的価値は薄いかと思いますが、私自身の思考の整理をしつつ《次元の裂け目》の是非について再考できたことに満足しております。こう考えると、《裂け目》の採用は間違っていたとまでは言えませんが、勝ち切った人が採用していなかったのはよくわかりますね……。

来期から《リリィ》は減りますが、【純ピュアリィ】はまだまだ現役です。興味を持った方はぜひ触ってみたいただけますと幸いです。

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