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広報の効果測定〈再掲〉

広報の効果測定について
先週の金曜は宣伝会議主催の「広報効果測定1日セミナー」に参加しました。まる1日かけて、ココノッツの君島邦雄氏、日本ヒューレット・パッカードの本田光広氏、ファンケルの中村太郎氏の3氏から、みっちり講義を受けました。

このテーマ、広報関係者なら誰もが悩むポイント。僕もその一人です。広報「活動」そのものの目標設定と評価、そして、活動が企業にもたらす「結果」からみた広報活動の評価。

もっともベーシックな定量的効果測定は、掲載記事や放映されたテレビ番組の「広告換算」です。掲載スペースや放映時間から、同じ大きさ・長さの広告をその媒体・番組に出稿した場合、媒体料金(広告制作費は含まない)はいくらになるか、という指標です。

ほとんどのPR会社や企業広報で、これを実施しているはずです。

ただ、これは「メディアに載った成果」に過ぎず、たとえばその掲載のおかげで商品がどれだけ売れたとか、企業イメージが向上したとか、株価が上昇した、といった「企業メリット」との関連で、広報活動やその結果としてのメディア露出(パブリシティ)を評価するものではないわけです。

では、どんな方法があるのか? 心のどこかでそれを期待して参加したのですが、結論から言うと、目の覚めるようなナイスアイデアには出会えませんでした。むしろ、定量的評価の手段はこの広告換算しかない、という現実を再認識しました。

君島さんの説明はシンプルでした。

なぜ広報の効果測定は難しいのか??

①対照群を置いての比較が困難 =広報「した」群と「しなかった」群を対象に購買行動などを比較する手法がとれない。たとえばTVスポットCMを特定エリアに流す/流さないといった、確実な条件設定ができない。

②効果測定のコストが広報の予算を上回ってしまう =たとえば新商品の周知に5億円かける場合、CMや広告、マーケ調査やSPなどで4億円以上が消え、広報には3000万円くらいしか回ってこない。調査にお金を使うくらいならもっと活動したほうがいい、となる。だから、広告では行っている各種の調査が広報では実施されず、定量的評価⇒科学的分析とそれをもとにした対策立案がますますなされない。

まったくそのとおりです。本田さん、中村さんのお話を伺っても、やはり定量的な評価指標は広告換算しかないようなのです。換算の手法は、掲載記事のポジティブ/ネガティブの度合いで係数をかけたり、競合他社との比較を取り入れたり、いろいろあります。

また、Share Of Voiceといって、たとえば「パソコン」をテーマとした報道の中にどれだけ自社(製品)が取り上げられているか、をライバルとの比較で計測する方法もあるそうです。

しかし、どなたのお話でも結局、①広告換算あるいは報道分析以外に定量的な評価基準はない ②広報活動が企業にもたらしたメリット(デメリット)を測る尺度は存在しないか、きわめて定性的あるいは曖昧である――の2点が共通していました。

広報の成果は、営業の売上のように明確に数値化・可視化できるのか?

僕はNOだと考えています。また、それでよいのだ、と思っています。

このテーマはあらためて。

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