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音の魔術師の申し子、final E1000

皆さんは秋のヘッドホン祭2018に参加されましたでしょうか。私の今回の祭のターゲットはやっぱりfinalです。DAPの試聴もしたくて、iBasso Audio、FiiO、HiByを見て回ろうという感じでしたが、iBasso DX120を購入してしまったのはまた別のお話です。

さて、今回のメインの話はE1000です。ヘッドホン祭ではいの一番にfinalブースに突撃して聴いてきました。その時の第一印象はなんと素直で聴きやすいのかと驚き、値段を聞いて更に驚きました。そして、finalの新製品発表会でE1000のモニターキャンペーンに当選しましたので、その実力、魅力をお伝えしていきたいと思います。

まずはおさらい

final Eシリーズは2017年5月にE2000とE3000が発売され、2018年5月にE4000、E5000とそのシリーズを拡大し、2018年11月にはシリーズ累計販売台数が16万台を超した大ヒットモデルなのです。

Eシリーズはfinalのハイエンド平面磁界ヘッドホンD8000(お値段38万円だけど、ダイレクトショップで人気4位にもなるこれまた人気のヘッドホンなのです)の開発で得たノウハウを投入する事で低価格でも高音質を達成したのが人気の秘訣なのです。

そんなEシリーズに新しい低価格モデルとしてE1000が2018年11月末に加わることになります。

E1000が産まれた経緯

finalは低価格モデルとしてE2000、E3000を発売しました。しかしイベントやSNS等で学生さんから『finalのイヤホンを友達に勧めたら高価すぎると言われてしまった』という声が届きます。中高生が買うには4000円や5000円は高額すぎるのです。そんな思いに応えるため、そして良い音を知るための基準になって欲しいとE1000を開発する事にしたのです。
(そこ、沼に引きずり込むとかいわない!)

我々大人達、と言いますか、ポータブルオーディオ界隈の価値観は世間一般の感覚とはズレているのは薄々感じられている方もいるでしょう。メーカーの方だってそうだったのです。

思い出してください。500円玉を握りしめてミニ四駆を、ガンプラを、漫画を買いに行ったあの日を!学生だけでなく、一般的にはイヤホンに5000円とか出さないんですよ!ほら、そこの貴方!目を背けないで!

スマホに付属のイヤホンで十分音楽は聴けるのです。壊れた時には1000円とか2000円も出せばそれで良かろうなのです。ましてや、噫!1万オーバーなんて!えっ、このイヤホンは20万!?OMG!!

おかしいと思いませんか?

思いませんね?(でも、ちょっと思う)

しかしながら我々はその音にその価格以上の魅力を感じてしまったのです。その甘く甘美な響きは、耳から脳へと直接囁きかけてくるのです。一度でもこの世界に魅せられてしまった者には、それはそれは抗い難いものなのです。

E1000は、その禁断の扉を開く鍵になってしまうのでしょうか…

さっそく聴いてみた

試聴環境は次の通りです。
プレイヤー:iBasso Audio DX120
イコライザー:オフ

音のバランス
高★★
中★★★☆
低★★☆

ボーカルや楽器の音が得意で、高域よりかはやや低域寄りという感じです。柔らかく耳当たりの良い音です。特にボーカルが良いですね。

例えるなら甘さ控えめの薄皮のおまんじゅう。ボーカルという餡子(こしあん)を高域と低域の薄皮が優しく包むような感じです。

低域は軽いです。音の形としては存在しているのですが、密度が低く感じます。低域を強調している曲、あるいは、そういう音が好みの場合ですと物足りなく感じでしょう。

音の広がり
縦方向★★★★
横方向★★★★
解像感★★★☆

前方に広いです。解像度も高い。点ではなく面で鳴ってる感じ。どこからともなく音がやってくるような、コンサートホールで聴いているかの様です。音に浸っている感覚が気持ち良いですね。

音の質
響き・余韻★★☆
抜けの良さ★★★★
柔らかさ★★★☆
全体的に軽く柔らかいです。この軽さが全体的な響きの良さや見通しの良さに繋がっているのかなと思います。
逆に軽過ぎるからか音の減衰が早く、余韻はあまりありません。金属の鳴りやドラムの革をピンと張ったような張りがなく刺激が抑えられています。

スマホで聴いてみよう

イヤホンビギナー向けであるならば、(おそらく)スマホで音楽を再生する事が多いのではと思い、手持ちの iPhone6s+でmp3やストリーミング配信サービスを試してみました。

いやね、これがいいんですよ。

プレイヤーとしてのスペックは間違いなくDX120が高いです。DX120では全体的にスッキリした感じで、解像度も高いです。音がしっかりしていて低域がしっかりとした重みがあります。

対するiPhone6s+は、なんというかちょうど良い感じなんです。データの少なさをE1000が良い感じにぼかしてくれる感じてすね。中高域の広がりが良く、ボーカルを詰まらせることなく聴かせてくれます。

聴きやすく、それでいて強く主張してこないので聴き疲れしません。作業中にこの組み合わせで音楽を聴いていたのですが、かなり集中出来ました。オーケストラなんて最高ですね。勉強中に聴いても集中できるのかも?

音量が取りづらいことに注意してください。ボリュームは半分より上、6〜7割は必要でしょうか。アンプやDAPが欲しくなりますね!(こうやって沼にハマっていくんですよ…)

まとめ

ディテールの甘さは感じるものの、そこを逆手に取った響きの良さが聴きやすく、気がつけば音楽に没頭しているというとても素直な子です。

極低音や極高音が苦手なので、曲によっては迫力に欠けると感じる事もありますが、ボーカルや楽器との相性は高いのでポップスや、アニソン、オーケストラ、ジャズなどは得意です。幅広いジャンルに対応出来ると思います。

E2000、E3000に負けない、いや、勝ち負けや上下などという概念などありませんね。E1000とE2000とE3000、それぞれ違う個性、違う強みを持っています。

それにしてもすごいのはfinalの開発力ですよ。戦うべきフィールドがわかっているというか、限られたコストの中でも勝つ方法を知っている、音の魔術師ですわ。

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