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フィールドイノベーション

さいたま市南区では、私が南区に所属していた当時、富士通の御協力により、

業務改善のためにフィールドイノベーション活動を取り入れた。

なんで、フィールドイノベーションを実施したのか、今でも多くの方に訊かれる。

そこで、当時の状況、実施に至った経緯について振り返ってみたいと思う。

フィールドイノベーションを実施した理由としては、

南区は都心に近く交通の利便性が高いため、さいたま市の10区中で人口が最も多く、

さらに人口は増加傾向にあることに加えて、他区民を含めて来庁者数が非常に多いためである。

その中でも、支援課(児童福祉・障害福祉所管)は、若い世代の転入者が多いため、

残業時間の長時間化が発生していた。

一番の導入理由としては、この残業時間の多さが、市民サービスの質の低下に繋がる可能性を危惧したからだ。

長時間労働の原因は、課員の努力でなされたフィールドイノベーション活動において、例えば下記のように顕在化してきた。

①対応すべき業務の種類が多い。

②職員ごとにスキルレベルや業務量にばらつきがあり、平準化がされていない。

③個々の職員が自分の所掌する担当以外の業務についても窓口対応しなければならず、対応に時間がかかる。

③市民への説明(特に保育所入所関連)は、丁寧に説明すると1時間はかかる。

⑤子育てに関する問い合わせ電話は件数も多く、また、それぞれ丁寧な対応が必要。

また、職員がこのような課題の洗い出し等を行うフィールドイノベーション活動を進めていくに連れ、

改善活動の重要性に係る認識が職員の個々に、そして組織に芽生えてきた。

もちろん業務自体が改善されることがフィールドイノベーション活動の主たる目的ではあるが、

実は、この改善活動への意識の向上と、そのためにスキル習得こそ、

その後、次から次へと改善が未来に渡って連なるために必要な、このフィールドイノベーションの本質的な成果なのである。

その意識とスキルの向上とは、

①行動力・・・アジェンダに沿って施策を実行できる力。

②管理力・・・施策の進捗管理、リスク管理、モニタリング管理が何であるかを知り、それを実行できる力。

③企画力・・・活動の評価(KPI/KGI)を行い、次の改善計画が立てられるようになるためのPDCA推進力。

④推進力・・・他組織へ横断的な影響力を与えることができる指導力をもって、改善を継続・拡大する力。

具体的な課題改善ももちろんターゲットなのだが、中長期に組織の存続を考えるならば、

これら職員の意識とスキルの向上こそ、実は管理職にとって目から手が出るほど欲しい成果なのだ。

このようにとても成果が大きなフィールドイノベーション活動。

コロナ禍で様々な状況が変わった中で、この取組をどう継続的に取り込んでいくのか。

いやコロナ禍だからこそ、必要性が高まったフィールドイノベーションにどう取り組んでいくのか。

そこには、時間を意識した効率性を意識したプロセスの改善や、経済性の部分で、

導入理由を十分説明しえるような、更なる合理性を確保するための“知恵”が、

クライアントたる役所と、インストラクターたる富士通の双方に求められるているのだろうと思う。




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