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スポーツイベントが定住を呼び起こす?

住民を増やしたい。
そういった意図が地方創生の大きな目標の一つなんだろうが、住民を増やすことにスポーツイベントはいかほどの貢献をするのだろうか。
そのようなスポーツイベントが行われるからその町に住もうと思うのか。
おそらく、スポーツイベントへの来客としては、そのスポーツに興味がある人がやってくるので、彼らの頭の中では、そのスポーツとその町がイメージとして特に結びついているような状況にはないだろう。
別にスポーツイベントの実施会場がどこであろうと彼らはそこに行くだろう。
自分が好きなスポーツやチームのことで頭が一杯になってワクワク感いっぱいで高揚している時に、その町に住むだなんだなんてことなど考えもしないだろう。
興味を持たない人へ、転入・定住のプロモーションを図っても、それは彼らの胸に響くものではないだろう。
スポーツイベントのための来訪が、その町の認知度や愛着度の向上に寄与するかといえば、それは淡い期待に過ぎなくて、そもそもそのイベントが転入増加や定住促進に寄与しているなんて言うならば、それは言い過ぎだろう。
スポーツイベントへの来訪者はやっぱり一過性のものだ。
来訪した折のその町における食べ物や土産等の消費については多少期待できるかもしれないが。
なぜその地で住む選択をしたのかとアンケートで聞いたところで、特定のスポーツイベントがあるからと答える人は居ないだろうし、そもそもスポーツイベントで町を選ぶならば、多数のスポーツイベントが行われる、東京圏なら東京都、中部圏なら名古屋市、関西圏なら大阪市などを選択せざるを得ないだろう。
じゃあ、浦和レッズはどうなんだという話もあるが、あれはスポーツイベントが人を呼んでいるのではなく、浦和レッズを含んだ、浦和が昔からしっかりと育ててきたサッカー文化が人を呼び、もしかすると人の定着に多少の貢献をしているかもしれないとは思ったりする。
しかしながら、Jリーグの観戦者調査によると、ホームクラブ応援者の内、地元のさいたま市に居住している人の割合は、26.4%(2019年)と少ない。しかも、2010年のさいたま市の居住者は32.5%いたので、9年間で6.1ポイントも下げている。
この数字を見ると、スポーツクラブ、そしてそのフランチャイズであることがその町への人の転入や定住を促進しているとはとても言えないようだ。
令和3年度のさいたま市民意識調査結果によると、居住地として選んだ理由として一番多いのは、住宅の価格や家賃が適切だった25.3%、以下は職場や学校に近かった19.2%、交通の便が良い18.3%、買い物に便利18.3%、家族や親せきがいた15.8%、東京都心に近い14.3%となり、プロスポーツチームを応援しやすいを選んだ人は1.0%に過ぎない。
年間を通して、地域の文化に深く根付いた、地域の子供たちへの普及啓発事業にも熱心な浦和レッズとその足元でさえこうなのだから、あまり地域の文化と縁が無いような、一年間に1、2回だけ開催されるようなスポーツイベントが持つ定住に向けた求心力は、やっぱり微々たるものだろうなと思う。

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