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姫路獨協大学、姫路市の責任

※図版はひめじ総合戦略から抜粋。

姫路獨協大学が運営が厳しい現状を踏まえて公立学校法人化を求めたことに、姫路市の審議会はこう答えた。

1、自主的な運営改善に向けた取組が十分であるとは考え難い。
2、市が大学運営に関するノウハウを有しない。
3、近隣私立大学への影響がある。
4、校舎等の老朽化対策に伴う多額の経費負担がある。
そして、あくまで姫路市ではなく姫路獨協大学側が自主的な再建を基本に、他の学校法人への事業譲渡も選択肢として考えるべきである。
5、厳しい運営状況は獨協学園が主体となり、叡智を集め検討すべき内容である。
6、姫路市は、公私協力方式で開学した大学であることを再認識し、ステークホルダー(利害関係者)への説明責任を果たす。
7、魅力ある大学として、再興・発展されることを期待する。

まあ、姫路獨協大学ないし獨協学園が全てどうにかしろと。
姫路市には説明責任しかないと切り捨てた。
これが公私協力方式で、市が経営陣(副市長)を理事として大学に送り込んで経営に携わってきた自治体の見解として許されるのだろうか。
そもそも姫路市にはノウハウが無いなどと言いきってしまって、それが大学を切り捨てる正当な言い訳になるのか。
姫路獨協大学は、獨協大学本校が掲げるドイツ教養主義とはいささか異なる、いわば地方創生を視野に入れた実学思考をもって常に大学の改革に邁進してきたように思える。
それは本審議会が"姫路獨協大学は、西播磨 4市 21 町 84村の総意の元、全国初の「公私協力方式」により開学し、当初は外国語学部と法学部の 2 学部を、平成元年度には経済情報学部を設置し、文系の大学として入学定員及び学生数を増加させたが、志願者及び学生数の減少を受けて、医療保健学部、薬学部及び看護学部を順次開設するとともに、文系学部の定員削減や組織改編に取り組み、医療系大学としての性格を強化促進していった。"と語るように、大学側はおそらくは姫路市と十分な相談の元で、また大学の理事たる副市長の参画のもとでこれらの積極的な改革を進めてきたものと思う。
そうでありながら、姫路市が"大学が再興•発展することを期待する"と、人ごとのような文言を取りまとめるということは、もはや姫路市は大学側に"協力"をする気は無いと受け止められる。
先の同大学の卒業式において、出席した市長が大学と在校生を愚弄するような発言をしたことからも大学と市の間にはきな臭さが残る。また、市長が医師であることから、獨協学園の高度な医療資源を、地元の医師会がいぶかるものなのではないかと勘繰ってしまう。
学生集めに苦労をしているのは、何も姫路獨協大学だけではなくて、姫路市内のほぼ全ての大学が志願者を減らし苦戦していること(※資料参照)を考えると、コトは一つの大学の問題ではなくて、そもそも姫路市は若者の市への定着を図る地方創生の取り組みを今まで真面目に行ってきたのかと考えてしまう。
大学を作るのは公私協力方式で良いが、若者の就業先を確保して学生•若者のマーケットの維持拡大を図ることは間違いなく姫路市の役割であろうと思うのだ。
そして、姫路市はもっと獨協学園の歴史や文化の懐に信頼をもって飛び込むべきだと本当に思う。
獨協学園の紀元を辿れば、それは姫路市にも程近い萩の松下村塾だ。
こういった学園の沿革や現状の高度な高等教育の機能を、姫路市は我がものとして欲しい。

■地元就職促進に関する調査研究報告書 2017 年 3 月 姫路市(抜粋)

※姫路獨協大学は、学生の地元における就業意識の醸成に寄与していることが伺える。

姫路市から兵庫県外に転出した 6,970 人のなかで、最も多い年齢層は、1,310 人の 20~24 歳であり、続いて、1,276 人の 25~29 歳である。県内に転出した 5,840 人の なかで、最も多い年齢層は、1,153 人の 25~29 歳、続いて 862 人の 30~34 歳、そして、 819 人の 20~24 歳である。転出先が県外・県内にかかわらず、転出者の主な構成員は若年 層と判明した。

神戸市と比較すると、2016 年の神戸市の出生率は 7.89‰で あり、同じく 2016 年の姫路市の 8.69‰よりも低い。しかし、神戸市は転入者が多いことか ら、直近 15 年の社会増減数をみても、2012 年と 2014 年以外は転入超過となっている。転 出超過だった両年といえども、その数はそれぞれ、373 人(2012 年)と 142 人(2014 年) でしかなく、姫路市の人口流出の現状が深刻であることがわかる。

出生率が低くないにもかかわらず、人口減少が加速化しているという事実は、イメージとは裏腹に、姫路市に住み続けることをやめて転出する人が多くなりつつあるということ を示している。

「将来やりたい仕事がある」という傾向が強い姫獨大に注目すると、特に、理系の大学 生は 67%が「あてはまる」と回答し、「ややあてはまる」の 23%と合わせると 90%が明確 な将来設計を描いていることがわかる。

将来働くことになったときの就職先(地域)については、県大では、37%の「近隣県(近畿圏内)」がトップで、29%の「勤務地にこだわらない」 が続いている。
姫獨大では、「地元(出身県)」が 31%とトップで、23%の「勤務地にこだわらない」が 続く。ただし、ほぼ同数の 20%が、「実家から通えるところ」を希望している特徴がある。 理系は「近隣県(近畿圏内)」を希望する者の割合が高いのに対して、文系は「地元(出身 県)」を希望する者が多い。

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